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ゆきんこ
#旧国
おつきみだんご
689
戦争賛美 無し。 セリフ 無し。 主人公 読み手の自由 【CH】 全2話完結。
登場人物
旧国。
この小説は心情しか書いていません。 セリフはないのでご了承ください。
これは戦後のお話。
死んだはずなのに。
眼を開けると
・・・
時計の針が止まっていた
午前11時2分
秒針は12の場所を示したままびちりも動かない
窓の外には空がなかった
というより窓がない。
どこ?此処
返事は無い
一瞬眉をひそめたがすぐに周りを見渡した
目の前にあるのは机。 机には万年筆と ..... そして台帳。
台帳を開いてみると嘘のように真っ白。
次のページも
そのページも
閉じようとしたその時。
かすかに紙の擦れる音。 □□はその音がする方へ。
歩いていった先は収容所の様な場所。
見覚えはない。
過去に誰かがいた形跡がある。
その廊下を進んでいく
一歩。
また一歩と。
どれだけ歩いても見たくもないような血痕、泥、壁の傷。
何処まで続くのだろうと思いながら重い足を引きずっていく。
やがて一つの部屋に入った。 他とは雰囲気が違う。
何が違うかはわからない
感覚。
そこには数え切れないほどの手紙。
壁に掛けられた、色褪せた時計。隅に置かれた木箱。
そして床が見えないほどの手紙。
赤茶色に変色したものもあれば、つい昨日書かれたように白いものもある。
宛先があるもの。
宛先がないもの。
切手が貼られたもの。
何も書かれていないもの
それらで埋め尽くされていた。
知らない名前ばっかり。
当たり前だ。
けど日本語で書かれているからみんな日本人だろう。
久しぶりに見た。日本語。
そう思いながら手紙を一通拾った。
差出人は、ある見知らぬ人物。 宛先も、見知らぬ人物。
封筒の裏には、短い文字が書かれていた。
どうか、届きますように。
中には、一枚の便箋が入っていた。
『お元気ですか。 こちらは、以前とずいぶん変わってしまいました。 家も、道も、知っている人の顔も、もう跡形もありません。 それでも、私はまだ、あの場所を覚えています。 あなたと最後に話した場所です。 いつか、また会えるでしょうか。 そのとき、あなたは私のことを覚えているでしょうか。 私は、あなたを忘れたくありません』
手紙はそこで終わっていた。
手紙は読めるのか疑わしいほどボロボロで、汚れていた。
おそらく大分前に書かれたものか、そういう状況で書いたか、
ただの誰かへ送る為の手紙。
けど、何かが刺さる。
なんだろう。
......
その興味で、他のものも読んでみた。
人様の手紙を読む罪悪感を考えている時ではない。
手紙は、どれも似ているようで違っていた。
家族の無事を尋ねるもの。
帰りを待っていると伝えるもの。
届かなかった謝罪。
もう会えない人に向けた、何でもない日常の報告。
なかには、怒りに満ちたものもあった。
誰かを許せないという言葉。
奪われたものを返してほしいという言葉。
どうして自分たちが、こんな目に遭わないといけないのかという訴え。
読んでいったものは隅へ。
未読のものは手へ。
その動作を何百回も繰り返した。
何通目かの手紙を読み終えた頃、□□はあることに気づいた。
手紙には日付が書かれているものがある。
日本で言う明治。 大正。 昭和。 戦前。
手紙は戦後まもなくで終わっている。
けれど、日付の順に並んでいるわけではなかった。 古い手紙の隣に、新しい手紙が置かれている。
数十年も離れた時代の手紙が、同じ封筒の山に混ざっている。
時間というものがこの場所では意味を持たないかのよう。
すると一通の手紙が床に落ちた。
そこには。
今日、父が亡くなりました。 最後まで父の帰りを待っていました。 父が帰ってきたら話したいことがいっぱい。 けどもういない。
――のせいで。 ――さえなければなぁ。
その――はシミのせいで読めなかった。
一番重要だったのに。
何処からか差し込んでくる光はオレンジ色。
見ての通りもう夕方だった。
その後の手紙は先ほど読んだものと少し違うが似てる場所がいくつかあった。
日付は全て昭和二十年。 9月や8月、10月のものが多かった。
なんで此処にこんな手紙が。
ずっと思っていた。
そしてあの時読んだ
あの手紙。
あれ。自分、なんで死んだんだっけ。
コメント
5件
昭和20年…終戦… 語彙力が凄すぎてめちゃくちゃ読み込んでしまった…! こう言う系大好きです!! やはりログアウト様は天才だった😇
語彙力分けてくれ 何これ… 他とは違う感じの小説だね…。 一人称視点が誰かわからないのがなおいいね… セリフないのにめちゃくちゃどっぷり作品の中に入り込んじゃった! ろぐちゃの世界観やっぱ最高
うわ〜、めっちゃ静かなのにすごく重くて深い世界観……😭💔 セリフ一切なしでこんなに心揺さぶられるの、初めてかも。 手紙の「どうか届きますように」って一文、めっちゃ刺さった…。 自分がなぜ死んだのかわからないまま、誰かの想いを追ってる感じがまた切なすぎるよ。 続き、絶対読みたいです…!!🌸✨