テラーノベル
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ヒググレ注意 (センシティブな内容等はなし)
ねぇままぁ
抱っこしてほしいの
おててをつないでほしいの
ご本を読んでほしいの
いっしょにいてほしいの
ねぇままぁ
あのね
あのね
静かにして
ねぇぱぱぁ
よしよししてほしいの
いっしょにおやつ食べてほしいの
上手にかけたから見て欲しいの
いっしょにいてほしいの
ねぇぱぱぁ
あのね
あのね
一人で大丈夫だろう?
あのね
あのね
わたしね、さびしいの
グレイ
グレイ
グレイ
グレイ
あぁ、嫌な汗もかいてる...最悪
今日はやけに静か…嫌だな……
グレイ
グレイ
グレイ
グレイ
時計を見れば、午前12:00ちょっと前
普段なら2度寝か起きるかの2択だけど
グレイ
というか...やけに胸騒ぎがする
グレイ
グレイ
"誰かに会いたい"
そんな事を思ってると無意識のうちにスマホのメッセージ開いて呼ぶ相手を探す
数回ヤッただけの人をプライベート空間に呼びたくないし、 今はそういうのをしたい気分でもない
一颯やレグル辺りを呼んでもいいけど... なんとなく違う
グトナくんやローリアちゃんとかみたいなお友達? 楽しいと思うけど今満たしたいこの感情では何か違う
ブランに今すぐ帰って来いって言うのも申し訳ないし
そんなことを思ってるとひとつの名前が目に留まる
グレイ
グレイ
電話をかける一歩手前でうじうじしてる こういうダサい姿を誰かに見られたくない
ベッドの中でいつまでたっても決断できないまま スマホを握り締めてる自分が嫌い
いつもグレイは可愛いって言うマインドで生きているのに ふとした時にこうなるのが嫌い
普段自信家だけど本当はただそれを隠してるだけの愚図なのが嫌い
自分でも何をしたいのかわかってないところが嫌い
悶々としていると、間違えて電話をかけてしまう
グレイ
取り消そうとした時には後の祭りで、 ヒグレ先輩からの着信がかかってくる
ヒグレ
ヒグレ
電話越しで、少し曇ってるけど 普段と変わらない先輩の声に少し安心してしまう自分がいる
グレイ
グレイ
あぁ...だから嫌いなんだよ
素直に言えないとこやすぐに誤魔化すところ そういう生き方ばっかり覚えて
だから...だから...
ヒグレ
グレイ
ヒグレ
グレイ
ヒグレ
ヒグレ
グレイ
あー、やばい。 声に出ちゃったかな
嬉しい
偶然でも、全然嬉しい
ヒグレ
グレイ
ヒグレ
グレイ
ヒグレ
先輩にお茶を出しながら、 おこなみたいなしっぽがあればすぐにバレてしまいそうなくらい嬉しい気持ちを隠す
ヒグレ先輩の隣に座って、こないだ貰ったクッキーでもとってこようかな と思った時、ヒグレ先輩がグレイの頭を撫でてきた
グレイ
ヒグレ
グレイ
ヒグレ
ヒグレ
ヒグレ
グレイ
グレイ
内心で少しひねくれた口調をしながら 人差し指を片方の手で握りながら少し唇を噛む
グレイ
ヒグレ
グレイ
名前をよばれて、背筋がついピンと伸びるのは 新人時代に先輩によって染み込まされた癖のひとつ
昔は特に何も思ってなかったけど...今は結構不思議な感じ
ヒグレ
ヒグレ
先輩の手が額に触れて少し体が跳ねたが 温かくて安心できる手に、少しづつ慣れていく
そういえば、こうやって誰かに心配されるって...あんまりなかったな
セレスちゃんやステラちゃんにブランだったら即病院に連れていくし
レグルや一颯は気遣いながらも雑だし
あ、でも………いや、やっぱいいか
温かくて安心できるのって...あんまりないなぁ
グレイ
グレイ
普段の表情を作って笑うが、 ヒグレ先輩は少しだけ微笑んだあ後グレイの頭を撫でて、グレイを抱き締めた
グレイ
ヒグレ
グレイ
そう言われたら何も反論できないじゃないですか
やっぱり先輩はズルいしかっこいい
今まで沢山の人に抱きつかれたし抱きしめもした
なのに、なんでかな ヒグレ先輩のハグは違う
暖かくて、優しくて、いい匂いで、安心できる 一定の心音を感じられて思わず寝てしまいそうになるくらい
行き場を失った手をどうにかしてヒグレ先輩の背中に回して 少し呼吸の仕方を忘れた
先輩がグレイの背中を一定のテンポで優しくトントンしてくれてる
ヒグレ
グレイ
嗚呼、ズルい ずるいですよほんと
なんで当ててくるの?
なんでそんなに優しいの?
なんでそんなに暖かいの?
グレイ
ヒグレ
その言葉を聞いた時 思わずヒグレ先輩の背中に回していた手に力を入れて、先輩の服を握ってしまい
後悔したけど 不思議と声が出なくてその代わりなにか暖かい物が目から出た
グレイ
頬を伝う液体は 拭っても拭っても出続けるし
不思議と暖かくて、指じゃ拭いきれないくらい溢れてくるし
まともに言葉も出せないし
本当にうざったい
グレイ
ヒグレ
ヒグレ
先輩の優しい声が染みこんでくる
優しくて甘くて暖かい
頭を撫でられる度にどんどん視界がぼやけて頬を伝う量が多くなる
泣きながら声を出すのは難しいし 頭がガンガンして怖いし嫌い
必死に言葉を絞り出そうとしても
浮かんでくるのは 普段のと違う舌っ足らずでイライラする大嫌いな言葉
言いたくても飲み込む努力をしてお腹のそこに溜まって
20年以上蝕んできた大嫌いな言葉ばっかり
グレイ
"ヒグレ先輩になら、いいかもしれない"
グレイ
少し呼吸をおいて、下を後ろに引いて声を出す
グレイ
ヒグレ先輩を抱きしめる力を少し強めて 先輩の首筋に顔を埋める
言ったらウザがられる
言ったら怒られる
言ったら...また……
あんな目で見られる...
グレイ
グレイ
ヤバい 言っちゃった
先輩は優しいけど嫌われるかも
嫌だ
それだけは嫌だ
見捨てられたくない
見捨てないでほしい
そんなんなら死んだ方がマシ
どうしよう
先輩の顔が見れない
ふと、先輩がグレイを抱きしめる力を強める
グレイ
ヒグレ
先輩は、ただ無言で抱きしめたまま頭を撫でてくれてる
抱きしめる力は、ちょっと苦しいけど 心地いいし、優しい
随分前に一人で引っ張り出して読んでた絵本にでてきた 母子の絵が頭に浮かぶ
黄色とピンクの優しい色と、 子供を抱きしめる優しいお母さん
経験したことも 理解もできないような光景で
子供のころからの劣等感が生まれる要因にもなったあの絵本
グレイ
そうすれば 何か変わったんじゃないのかな
そんなことを思ってるうちに何かが壊れたように涙がまた出てくる
グレイ
グレイ
思わず声がでちゃうくらい 涙が止まらないし、頭もいたい
何も考えられなくなるくらい 頭に浮かぶ言葉がぽんぽんと口に出る
グレイ
グレイ
グレイ
ヒグレ
グレイ
グレイ
グレイ
グレイ
グレイ
ヒグレ
ヒグレ
ヒグレ
そう言って、微笑みながら頭を撫でてくれる先輩は
あの絵本に出てきた 『お母さん』と同じで、温かかい
ヒグレ先輩に母性を求めてるわけじゃないけど
無意識のうちに 安心や、それ以外の感情は求めてるのかもな...
ヒグレ
グレイが泣いて、本音を漏らして 少し時間が経ってから
一通り泣き疲れて 眠ってしまったグレイに膝枕をして黒髪を撫でる
私がこの子について知っていることはほんのひと握りで この子は私が想像することよる沢山、辛いことを経験している
それなのにいつも明るさを保ち 愛情に人一倍...いや、もっと飢えていることも無自覚なまま封じて
そんな生活を送っている中 ふとした時にその要因を思い出すだなんて
ヒグレ
グレイの手を握り、 空いた手で頭を撫でながら囁くように声を出す
ヒグレ
ヒグレ
ヒグレ
...だから、いつまでも笑顔でいて
そんな淡い願いを込めて また、グレイが眠りから覚めて普段の笑顔を向けてくれるまで一緒にいることにするの