自分のような負け組には、未来なんかない 頭ではわかっているんだ
それなのに・・・
美月
美月
美月
上司の美月さんから連絡がきた
別に美月さんのせいで残業になったわけじゃないのに
彼女はいつもそうだ
前川
前川
前川
美月
美月
前川
前川
美月
美月
美月
美月
前川
前川
いつからなのかは覚えてない
ただ、随分と長い間、頭の中で声が聞こえている
『僕なんかいらない』
『どうせ僕なんて』
僕を否定し続ける言葉が、常に頭の中に溢れていた
そして、その言葉を肯定するように
僕は自信のない生き方を選んでいた
全てから逃げて生きた
僕は臆病者だ
でも、彼女はそんな僕を否定しなかった
2年前 忘年会
店長
谷島
美月
僕が入社して1年目の忘年会
僕は高校を卒業して就職した会社をすぐに退職してから、ずっと実家で引き篭もっていたから、この忘年会は生まれて初めての忘年会であった
店長
前川
店長
前川
本音を言えばしんどかった
本当はこの場を借りて、近々退職したいと伝えようと思っていた
店長
店長
「世の中何とかなる」
それはなんとかなってきた人だから言えることだ
「頑張ろうぜ」
頑張ってる。そしてこの程度なんだ。
『どうせ僕なんて』
谷島
谷島
谷島
谷島
『同い歳なのに、俺と違って結婚して子供もいる』
『俺だって頑張ってるのに』
前川
前川
逃げたい
逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい
前川
美月
10分後
前川
店長
前川
この場は息苦しい
そう思った僕は、外に逃げた
前川
やっぱり僕はダメな人間だ
人と関わってはいけない人間
もう疲れた
前川
美月
前川
美月
前川
美月
美月
前川
美月
彼女は小さく笑った
美月
美月
美月
美月
前川
美月
前川
美月
前川
美月
前川
美月
前川
前川
美月
前川
美月
前川
前川
前川
前川
前川
美月
前川
美月
前川
美月
前川
ほんの5秒ほどの沈黙だったのに
今までの人生で一番長い5秒だった
美月
美月
美月
前川
彼女は優しく微笑むと、店内に戻っていった
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