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夏休み
いつもなら絶対花音と遊びに行くけど
今年は行かない
花音はずっと私のそばにいるから
七菜
1か月前
花音
七菜
七菜
花音
花音
七菜
花音
七菜
七菜
七菜
花音
花音
七菜
花音
七菜
七菜
花音
七菜
七菜
花音
花音
花音
花音
七菜
七菜
花音
花音
七菜
七菜
七菜
花音
花音
七菜
花音
七菜
花音
七菜
七菜
花音
花音
花音
花音
七菜
七菜
七菜
七菜
花音
私は教室を全力疾走で出た
中に花音を1人残して
花音が言おうとしてたこと
それを聞かずに
私は…
花音はなんて言おうとしてたんだろう
あの日から眠れない私は
夜中にずっと考えてる
ベットの上に寝転がって
痛かっただろうなって泣きながら
聞いとけばよかったって
ねぇ花音なんて言おうとしてたの
ほんとにごめんね
いつもは一緒に帰ってるのに
その日はたまたま補習が入ってて
だから私が馬鹿じゃなかったら 一緒に帰れたのに
私のせいだ
私のせいで花音は…
あの日、私と別れたあと
花音は一人で帰った
いつも私と歩く道
いつもは何も起きなかった道
なのに
いつもはそうだったのに
花音は死んだ
通り魔だった
血まみれだった犯人はすぐ捕まった
花音を殺した理由は
「誰でもいいから殺したかった」
「たまたまそこを通った奴が いたから殺した」
精神異常だとかで、 普通の殺人より短い刑期で 出所するそうだ
ありえない
なんで善良な花音が死んで
人を殺したあいつは のうのうと生きてるの
ねぇ花音
花音なしじゃ私生きられない
私もそっち行く…
ベランダの窓を開けると
生ぬるい風が 私の髪とカーテンを揺らした
片足を窓枠にかけて目をつぶった時
どこからか声が聞こえた
▫️
▫️
▫️
▫️
▫️
▫️
▫️
▫️
七菜
七菜
七菜
七菜
泣きながら 窓から飛び出そうとしたけれど
何か見えない力に引っ張られて
それ以上は進めなかった
気づいたらベットの上に戻されていた
七菜
七菜
七菜
七菜
七菜
▫️
▫️
七菜
七菜
七菜
▫️
▫️
▫️
七菜
花音
花音
七菜
七菜
花音
花音
花音
花音
花音
花音
七菜
花音
花音
花音
七菜
花音はずっと私のそばに居てくれる
窓から飛び出そうとしたあの日から
朝でも夜でも私と一緒
七菜
私の頭上で目をつぶっている 花音に向かって言う
花音
七菜
花音
七菜
七菜
花音
花音
七菜
七菜
七菜
七菜
花音
花音
七菜
花音
花音
その声がなんだか 寂しそうに聞こえたのは
きっと私の気のせいだ
七菜
花音
七菜
花音
花音
七菜
七菜
花音
花音
花音
七菜
七菜
さっきから なんかちらちら見られてたのは それだったのか
七菜
七菜
花音
七菜
花音
七菜
花音
そのときだった
ひゅるひゅるひゅる…と
か細い音がなった
そして
ドーーーーーン
と一発目が打ち上げられた
それは花火のスタートの合図
そこからは空に花畑が出来ていた
花音
七菜
お互いに前を向いて 花火を見ながら話す
花音の声がちょっと震えてる
夜空に咲く大輪を見ると
なぜだか私も泣きそうで
光る何かが零れないよう
必死に上を向いて花火を見ていた
花音
七菜
花音
七菜
驚きと絶望があとからやってきて
そうだよな そんなに上手くいくわけないよな
そう思いながら
ゆっくり花音を見た
花音は私を見ない
大きな音を立てて咲く花だけ
光る目で見つめていた
花音の横顔は強くて
でも少し寂しくて
向こうで大きい音が しているはずなのに
私たちの空間は静かだった
花音
七菜
七菜
花音
前だけを見て、強く花音が言った
花音
七菜
七菜
花音
花音
花音
七菜
花音
花音
花音
花音
花音
花音
七菜
花音
花音
花音
花音
花音
花音
そう言って花音は薄くなった
目を凝らしても見えないくらい
最初から そこには誰もいなかったかのように
浴衣に草履は走りにくい
なぜかわからないけど私は走っていた
何をしたらいいのかも分からないのに
花音のいじわる
1度止まって目をつぶって呼吸を整え
考える
セミがうるさい
静かにして
考えさせてよ
思い出せ
花音がまだ生きてた時のこと
花音が言ってたヒントとは何?
ハァハァ言ってると周りが すごくこっちみてくる
だけどそんなこと気にしていられない
親友の来世がかかってるんだ
花火の音はまだ聞こえる
まだ
まだ鳴り止まないで
お願い…!
祈りながら泣きながら
走り出す
その時えらくのんびりした声が響いた
おばあちゃん
おばあちゃん
七菜
おばあちゃん
その謎の安心感に
涙は堪えられなかった
七菜
そう言って思い切り抱きついた
この祭りの花火は長い
ここでおばあちゃんと
去年の夏死んだはずのおばあちゃんと
出会わせてくれたことは
きっと花音の言うヒントに繋がる
私は一気に話した
親友が死んだこと
その霊がいること
転生出来ないかもしれないということ
親友を転生させるためには 何をすればいいのか
全く分からないということ
おばあちゃんはゆっくり聞いてくれた
おばあちゃん
おばあちゃん
七菜
おばあちゃん
おばあちゃん
七菜
おばあちゃん
おばあちゃん
おばあちゃん
おばあちゃん
おばあちゃん
おばあちゃん
おばあちゃん
おばあちゃん
七菜
七菜
七菜
七菜
おばあちゃんはもう何も言わなかった
ただニコニコ笑って
そしてさっきの花音のように
静かに消えた
七菜
七菜
七菜
そう言いながらもキョロキョロ
セミを探しながら走る
七菜
七菜
七菜
七菜
クルッとUターンして私は走った
七菜
七菜
太い幹にへばりつくように
小さな体全体を使って
命を震わせて
それは鳴いていた
透明なセミだった
花火がドーンと上がる度
セミは七色に輝いた
そっとセミを掴んで手のひらで広げる
うるさいって思っててごめんなさい
あなたの命の叫び声を
七菜
ダンダンダンダンダン
大きい花火が連続で上がっている
花火大会の終わりは近い
なのに、花音がいない
七菜
七菜
花音
花音
七菜
本当に本当に小さな声だった
七菜
七菜
花音にそっと透明なセミを渡す
花音がそれを大切そうに受け取った
花音
手のひらで一生懸命鳴くセミを 見ながら花音が言った
花音
花音
花音
花音が自虐的に笑う
それでもそれは花音の手のひらの中で
生命力を見せつけていた
その姿は 弱々しい花音とまるで対象的だった
花音
花音が薄くほほえむ
滲む私の視界に 打ち上がる花火が見える
金色の柳が夜空いっぱいに広がる
遅れて地面を震わせる音が聞こえた時
夜空に咲いた1番最後の
花の音
それが私の耳に届いた時
花音は七色に輝いて
そして消えた
七菜
おばあちゃんが言ってたこと 思い出した
ちゃんと弔えたかな
また、来世で会おうね
それまで、ちゃんと生きる
花音の分まで