エーデルシュタインが扉を体当たりするかのように開け、入ると 数人がこちらに目をやった。
“マスター”
???
銀髪とも薄い水色の髪ともとれる青年はじとっとした黒い目で私を見ている。
???
青年の隣に座る黒髪で冷徹そうな女性がエーデルシュタインに問い掛ける。 愛称で呼んでいるが、親密な中では無さそうだ。
エーデルシュタイン
???
部屋に入ったはいいものも、完全に私は置いてけぼりにされている。
そもそもこの人達は何者なのだろうか。
さっきから私のことをマスターマスターと言っているが… マスターというものはなんとなく上司や指揮官などのイメージを持つ…気がする。
“マスター”
エーデルシュタイン
エーデルシュタイン
エーデルシュタイン
“マスター”
何がだと問うエーデルシュタインを適当にあしらい、彼女らに目を向け、近寄ってみる。
“マスター”
???
???
プルウィア
“マスター”
“マスター”
???
青年が名前を言おうとした時、 私と彼との間に一筋の閃光ともとれる刀の軌道が空気を裂いた。
プルウィア
“マスター”
プルウィア
“マスター”
プルウィア
あ、しくじった。 人身売買を連想させる事を言ってしまった。
というか何を聞いてもこの調子なんだろう。 あぁ、バッサリ行かれるんだろうな。 というかエーデルシュタイン仕事しろよ。
瞼を閉じ、天を仰いだその時───
カン、と軽い金属音が耳元で止まる。
うっすらと瞳を開ければ黒い瞳の青年が… 正確には持っている鎌が、プルウィアの刀を止めていた。
プルウィア
ルーメンと呼ばれた青年はプルウィアに向き合い、無愛想なまま言う。
ルーメン
ルーメン
ルーメン
プルウィア
ルーメン
プルウィア
未だに首付近で鎌と刀がギリギリと音を立て会いながら、2人は口論を続けている。
エーデルシュタインが私の肘付近を掴むと、一歩二歩と少し離れる。
“マスター”
よく分からない場所でよく分からない死に方を今はしない、 という安堵で溜め息が漏れながらそばに居るエーデルシュタインに問い掛ける。
エーデルシュタイン
“マスター”
エーデルシュタイン
“マスター”
私の返事と共に、重たい扉が開かれる音がした。
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