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未来の君へ
今、君は1人でこの手紙を読んでいるのかな。
俺には気の利いた事とか、泣けるような事を書く才能なんてないけれど。
親友として、言わせてほしかったことがあるんだ。
本当に本当に、最高の親友として、君のことが大好き。
ただ、この事を知ってもらえれば嬉しいな。
これを読んだ君が、俺との思い出を辿ってくれる事を願って、この手紙に想いを綴るね。
「未来の君へ」
注意 🦍社二次創作(🍌🐷メイン) 微グロ 戦争要素有(政治思想無し) 死要素有
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おんりーの声が、今でも耳に焼き付いている。
今から大体、3年前のことだ。
冬の高原から眺める星空は美しくて、思わずうっとりする程だった。
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俺は、草むらに座り込んで、何も考えずにただ星空を眺めていた記憶がある。
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凄くセンチメンタルな発言に、少し意外性というか、違和感を感じた。
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君は、俺の横に座って、
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着ていたダウンジャケットから、一つの封筒を取り出した。
そう、封筒。嫌な気配を覚えた俺は、恐る恐る受け取った。
開けるとやはり、戦地に召集されたという旨の、無感情の機械人間の様に冷酷かつ残酷な文書が目に入った。
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手紙を持つ手の震えが止まらなくて、冬の寒さの所為だと信じたくなる。
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強く強く抱きしめられて、何もできなかった。
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寂しそうな、悔しそうな笑顔に、胸が締め付けられた。
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2人で軽く拳を突き合わせて、親友としての契りを交わした。
あの日の事は、君が亡くなってから1年経った今でも、鮮明に覚えている。
「君と見たあの星空、綺麗だったなぁ。もう一回、一緒に見たかった。」
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君から貰った手紙…ある意味遺書だろうか。それを、そっと胸に抱き寄せる。
君が昔付けていた香水の香りが微かに感じられて、君は今も俺のそばにいるんじゃないかなぁ、などと浅い希望を抱く。
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そう言って、君は言葉を遮る様にして、俺に向かって勢いよく海水を掛ける。
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わざとらしく煽って、俺をいじるおんりー。
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水を勢いよく掛けると、おんりーは楽しそうな声を上げていた。
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2人でただ波打ち際で暴れ回って、大騒ぎした。
ただ、それだけだけれど。
そんな何気ないおふざけができるのが、1番幸せだったと、今では思う。
だって、もう今はできないんだから。
「君と一緒に青春ごっこをしたあの砂浜、真っ青だったよね。また行きたかったな。
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おんりーから貰った手紙は、読む度におんりーが側にいるように感じられて、なんだか愛おしかった。
おんりーが俺を呼ぶ声が、空耳で聞こえる。
今でも、聴いていたかったな。あの、少し高くて可愛らしい、落ち着く声。
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ライラックの花を俺に渡すおんりー。
根っこごと引っこ抜いてくるから、困惑してしまう。
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それもそうか。洒落っ気も何も無いけれど、これはこれで君らしくて悪くないなと思った。
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君は太陽よりも眩しい笑顔でそう教えてくれた。
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2人で、泣いた。喚いた。
多分、おんりーがもうすぐ居なくなってしまう事への恐怖と不安と寂しさであの時の俺は狂っていた。
それは、おんりーも一緒だった。
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あの時よく考えたら、おんりーとはもう15年の付き合いだった。
生活の一部、家族の様な存在だった奴が、突然居なくなる。
それが、凄く凄く、怖かった。
眩しい日光が、おんりーを柔らかく包み込んで、俺の前から攫ってしまいそうで怖くなり、存在を確かめる様に強く抱きしめた。
「あの花畑で見つけたライラックで、今度はmenに花束でも作ってあげるぞ、って思っていたんだけどな。」
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誰もいないのに呟きながら、おんりーの墓に供えるライラックを摘む。
ライラックの花弁は、美しい紫色だった。
おんりーに似合う、美しくてお洒落な色合い。
あの時は確か、おんりーに花の冠を作って被せた。
微笑む君の顔は何よりも美しくて、辛い事も全部忘れられそうだった。
今から大体10年前の事。
戦争なんて始まってすらいなくて、穏やかな毎日だった。
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幼馴染で家族ぐるみの仲とはいえ、普通5歳も先輩の俺に奢らせるか?
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相変わらずおんりーは可愛らしくて、愛おしかった。
弟が1人増えた様な感覚。
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珍しくやけにテンションが高いおんりーに振り回されて、あれこれアトラクションに乗る1日だった。
アトラクションに乗る事自体も大好きだが、待ち時間に楽しくお喋りをするのが1番好きだった。
おんりーは俺の目の前だとやけに饒舌になる。
専らくだらない話だけど、君と話すだけでも幸せだった。
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最後に観覧車に乗った時、君はそう言った。
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俺はそう答えた。
ただ、俺もおんりーも学校や勉強、部活が忙しくて、俺が大学生になるまでは中々何処かに出かける事はなかった。
おんりーと俺は、あの時から多分親友を超えた、簡単には言い表せない特殊な関係性だったと思う。
「遊園地で一緒に遊んで、また観覧車に乗って、menと絶叫系に乗りたかったな。」
君は「生きて帰ってくる」って言った癖に。
戦争に行ってから大体2年後に、君は姿を変えて帰ってきた。
「帰ってきた」というか、なんというか。
君は戦地で戦死して、火葬され、遺骨として帰ってきた。
おんりーの骨壷は何とも質素で、こんなのってあんまりだと思った。
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骨壷に触れた時、凄くひんやりとしていて、
当たり前だけれど、何の温もりもなかった。
葬式の間もずっとずっと、おんりーの遺影を見つめていた。
俺は国家公務員だから、徴兵対象にならなかった。
でもおんりーは、会社員だったから。
何で俺が代わってやれなかったんだろう。ずっと悔んだ。
毎週の様におんりーの墓に通った。
墓石を磨いて、水を掛けて、雑草を抜く。
そして、あいつが好きだったジュースやお菓子と、綺麗な花を供える。
君が生き返らない事くらい、わかっていた。
でも、君にはあの世で笑ってほしかった。
もう俺の側には、おんりーはいない。
それに、もう君は俺の名前を呼んでくれない。
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そんな声がいつも頭の中で響く。
全部幻なのに。
奇跡なんて、起きないのに。
俺のお墓は、日がよく当たる、自然豊かな高台にあった。
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そう呟いて、涙を袖で拭う姿を見つめる。
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そっと抱きつくけれど、menにはこの掠れた声も、透明な身体も、分からないんだろうな。
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俺の感謝の声なんて、きっと届かない。
それでも、俺達は何処かで繋がっている。
死に際、意識が遠のいていく時に考えたことがいっぱいある。
「もっとmenと一緒に居たかった。」
「こんな所で死にたくなかった。」
「最後はmenが側にいて欲しかった。」
「生きて、帰りたかった。」
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俺の墓の前で微動だにしない君が、多分もうどこかに行ってしまいそうで、しがみつきたくなる。
menは笑った。
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当たり前だけど、menには何も聞こえていないと思う。
それでいい。
だって、menと俺は、特別な関係だから。
心と心が、繋がっているから。
menの大きな背中に抱きついて、俺は静かに、誰にも聞こえない中で笑った。