救世主

また憂鬱な日がはじまった

両親は朝から喧嘩

両親が喧嘩してる最中にリビングに行くと父が殴りに来るから

絶対行かないようにしている

朝も夜もずっと喧嘩

誰にも見送られることなく家を出る

こんな感じだから友達がいない

けど友達が欲しい訳じゃない

なんだか難しいところだ

ガチャ

ジャラジャラ…

当たり前のように靴箱に入っている画鋲

昭和のような遊びだ

バシャッ

朝はいつもこれで目が覚める

ガンッ

いつも通りの威嚇行為

机を蹴って強いアピール

けど、いつも言い返せずに困っている僕

みっともないやつだな

ヒーロー気取りしやがって

そういうのが1番ムカつく

どうせすぐ逃げる弱虫が

…なんて言ってやりたい

でもそんなこと、言えるはずは絶対無い

はぁ、辛

学校から帰るとすぐに父に呼び出される

いつも何かを叫んでるけど聞こえない

父は意識を飛ばすまで殴ってくる

たまにセ〇クスとかさせられる

そんな父が怖かった

そんな時に1番落ち着くのが

自傷行為だった

いわゆるリスカというやつだ

これをしている時だけ無の感情になれた

そのあと母が夜ご飯を持ってきてくれる

毎回ごめんねと言ってご飯を置いていく

そんな母の姿を見たくなかった

昔は母も父も優しかった

けどある日からずっと喧嘩をしていた

こんな生活終わりにして転生してみたい

なんてずっと考えていた

そしてそのまま眠りにつく

今日はいつもより早起きした

この時間だから両親は起きていないだろう

久しぶりにリビングに行くことにした

2年ぶりくらいに入るリビング

少しだけ温かさを感じた

何か食材がないか冷蔵庫を開けた

昨日の晩御飯の残りがあった

これをチンして食べよ

ガチャ

咄嗟に口にでてしまった

やつれた母を見て苦しかったのだろう

そうだ、母は働いていなかった

チン

やっぱり母の作る料理はおいしい

けど、3人で食べたかったな