橙
あれ、紫ーくん?
橙
どしたん?
紫
…
紫
_昨日人を殺したんだ
橙
…え?
紫ーくんはそう言っていて
夏なのに涼しい、
この梅雨時にずぶ濡れのまんま
部屋の前で泣いていて
俺は、どう受け取ればいいのか 分からなかった
紫
ガクガク…
橙
ッ…
でも、夏だ
やはり暑い
まだ夏が始まったばかり、
6月なのだから…
なのに、君は酷く震えている
橙
…
橙
紫ーくん__
紫
えッ…、
そんな話で始まる
あの夏の日の記憶。
一旦家にあげたが
この後どうすれば良いのかを 俺は理解できない
紫
…
橙
…
そして、この静かな空気の中
君は口を開けたんだ
紫
…
紫
殺したの隣の席の、
紫
いつも虐めてくるアイツだよ…
橙
え、
紫
もう、嫌になっちゃってね、w
虐めっ子
バンッ
紫
うッ…
虐めっ子
ハハハッwww
虐めっ子
良い気味だぜwww
紫
ッ…
紫
バンッ!!!!
虐めっ子
ッ!?
紫
ハァハァ…
虐めっ子
…
紫
…え、?
紫
いけない事って分かってたんだけどね、
紫
方を突き飛ばして、
紫
打ち所が悪かったんだぁ…
橙
ッ…
紫
それでね、思ったんだ
紫
もうここにはいられないって
橙
えッ…?
紫
だから、
紫
どっか、遠いところで死んでくるよw
紫
最後に、橙くんには言っておこうと思って
橙
…
橙
___て
紫
ん?
橙
それじゃ、俺も連れてって
紫
え?
紫
何言ってッ…
橙
…
紫
ッ…
橙
お願い…
紫
…橙くんが、決めれば良いよ
橙
…うん、ありがとな
橙
じゃあ荷物まとめるわ
紫
わかった、待ってるね((ニコ
橙
おん、ありがとな
橙
えと、まず必要なのは…
橙
財布、よな
橙
全財産持ってくかー…
橙
あと、携帯ゲーム…
橙
他…うーん、なんや
橙
あッ…
橙
…
橙
念のためや、ナイフは…
橙
使わんことを祈ってる…
橙
他はないから、全部壊していこう
橙
バンバンバンッ
橙
昔の、親と撮った写真…
橙
夏休みにつけていた日記、
橙
全て、いらんからッ…
橙
よし、
橙
紫ーくん、待たせてごめんな
橙
準備出来たから行こ!
紫
うん、そうだねッ!!
俺は、この旅に命を懸けたんだ
これは、
人殺しと駄目人間の君と俺の旅なのだから
橙
紫ーくん、次こっち行こ!
紫
あ、うんッ…
そして、俺達は逃げ出したんだ
あんな狭い狭い世界から…
毎日夕飯を作ってくれる家族も
放課後に一緒に遊んだクラスの奴らも
何もかも全部捨てたんだ
君さえいれば良いと思った
君と二人きりでいたかった
紫
…
橙
紫ーくん…?
橙
どうしたん?
橙
ごめん、もしかして俺、飛ばしすぎた…?
紫
え、あ、ううん!
紫
そういう事じゃなくて、ただ…
紫
こんな人殺しと一緒にいてもらっちゃって
良いのかなぁって…
良いのかなぁって…
橙
良いんよ、だって、俺が決めたんよ!
橙
一緒に、遠くで死ぬために!
紫
えッ…!?
橙
だって、
橙
紫ーくんからしたら
この世界に価値なんて一つもないやん?
この世界に価値なんて一つもないやん?
橙
それに人殺しなんてたくさん湧いてるやん
紫
…でも、俺が殺さなければッ
橙
…
橙
紫ーくんは何も悪くないんよ?
紫
…そんなことッ
橙
紫ーくんは何も悪くないよ
紫
ッ…
紫
…
紫
うん、ありがとう…
~後編に続く~