🔥愛されのクロスオーバー

電話の内容

シーーン

数十年前

姉は人を言いくるめるのが上手だった

というより俺を言いくるめるのが 上手だった

自分がお姉ちゃんを守っている気でいた

実際はずっと守られていたんだ

お姉ちゃんはずっと優しい 嘘で守ってくれる

桃井戸家

親父は姉さんの小さいころに亡くなったらいし

ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ

桃太郎機関は存在を隠している 昔は家族にも秘密にしていたが何かの拍子でバレて周りに漏洩する危険があった

そのため小さい子供がいる家庭は家族に秘密を共有し子供が大きくなる前から秘密を守る様に教育させることにした

今ならわかるあれを 幸せと呼ばずに何と言う

本当に大好きだった 大好きだったから守ると誓った

翌日

ヒィロン

ぎゅうにゅうかってきて

久しぶりにお兄さんにも会える

みんな揃うのは何より嬉しい

自分にとって家族は「守る」のも

一番前にパパの代わりにお兄さんがいて 真ん中にママと お姉ちゃん一番後ろに僕がいる

お兄さんが前を守って僕が後ろを守る

お兄さんの後ろ姿を見てお兄さんみたいに 強くなりたかった

ねぇお兄さん…僕は本当にお兄さんに憧れて…

角の出現には個人差がある

幼い時に出現する者もいれば死亡した際に出現して本人も鬼として知らず一生を終える場合もある

母は今まで角が出現しなかっただけの 鬼だった

桃同士の子は100%桃の血を継ぎ桃と人の場合は50%鬼と桃の場合も確率に変わりはない姉は桃じゃなく鬼の血を継いでいた

ｷﾝ

自我が戻り曖昧な意識の中全てを理解した僕はまた姉の優しい嘘に…守られたんだと

牛乳を買いに行かせたのは時間稼ぎ…その間に去ることを願って守ってくれたんだ

死の淵に立ちながらも…命を懸けて僕を守ろうとしたんだ…

そうかぁ…僕は守ってあげられなかったのか…

途切れ途切れの意識の中覚えているのはお兄さんの冷たく光る目だった…怖かった…

憧れていた人に初めて恐怖を感じた 瞬間だった

そこからの記憶は曖昧だがとにかく傷だらけの体を引きずって逃げた

お兄さんは追って来なかった…この傷で助かるわけないと思ったんだ

意識がしっかりした時は俺はどこかの川沿いの茂みにいた奇跡に近かった本能が死を拒んだのだ

自分が逃げてきた道を振り返ることはしなかった振り返っても誰もいないし受け入れてくれる人もいない

あるのはこの傷と恨みだけ

ママ…お姉ちゃん…

僕は…

怨みの鬼として生きていくよ

ママとお姉ちゃんは天国ゆっくりで休んでいて欲しい…僕が２人の平穏を守るから

お兄さんを…あのクソ野郎を２人の所へは逝かせない…天国何かに逝かせない

守るんだ…今度こそ…嘘じゃない…！

お兄さんを地獄の底へ叩き落してやる２人を守るんだ

怨みが生きろと背中を押す僕は歩き出した

僕の行き着く終着点もまた… 地獄と知りながら