ある日の8月。
この日は特に蒸し暑い日だった。おれは、この暑さにやられてしまったのかもしれない。
内山誠一
あー疲れた

上谷降
お疲れ様です。内山先生

内山誠一
急患だからってわざわざ時間割いてやったのに、なんだよあの対応は。
あいつのミスがなけりゃたった2時間で終わったってのに…あのバカMEめ

上谷降
オペでなにかハプニングがあったことは胸中察しますが、今はこれ以上の鬱憤はやめましょう…ね

内山誠一
このおれに我慢しろって?んなの無理に決まってんだろ
おまえもわかってんだろーが

上谷降
まあまあ、コーヒー入れたので落ち着いてください

内山誠一
そんなもんで落ち着けたら苦労しねえって…

上谷降
といいながら飲んでるじゃないですか

上谷降
(全く…素直じゃないんですから)

暫くコーヒーに浸っていると、医局の外からヒールの音が近づいてきた。そして勢いよく戸を開けて入ってきたのは、医院長秘書の加糖ゆきである。
加糖ゆき
ねえ!!BIC NEWSよ!!

内山誠一
び、びっくりしたじゃねえかよ!声張り上げすぎなんだよ、てめえは

おれはあまりの大声に驚いて口に含んでいたコーヒーを吐いてしまった。
内山誠一
耳壊れるっての…

加糖ゆき
嬉しいニュースなんだから張り上げて当然じゃないの!あんたは嬉しくないの?変わった人ね。まあ元々だけど

内山誠一
は、あ?!

内山誠一
なんでおれに聞くんだよ
別に嬉しくなんて…

加糖ゆき
あ、つべこべ言ってる間に来たわよ!

加糖ゆき
その耳どうにかしなさいね

内山誠一
は、あ?!う、うるせえよ!

加糖ゆき
あら、夜田先生!今回は早いのね、おかえりなさい!

夜田蛇太郎
あ、ああ

加糖ゆき
ああ、そういえば!内山先生から伝言があるそうよ

加糖ゆき
じゃあね、内山せーんせ!

内山誠一
な!加糖!てめえ絶対許さねえかんな!

加糖ゆき
そんなんで説得力ないわよー
じゃあねー

内山誠一
くそっ

夜田蛇太郎
なにか喧嘩したのか?

内山誠一
ちげえよ、別にそんなんじゃねえ

夜田蛇太郎
あれは痴話喧嘩にしかみえないな

内山誠一
な!バカヤロウ!

内山誠一
ち、痴話喧嘩なんてそんな下世話な喧嘩してねえよ!

夜田蛇太郎
それになんでお前の耳がそんなに赤い?熱でも……

内山誠一
べ、べつに熱なんてねえよ!
てか触んなって……!

夜田蛇太郎
すまん

内山誠一
てかさ、上谷は?

夜田蛇太郎
あいつは隙狙って医局から出ていったぞ。見てなかったのか?

内山誠一
ああ、そうか

夜田蛇太郎
それで俺に言いたいことって?

内山誠一
あ?そんな話ねぇよ

内山誠一
加糖の作り話だ
ほら、あいつ好きだろ?作り話

夜田蛇太郎
そうか
お前は無頓着だな

内山誠一
おまえに言われたくねえよ

夜田蛇太郎
しかし熱はなく耳は赤い上に、やたら挙動不審で目を合わせない……

夜田蛇太郎
今日のお前は変だぞ?本当に大丈夫か?

内山誠一
大丈夫だから、こっち見んなよ

夜田蛇太郎
いいや、そう言われると
もっと気になる

内山誠一
なんでだよ!

夜田蛇太郎
……

内山誠一
な、なん…だよ

内山誠一
(近いって…心臓の音聞こえちまう)

夜田蛇太郎
目、合わせてくれ

内山誠一
な、なんでだよ
一旦離れてくれよ

内山誠一
お願いだから……ぁ、ン

内山誠一
……ン、ぅ

夜田蛇太郎
ン……

内山誠一
も、やめ……へんになるか、ら

夜田蛇太郎
お前が目を合わせないからだ

内山誠一
い、みわかんね…

夜田蛇太郎
お仕置だ

内山誠一
や、だ…こんなとこで

夜田蛇太郎
好きだ

内山誠一
あ、ン……っ
