私は、グループのメンバーから嫌われている。

私以外の6人で食卓を囲む。 こんなの、もう、当たり前の光景。

ずっと前に買ったグラノーラが残って いるのを見つけ、手に取った。

メンバーたちは、楽しそうに、あっきいの 作ったご飯を食べている。

本当なら、私も、あの中にいるはずだった。

2ヶ月前までは。

～2ヶ月前～

私は、この日、体調不良だった。 STPRの先輩方と、お食事の機会だったのに。

みんなが、楽しそうに出かける姿は、 いつも通りで。態度が変わったのは、帰ってきてからだった。

ガチャ

みんな黙って家に入ってきて、 誰も目を合わせてくれなくて、違和感を感じた。

この日を境に、みんなは、 今のように、冷たくなってしまったんだ。

私は、台所にある小さい椅子に座り、 グラノーラを口に運んだ。

といっても、最近は食欲がわかず、 今だって、五口ほどで食べ終わってしまう。

小さく呟いて、笑い声が響くリビングを後にした。

その後、用意を済ませ、カバンを持って戻ってくる。 みんなより先に、学校に行くんだ。 玄関に行くには、リビングを通らないといけない。

みんなも、もう食事は済ませた様子で、 各自、用意に取りかかっていた。

「行ってらっしゃい」の言葉も、 もう、聞けないんだ。

通学路を歩きながら、 みんなのことを思い出す。

まだ、仲が良かった、あの頃のこと。

私たちは、グループを組んでいる。 『AMPTAK×COLORS』という、 大切で、大好きなグループ名。 『すとぷり』と『KnightA』を先輩にもつ、 STPR所属の歌い手グループなんだ。

AMPTAK、という言葉は、 わたしたちメンバーの頭文字を取っている。

はじめの『A』は、あっきぃ、または あききこと、からつけあっきぃ。 彼は、料理が上手で、いつも家で作ってくれている。 優しくて、時には、かわいい一面もあるんだ。

次の『P』は、ぷりちゃん、または ぷーのすけこと、ぷりっつ。 彼は、関西弁を喋る。おもしろくて、頼りがいが あって、あっきぃくんの相方なんだ。

次の『M』は、まぜちこと、まぜたと、 わたしの２人。わたしたちだけ、語呂が悪く なるからと、２人で１つの頭文字なんだ。 彼は、ぷりっつくんとは、また違うおもしろさが あって、仲間思いなんだ。

次の『T』は、ちぐちゃんこと、 ちぐさ。声がかわいくて、癒し担当。 あっきぃくんと同じように優しくて、 絵を描くのが、得意なんだ。

次の『A』は、あっちゃんこと、 あっと。声がイケボで、クール。 時々ふざけるのがおもしろくて、女声が上手で、 まぜたくんの相方なんだ。

最後の『K』は、けちゃ、または けちちこと、けちゃお。 バカキャラだけど、英検準1級を持っている ギャップがあって、おもしろい、 ちぐさくんの、相方なんだ。

この優しくて大好きなメンバーと グループを組むことになったとき、 すごく嬉しかった。

2ヶ月前までは、みんな、優しかった。 仲も良かったし、毎日が楽しかった。

朝ご飯の時だって、あっきぃのご飯を 食べながら、みんなで盛り上がって。

...あの頃に、戻りたいな。

ここには、彼女がいるんだから。

メンバーに好かれている女の子。

朝陽ちゃんが。

朝陽ちゃんは、2ヶ月前、引っ越してきた。

明るい彼女は、すぐに、クラスのみんなと仲良くなった。 もちろん、メンバーたちとも、そうだった。

私は、朝陽ちゃんが引っ越してきてすぐに、 メンバーに嫌われたから、仲良くできなかった。 ううん、「仲良く」してくれては、いる。

まるで、私は、「言いなり」のよう。 彼女が、メンバーの一員のように、思わされる。

グループの中心にいる彼女が...羨ましい。

教室に着いてしばらくしてから、 メンバーたちが登校してきた。

もう、完全に、彼女の場所だ。 私の場所なんて、どこにもない。

～放課後～

ガチャ

もちろん、返事なんてない。でも、 撮影のために、みんなリビングに集まっている。

～10分後～

撮影では、唯一仲良くしてくれるの。 みんなが、名前呼んで、仲良くしてくれて、 一緒にゲームできて、会話に参加できて。

撮影が、終わらなければいいのに。

～撮影終了後～

みんなの冷たい視線が、突き刺さる。

私も、みんなとご飯、食べに行きたいよ...

ガチャ