私、屋上で靴を脱ぎかけた時に
三つ編みの先客に声をかけてしまった
翠(すい)
口をついて出ただけ。
ほんとはどうでも良かった。
先を越されるのが、なんとなく、癪だった。
三つ編みの子は、語る。
どっかで聞いたようなこと
恋(れん)
彼氏
恋(れん)
恋(れん)
彼氏
彼氏
恋(れん)
恋(れん)
彼氏
恋(れん)
恋(れん)
彼氏
トットットッ(元彼が走って遠くへ行く)
恋(れん)
ドサッ(恋が転ぶ)
恋(れん)
恋(れん)
恋(れん)
恋(れん)
翠(すい)
翠(すい)
翠(すい)
翠(すい)
恋(れん)
って、三つ編みの子は消えてった。
さあ、今日こそはと靴を脱ぎかけたらそこに
背の低い女の子、また声をかけてしまった。
背の低い子は語る。
クラスでの孤独を。
風和(ふわ)
風和(ふわ)
クラスの皆
風和(ふわ)
クラスの皆
お昼
モブ1
風和(ふわ)
モブ2
風和(ふわ)
風和(ふわ)
風和(ふわ)
って
翠(すい)
翠(すい)
翠(すい)
翠(すい)
風和(ふわ)
と、泣いて背の低い子は、消えてった。
そうやって、何人かに声をかけて、追い返して
わたし自身の痛みは誰にも、言えないまま
はじめて見つけたんだ
似たような悩みの子
何人目かに会ったんだ
黄色いカーディガンの子
闇音(あんね)
闇音(あんね)
母親
ドゴッ バキッ
闇音(あんね)
母親
ゴンッ ドゴッ ドゴッ
闇音(あんね)
バシッ パチンッ バンッ
闇音(あんね)
母親
闇音(あんね)
闇音(あんね)
闇音(あんね)
と、言った
口をついて出ただけ
ほんとはどうでも良かった。
思ってもいないこと
でも、声をかけてしまった。
翠(すい)
ああ、どうしよう
この子は止められない。
私には止める”資格”がない。
それでも、ここからは消えてよ。
君を見ていると苦しいんだ。
闇音(あんね)
って、目を伏せたまま消えてった。
今日こそは、誰もいない
わたし一人だけ
誰にも邪魔されない
邪魔してはくれない
カーディガンは脱いで
三つ編みをほどいて
背の低いわたしは
今から飛びます。
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