全部全部喰らいたい

俺の好きな人が犬塚にラブレターを渡したそうだ

まだ犬塚はラブレターの返信を言ってないそうだ

「返信はいらないって言われた」だそうだ

俺ならすぐOkってYes言えたのにな…

そんないらだちを持ちながら前の席の犬塚の頭頂部を見つめた

ラブレターを渡して数週間がたった

犬塚は意識されないようなのか俺の好きな人を視野に入れないようにした

そして俺の好きな人は犬塚をなるべく視野に入れないようにした

こいつが俺の好きな人を断った理由は明確にある

そうこいつは兎沢(とざわ)と付き合っている

しかも犬塚から告白したそう

俺の好きな人は知って告白したのだろうか

あ～…可愛い

下の名前で呼んでくれないかな

宿題をちゃんとしないのに

好かれるのはOkされるのは…なに？

本当は貸す気なんてない

ただ水田に俺を意識してほしい

だから

だから

全力で善人ぶるよ

俺は気づいてた

犬塚が水田に好意を持たれないように兎沢となるべくいるようになったこと

そして水田は犬塚をなるべく視野に入れないように

でも

バレてるよ

水田がたまに犬塚をうつろな目で見てること

はやく俺に移り変わって楽になればいいのに…

水田が犬塚にラブレターを渡して数か月だたった

クラス替えの時期

そう水田を離れてしまった

ただただ水田に会いたい

ただそのまま進展がなく卒業になった

この校長の長い話にうんざりしながらこの後を考える

一組と三組は案外席が遠いように見えてあまり遠くない

その水色の髪がよく見える

たまにすこし揺れまたとまり揺れるこの繰り返し

ないこが好きだからと言って切ったその水色のきれいな髪は

ないこ以外の好きを全部切り落としたのだろうか

それともフラれてなのかよくわからなかった

けどLIKEさえ交換しようただ脳の中でそれだけが残った

髪の長いころの水田は輝いてた

ただ俺の好きな髪型ってことがあるかもだけど

まるでこの言いぐさは交換したくないって言ってるようにとらえれた

でも納得できる

誓えるって言葉がどうしても結婚を彷彿とさせた

友達のも自分のように喜べるところ好きだよ

水田が走る姿がどうも遠くに見えた

確か吹奏楽部だったかな

運動部の俺が見てもわかるそのすらっとした足

しっかりした体幹強く息を吸うところ

全部

全部

好きだ

全部を吸い尽くして

全部を喰らいついて

全部を俺にゆだねてほしい

そんな自己現実欲求

承認欲求

所属と愛の欲求が

俺の心と体を食い尽くしそうだ

俺は当て馬でもモブでもいいただ

ただ

水田といたい