僕は浴衣も脱がないまま
ベッドに飛び込んだ
桃くんに赤くんを
紹介なんてしなかったら
今日遊びになんて
誘わなければ
こんな喧嘩しなくて済んだのに
遠くで花火が上がる音
それに混じって
スマホのバイブが鳴り響く
蒼
ははっ、、、
その違いに虚しくなって
思わず乾いた笑いが
口から零れ落ちた
結局昨日は
浴衣も脱がないまま
布団に入り
寝てしまった
蒼
酷い顔、、、
泣き腫らした目は
赤く腫れ上がり
頬には
乾いた涙の跡がある
蒼
こんなの桃くんに見せれないよ、
そう零れた言葉には
きっと力なんて
入ってなかった
桃
蒼!
蒼
桃、くん?
何故彼が居るのだろう
桃
ごめん、合鍵使って入った
蒼
あーね
そういえば合鍵を
渡していたんだ
蒼
勝手に入ってこないでよ、、、
こんな酷い顔
見られたくなんてないから
君から顔を逸らして
吐き捨てるように言った
桃
それは、ごめん、、、
桃
でもそうでもしないと
桃
蒼、あってくれないでしょ?
蒼
会うわけないじゃん、、、
蒼
会いたくなんてないよ、、、?
桃
ごめん。
桃
昨日赤と盛り上がったのは
桃
蒼のことで
蒼
そんなんどうとでも言えるよ?
蒼
口裏合わせたら
蒼
嘘だって簡単に付けるんだよ?
蒼
まずなんで彼女を置いてくの?
蒼
それが違うでしょ、、、
消え入りそうな声で
話す僕を君は
きっと苦しそうに見てる
君の息遣いで
そう感じる僕はきっと
どうしようもなく
桃くんが好きなんだ
桃
ごめん。本当にごめん。
桃
蒼の浴衣が可愛すぎて
桃
見てられなかった。
桃
だから視線逸らすために
桃
赤と話してたんだ
桃
蒼に辛い思いさせてごめん
君から言われたかった
切望していた言葉
それが聞けたからなのか
僕の目から
熱い雫が零れた
桃
え、蒼?
桃
どうしたの?なんかした?
桃
まだ怒ってるの?
蒼
ううん、、、違うの
蒼
嬉しかったの、、、
桃
嬉しい、、、?
蒼
桃くんに浴衣可愛いって言われたの
蒼
すごく嬉しいから
桃
え?
桃
そんなこと?
蒼
うん、、、
桃
今度はちゃんと2人で
桃
お祭り行こ?
桃
今度こそ蒼とデートしたい
蒼
うん、、、
苦々しい思い出は
きっと来年には
笑い話になっているんだろう