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♡多くねww 僕普段10~100押してるから我慢するの大変((( 他の方も見てきます✨
最高だった!
なり
なり
なり
なり
─流れる季節とトキ─
サアアァァァ…
桜を見つめながら、手に持つ手紙を握りしめる。
誰が見ても分かる。
見なくても分かる。
ハラハラと寂しげに舞う桜の花びらが、頬を掠めた。
ガラガラッ
ピシャツ
呼吸を整えながら自分の席に向かう。
まるで、昨日は何事も無かったかのようにトキは進んでいた。
最早昨日では無いのかもしれない。
右手の拳を見つめながら呟く。
昨日その手に握っていたはずの手紙。
今は何も無い。
キーンコーンカーンコーン…
自分の呟きとチャイムが被る。
ガラガラッ
自分の担任が教室に入ってきた。
俺の頭はアレの事でいっぱいだった。
──昼休み。
キイィ…
金属が擦れ合う音を立てて、目の前の扉が開く。
扉を開けると向かってくる、風。
あまりにも風が強くて目を瞑った。
目を開くと、屋上であるここまで届くほど高い、
桜が見えた。
視界に広がる桜を見つめながら、少し微笑む。
ぱさり、と自分の膝に弁当を広げる。
少し残念な感じがしたが、気にしなかった
そんなことを言っていたのが、1年前。
あの日。手紙を握りしめた日。
今、あの日握りしめていた右手には
リボンがかかった黒い筒が握られている
5年前のこの高校の終業式の日。
ほとけが植えたこの桜の木。
でも植えた本人はこの場に居ない
別に死んだ訳では無い
ただ、消えただけ
サアァァッ
風が吹き
俺の頭に桜の花びらが乗った
─ありがとう!いふくん!
そう言って、彼が頭を撫でてくれているような気がした。
目の下に流れる水を拭い、上を向く。
俺は、桜に向かって微笑んだ。