あいつだけは好きにならない

昔から

男女問わず仲良くなるタイプで

男友達も多かった

彼氏がいたこともあったけど

男友達と仲良くしてることで揉めて

ダメになることもあった

からぴちのメンバーも

男女問わず仲良くできる空気が

とても居心地が良くて

ゆあんくんも

それを当たり前に

受け入れてくれるから

完全に油断してたんだと、思う

メンバーの中でも

じゃっぴは

私に声を掛けてくれて

からぴちに誘ってくれた人

信頼してるし

お兄ちゃんみたいで

自分で言うのも何だけど

懐いてる

じゃっぴが絡んできても

牽制するどころか

じゃっぴに乗っかって

茶化してくるから

全然気にしないんだと

思ってた

たっつんの部屋には

すでにたっつんとヒロくんが寝ていた

じゃっぴの目は

ほぼ閉じている

眠気で回らない頭のせいで

深く考えず

じゃっぴの横に寝転ぶ

そのまま

夢の中に沈んでいった

どれくらい眠っていただろうか

ベッドのスプリングが沈んで

意識が少し浮上する

と

首筋に甘い痛みが走る

目を開けると

誰かが

私の上に覆いかぶさっていた

この嗅ぎ慣れた匂い

顔にかかるさらさらした髪の毛

私の首筋から唇を離すと

冷たい目で私を射抜く

全く身に覚えがない

どちらかが寝返りを打って

くっついてしまったのかも…

今までも

こういうことがきっかけで

別れてきたのに

どうして

「ゆあんくんなら大丈夫」

なんて思ってたんだろう

色っぽく微笑むと

さっきまで吸い付いていた私の首筋を

満足そうに指先でなぞる

意味を理解した私は

見えもしないのに

首筋に赤く咲いているであろう

独占欲のその印を

咄嗟に手で隠す

いたずらっ子の顔に戻って

私とじゃっぴの間に寝転ぶ

ゆあんくんの横で

今後の行動はよく考えようと

心の中で誓った