TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

〜歌集〜

一覧ページ

「〜歌集〜」のメインビジュアル

〜歌集〜

11 - せめて一花の祝福を

♥

100

2019年06月11日

シェアするシェアする
報告する

せめて一花の祝福を

暖炉の炎が煌々と

せめて一花の祝福を

揺れる自意識を照らし出して

せめて一花の祝福を

絵の具はやがて泥に変わり

せめて一花の祝福を

それでもくるめき美しく

せめて一花の祝福を

各自(てんで)の愚劣をぶら下げた

せめて一花の祝福を

狂いに狂った蒙昧(もうまい)どもの

せめて一花の祝福を

批評家気取りの値踏みの目

せめて一花の祝福を

ここに価値あるものはないさ

せめて一花の祝福を

誰も見たこともない景色を

せめて一花の祝福を

誰にも見せることなく描いた

せめて一花の祝福を

朽ちゆく心に讃美の歌を

せめて一花の祝福を

礼讃の声を 死に花に泪を

せめて一花の祝福を

群青に染まりゆく

せめて一花の祝福を

箱庭に咲くはとりどりの

せめて一花の祝福を

悲しみに満ち満ちた 不揃いな造花で花束を

せめて一花の祝福を

瘦せぎすに瞬いた 新月を食(は)むは白鯨(はくげい)の

せめて一花の祝福を

遊波が凪(な)いだ街 その暗がりに色を塗るよ

せめて一花の祝福を

行き場をなくした感情が

せめて一花の祝福を

天鵞絨(びろうど)のインクに混ざれば

せめて一花の祝福を

マントルピースの天使たち

せめて一花の祝福を

さざめき静寂(しじま)をかき消した

せめて一花の祝福を

気取り屋たちのうぐな声

せめて一花の祝福を

卑(いや)しい快楽(けらく)を引き連れては

せめて一花の祝福を

価値すら解(かい)さぬ 哀れな目

せめて一花の祝福を

げに見るべきものわからずに

せめて一花の祝福を

誰も見たこともない景色を

せめて一花の祝福を

誰にも見せることなく描いた

せめて一花の祝福を

餓(う)える魂に 一縷(いちる)の笑みを

せめて一花の祝福を

一切れのパンを せめてもの祈りを

せめて一花の祝福を

リキュールに沈みゆく アトリエが生むは雛(ひな)鳥の

せめて一花の祝福を

そのうち枯らした尾羽(おはね)を癒す止まり木の木漏れ日よ

せめて一花の祝福を

憂鬱を吸い込んで蝶よ花よと育む夢

せめて一花の祝福を

両の手で温めて

せめて一花の祝福を

孵(かえ)るその時を待ちわびた

せめて一花の祝福を

枯れた造花に恵みの落涙を

せめて一花の祝福を

素晴らしき日々にただただ祈りを

せめて一花の祝福を

頑是(がんせ)無き夢に 帆走(ほばし)る希望を

せめて一花の祝福を

途切れて消えた視野の先で

せめて一花の祝福を

滔々(とうとう)と雄弁に語ることなどできないけど

せめて一花の祝福を

誰からも愛されるような人にはなれないけど

せめて一花の祝福を

あんなにも美しく歌うことなどできないけど

せめて一花の祝福を

カラカラのこのペンで

せめて一花の祝福を

君の心象に絵を描いた

せめて一花の祝福を

群青に染まりゆく箱庭に咲くはとりどりの

せめて一花の祝福を

悲しみに満ち満ちた不揃いな造花で花束を

せめて一花の祝福を

瘦せぎすに瞬いた新月を食むは白鯨の

せめて一花の祝福を

遊波が凪いだ街、その暗がりに色を塗るよ

せめて一花の祝福を

loading

この作品はいかがでしたか?

100

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚