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…拓海

別れて欲しい

拓海

はっ…?

拓海

どーしたんだよ急に!

…なんか、拓海のこと好きじゃなくなっちゃったみたい

…ごめんね

拓海

俺、なんかしたか!?

…違う

違うよ

…ごめん

華は謝ってばかりで理由も何も言わなかった

…拓海、ごめん…

そう言って華は涙を流した

拓海

っ…

拓海

…そーかよ…

正直、最近忙しくて会う回数が減ったのは分かっていた

でもまだ、華の事が好きだ

それでも、自分の気持ちを押し付けてはいけないと思った。

拓海

…分かった

拓海

俺が悪かったんだよな

ううん

拓海はそのままでいいんだよ

拓海

っ…

拓海

だったらなんで…!

あははっ

拓海

…は…?

拓海、いつも泣き虫なのに

今日は泣かないんだね

拓海

拓海

急すぎて未だに実感湧かねえんだよ

…安心した

拓海

…のんきかお前

拓海

…もう、会えないって事か?

…うん

拓海

来週の映画は?

…友達で見て来てよ

拓海

…14日の花見は?

…行けない

拓海

…7月のディズニーは?

…ごめん

付き合って5年

お互い大学も卒業できて やっと生活が安定してきたころ、

拓海は、そのディズニーでプロポーズを決めていた。

拓海

…当たり前か

…ごめん

拓海

っ…

拓海

あ、ありがとう…な

「さようなら」とは 喉につまって言えなかった

…うん

今までありがとう

…最後までわがままでごめんね

拓海

…大丈夫

ほんとに?

拓海

…うん、平気

拓海は無理に笑ってみせるが それも上手くは続かなかった

大丈夫でも、平気でもないのに

拓海

…最後にさ

拓海

俺だけが好きだったって言ってくれね?

拓海の顔が歪む

涙を一生懸命堪えていた

…え…?

拓海

…いや

拓海

拓海

ははっ

拓海

なんてな

拓海

嘘だよ

拓海

…じゃあな

…拓海…

華は拓海に抱きついた

拓海

っ…

…好きだったよ

大好きだった

拓海

拓海

…俺もだよ

っ…

拓海

…離れないでくれ、華

そう小声で言うが届いたかどうか分からない

2人は黙って離れていった

振り返らなかった

こんな情けない顔を最後にしたくない

そう思い、ただ何も考えず ひたすら歩いた

一週間後

拓海

拓海のスマホが鳴った

それは華と拓海、2人の共通の友達である天斗(あまと)からだった

拓海

…どーした?天斗

天斗

拓海っ!!今どこに居る!?

拓海

…?会社帰りだけど

天斗

今すぐ中央病院に来れる!?

天斗

華が!!!!

拓海

…天斗、知ってんだろ

拓海

もう好きじゃないって言われたんだよ

拓海

会っても迷惑だろ

天斗

いいから早く!

天斗

とりあえず来て!!!

拓海

俺はっ…

話そうとしたが電話は切られた

天斗の慌てようが普通じゃないことに 今更気づく

拓海

っ…!!

病院?華が?

途端に不安が押し寄せた

拓海

天斗っ!

天斗

拓海!

天斗は集中治療室の前のソファーに座っていた

隣には華の両親が居る

華の父

拓海くん

華の父

来てくれてありがとうな

拓海

…お久しぶりです

拓海

あの…華はこの中に…?

治療室の中から微かに 華の心臓の動きを伝える音が聞こえた

華の父

…あぁ

華の父

…君と別れた日の前日、急に倒れてね

華の父

病院へ行ったら手術を受けなきゃ危ないと伝えられたんだ

華の父の隣には母が泣き崩れていた

拓海

っ…

天斗

初めは俺にも教えてくれなかったよ

天斗

…けど、お前のことで

天斗

やっぱり心配かけたくないからって

拓海

お前っ…黙ってたのか…!?

拓海

こうなる前に…!!!

華の父

ごめんね拓海くん

華の父

華を許してやって欲しい

華の父

天斗くんも華を思ってしてくれた事だ

華の父

…異変に気づいてやれなかった私たちが悪い

拓海

っ…くそっ…!!!

華に嫌われた訳じゃなかった

その安心と同時に不安が拓海を襲う

拓海

…手術で、治るんですよね…?

華の父

天斗

…拓海…

拓海

どーしても言いたい事があるんです

拓海

…すぐ、伝えられますよね…?

天斗

拓海…

天斗

そんな軽いんだったら良いよ

天斗

けど、それだけでずっと一緒だったお前に別れたいって言うかよっ…

拓海

…!!じゃあっ…!!

華の父

…私たちにも分からないんだ

華の父

…分かってるのは、成功する確率が低いということだけ

華の父

…何も、出来ないんだよ

拓海

…くそっ…!!!

拓海は壁を殴る

行き場のない怒りや悔しさをどーすればいいか分からなかった

その怒りたちは次第に天斗へ向く

拓海

…天斗…お前なんで俺に言わなかったんだよっ!!

天斗

…華が、言わないで欲しいって…

拓海

そう言われたら言わねえのかよ!

拓海

俺が知ってたら何でもしたのに!!

天斗

最後のお願いだって言われたんだよ!!

天斗

心配かけたくないって!最後は嫌われたままで死んでいきたいって!!

天斗

俺、華に泣きながら言われたんだ!

天斗の目には涙が溜まっていた

拓海

だったら、こんな大事な事も言わねえのかよ!

天斗

華の願いを叶えてあげたかった!

華の父

…2人とも、やめなさい

華の父

…1番辛いのはあの子だ

拓海

っ…

天斗

華の父

…ありがとう

華の父

娘をそんなに思ってくれて

天斗

…悪かった拓海

天斗

もっと早く、お前に教えておけばこーならなかったのかもしれない

拓海

俺は…

拓海

今年、プロポーズする予定だったんだ

拓海

…夏、ちゃんとしたところで

拓海

ずっと一緒に居るって誓いたかった

天斗

っ…

その時、治療室のドアが開く音が聞こえた

華の父

華っ…

拓海

…!!

天斗

華…?

医者は「最善を尽くした」と言った

それ以上は何も言わず俯いた

拓海

華っ…?

天斗

華…

拓海

嘘だろ…?

拓海

なあ、目を開けろって!!

拓海

お前、本当にこのまま終わる気なのか…?

拓海

冗談じゃねえよっ…!

華の父は母の肩を抱いて静かに涙を流していた。

天斗は華の手を握る

拓海

俺はまだ…!!

拓海

お前が好きなんだよっ…!

拓海

はなぁっ…!

天斗

…拓海…

天斗

華は最後まで拓海を思ってたよ…

拓海

っ…!!

天斗

拓海は強がりだからよろしくねって…

天斗

本当は泣き虫だから、少し心配かもって、ずっと…

言う言葉が見つからず、 ただ涙を流すばかりだった

見つかるのは華を好きな自分だけ

2人で居る時が何よりの幸せだった

離れてても会えなくても 気持ちは変わらなかった

だからここに居るのに

ただただ華が好きだった

そして華が

見える全部を、聞こえる全てを 色付けてくれた

色付けてくれたくせに

帰り道

いつも静かな帰り道が今日は耳が痛くなるほど音が無いようだった

もうすぐ春

桜の木が蕾を付け始めている

その下に枝が落ちていた

枝には蕾がついている

この蕾はもう咲くこともないんだろう

蕾のまま枯れていくんだろう

拓海

同じだな、お前

その枝を

華への想いと一緒に握りつぶした

華を好きだったまま

拓海は離れていった

拓海を好きだったまま

華は消えていった

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