月島
着いたぞ
杉元
樺太か……
忠成
(どんな所だろう……)
谷垣
北海道の最北端から約40キロか
谷垣
あっという間に着いたな
杉元
北海道よりは少し小さな島なんだっけ
谷垣
大泊は樺太の玄関口だ、キロランケたちが来てるのならば、ここから上陸した可能性が高い
月島
鯉登少尉殿、こんなに持っていけませんよ、置いていきなさい
鯉登
必要最小限だ!あ…
チカパシ
うー…
鯉登
ひッ、なんだこの汚いのは!
谷垣
チカパシ!
月島
谷垣が連れていた子供か
谷垣
う…
月島
北海道へ戻る船に頼んで送り返しておけよ
チカパシ
北海道戻っても、俺がいる場所ない
谷垣
ん……
月島
これ以上子守をする気はないぞ
鯉登
ん?
忠成
リュウまで…
杉元
こいつには何度も助けられている
杉元
連れていこうぜ
谷垣
樺太にもアイヌがいるらしい、聞き込みするとき、俺たちだけで行動するより
谷垣
チカパシがいた方がいいかもしれん
月島
谷垣が責任を持て
杉元
そうと決まれば、まずは聞き込みだ
杉元
この写真に写ってる子、見なかったかい?
男性
へえ〜かわいいね
男性
あれ?そこにいるじゃねえか
杉元
えっうそだろ!
谷垣
え…
杉元
あ…間違った、この写真じゃないわ
忠成
まずなんで持ってるんだよ
杉元
(インカラマッの情報は正しかったんだろうか、本当にアシㇼパさんは、樺太に来てるんだろうか)
谷垣
北海道だと、初雪はまだ1ヶ月先なのに、
杉元
樺太ヤバいな
月島
ん?鯉登少尉がいなくなったぞ
忠成
あれ、どこいった?
女性
軍人さんフレップ知らないの?
女性
コケモモよ、こっちでは夏の沼地にたくさん実がなるの
女性
フレップワインは樺太の特産品よ
月島
鯉登少尉殿、1人でウロチョロしないでください
鯉登
甘酸っぱくてなかなかうまいぞ、飲んでみろ、月島軍曹
杉元
観光じゃねえんだぞボンボンが
杉元
てめぇの楽しみを優先すんなよ
女性
服に垂らさないようにね、フレップの赤いのは洗っても落ちないから
鯉登
あ…そうなの
そういった直後、鯉登少尉が残りのワインを杉元の服にかける
杉元
…
谷垣
落ち着け、杉元
忠成
そうだぞ、
杉元
おねえさん、俺にもついでくれる?
鯉登
貴様杉元!何をする!
忠成
おい、ここまで来てやる事か?
女性
ボウヤも、初めて見るアイヌの子だね
女性
今日は2人目だわ
杉元
それ、詳しく教え…(ドゴッ
女性
いつも町まで魚を売りに来るアイヌのおじいさんがいてね
女性
犬ぞりの後ろに初めて見る女の子が乗ってたのよ
杉元
こ…この子か!?
女性
ちょっと違うわね
杉元
この子か!?
女性
ああそうそう、この子よ
杉元
ホントに?間違いなくこの子か?
女性
うんうん、ついさっきアイヌの集落へ帰って行ったわよ
忠成
(アシリパが出会ってすぐのじいさんにのこのこと着いて行くはずがない……期待はできないな)
杉元
やっぱり来てた!
杉元
アシㇼパさんは、この樺太に来てたんだ!
月島
アイヌのじいさんが住む集落は、この道を数キロ先らしい
月島
(ロシア語)こんにちは
杉元
スゲえ、しゃべれんのか
忠成
俺たちには馴染みのない言葉だな
月島
(ロ)本当か?
男性
(ロ)ああ、間違いない
月島
走れ、急ぐぞ!
月島
ついさっき、アイヌの女の子を見かけたらしい!
月島
少女が1人であの森に入っていくので止めようとしたが、
月島
見失ったそうだ!
月島
この時期はまだヒグマも冬眠していない、それにこの辺りの森は、ヒグマよりももっと凶暴な動物がいると言っていた
鯉登
どんな生き物だ、それは
杉元
アシリパさーん!
忠成
アシリパー!
谷垣
子供の足跡がある、こっちだ!
杉元
ハアハア…く…
エノノカ
あ…
杉元
あ…
杉元
アシリパさんじゃない
月島
樺太アイヌの女の子だったのか
月島
あのフレップねえさんもいい加減だな
月島
まあ、和人にとっちゃどっちもアイヌか
チカパシ
どうして1人なの?
エノノカ
ヘンケの耳悪い、ヌソから私落ちた
エノノカ
クコタヌフ帰る、ここまっすぐ、私のクコタヌフ!
エノノカ
クコタヌフ帰る、ここまっすぐ、私のクコタヌフ!
鯉登
そりから落ちたのに、じいさんの耳が遠くて置いてかれたから、近道で森を通ったってことだろう
エノノカ
あなた北海道のアイヌ?
エノノカ
私会った、北海道から来たアイヌの女の子!
杉元
え?ちょっと待て、その子って…
月島
ん?
忠成
あ…ヒグマだ!
月島
子供たちを後ろに!
谷垣
う…
月島
様子がおかしいぞ
杉元
血が出てる、怪我してるのか?
忠成
何かが張り付いてるぞ
ヒグマに振り回されて、何かが宙を舞って地面に落ちる
杉元
こいつがヒグマを襲ってたのか?
月島
鯉登少尉殿、離れてください
鯉登
これがさっき言ってたヒグマより凶暴なやつなのか?
鯉登
なんか弱そうだがな、つぶらな目でかわいいではないか
杉元
リュウはわかるみたいだぜ
忠成
おい、避けろ!
鯉登
うっがぁっ!
鯉登
うわっ!ああ!
鯉登
月島ァ〜!
月島
こいつ素早いぞ!
エノノカ
ああ…
杉元
でかしたチカパシ!
杉元
うう!頼むぞ!
杉元
その子は、アシリパさんの情報を持っている!
杉元
投げるぞ!
月島
よし!
杉元
おおらあ!!
杉元
やったか?
月島
分からん、とにかく離れるぞ!走れ!
鯉登
来たぞ月島!
月島
撃て!追いつかれるぞ!
杉元
あったんねえ!
忠成
うお、何匹かいるぞ!
杉元
うう…
男性
エノノカー!
エノノカ
ヘンケ!
忠成
(さすがにこの数はヤバい…)
谷垣
杉元と忠成も早く乗れ!
忠成
先行ってろ!
忠成
殺してくる!
杉元
は!?
忠成
(ゴキャッ)よし、次だな
その後忠成はクズリを噛み殺したりして四匹いたクズリの三匹を殺した
忠成
ぺっ、美味しく無え…
忠成
てか、追いつかないと…
ヘンケ
トホ、トホ、トー!
忠成
おーい!何匹か殺して来たぞ!
杉元
化け物かよ!
忠成
鬼だぜ!
月島
早く乗れ!
忠成
分かった!
忠成
よっ(飛んでソリに乗る)
杉元
諦めたみたいだぜ
ヘンケ
パーヤ
エノノカ
ヘンケが重いって言ってる、犬が疲れちゃう!
鯉登
谷垣一等卒、貴様のせいだ
谷垣
え…
鯉登
雌牛のように太りよってからに
谷垣
え…え……
杉元
そうだな〜、肥えすぎだ
谷垣
おわ!
鯉登
走って痩せろ!
鯉登
谷垣一等卒!
谷垣
ハア…ハア…ハア…
忠成
お疲れ様、
エノノカ
私とヘンケ、ここで2人で住んでる
エノノカ
でもここ、夏の家
エノノカ
私たち寒くなると、あっちにある冬の家に移る
杉元
樺太アイヌは家が二つあんの?
エノノカ
(かまくらのようなものを指さして)こっちが冬の家