テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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LINE１３６９

第1話 - あ

2023年12月01日

#スカッと

タナカトシキ

ソウタ

アサミ

ソウタ

明日なんだけど、夜ご飯一緒に食べに行かない？

ソウタ

俺、しばらく仕事で忙しくて一緒に行けなかったし...

アサミ

明日は、私会社の飲み会があるから、行けないや

アサミ

悪いけど、仕事の付き合いも大事にしたいから、ごめんね

ソウタ

でも、俺との約束を優先してくれるだろ？

ソウタ

あんまり、滅多に会えないんだし、俺たち

ソウタ

彼氏なんだしさ

アサミ

滅多に会えない、って言ったって...

アサミ

週末は毎週のように会えてるじゃん

アサミ

それじゃダメなの？

ソウタ

それじゃダメなの、って...

ソウタ

なんか、俺が無理やり会うことを強制してるみたいじゃん

ソウタ

アサミってそういうところあるよなー

ソウタ

可愛げない、っていうか、さっぱりしてて塩対応、っていうか

アサミ

だって、実際にそうでしょ？

ソウタ

俺らの周りのカップルは、もっと一緒にいるイメージあるけど

アサミ

周りは周り、私たちは私たちでしょ

アサミ

それに、ソウタの一緒にいたい、っていうのはなんか異常すぎ、っていうか過剰なんだよ

アサミ

先週、私が友達の買い物について行くから、って言ったのに...

アサミ

無理やりショッピングモールまで来て、あたかもそこで出くわしたような顔で私の前にきたじゃん

アサミ

友達も、気遣って1人でショッピングに行っちゃったし...

ソウタ

あれは、本当にたまたまだって

ソウタ

俺のせいにするんじゃねーよ

アサミ

本当に、たまたまだったの？

アサミ

ソウタ、滅多に買い物なんて行かないじゃん

ソウタ

あの日は、たまたま欲しいものがあったんだよ

ソウタ

あと、外出したい気分だったの

ソウタ

仕事が続いてて、パソコン作業ばっかりで疲れてたんだ

ソウタ

たったそれだけの理由だけど、なんか悪い？

アサミ

別に、そういうわけじゃないけど...

アサミ

不自然に思っただけ

ソウタ

じゃあ、アサミの勘違い、ってことで

ソウタ

俺は、たまたまあのショッピングモールでアサミとその友達に会っただけだから

アサミ

あっそう...

アサミ

まあ、そこまで言うなら、信じてもいいかな

ソウタ

ほんと、勘弁してくれよ

ソウタ

俺のこと、ストーカー呼ばわりみたいにするの

アサミ

別に、そんなこと言ってないじゃん

アサミ

ただ、不思議に思っただけだよ

ソウタ

そう？

ソウタ

ならいいけど...

アサミ

まあ、それは置いておいて...明日は私、無理だからね

ソウタ

あのさ、この前アサミの側にいた人って、上司かなんか？

アサミ

あ、カナタ君のこと？

アサミ

違うよ、ただの同僚

ソウタ

ほんとかよ

ソウタ

絶対、アサミに気があるじゃん

アサミ

そんなんじゃないって

アサミ

っていうか、迎えになんて来なくていいって言ったのに、

アサミ

なんであの日、来たわけ？

アサミ

私、頼んでないよね？

アサミ

むしろ、あの日は仕事の仲間と一緒に楽しく話したかったから、来てほしくなかった

ソウタ

なんでそんなこと言うんだよ

ソウタ

せっかく迎えに行ってあげたのに、そんな言い方？

アサミ

だって、金曜日だったし、次の日は仕事なかったから、

アサミ

あのあとみんなで、カラオケでも行こうか、って話してたところなんだよ

アサミ

それを、ソウタが邪魔したんだよ？

ソウタ

そんなの、知らなかったんだからしょうがないだろ

アサミ

雰囲気で読み取ってよ

アサミ

同じ社会人なんだから、そこら辺の雰囲気とか、状況は分かってくれると思ったんだけど

ソウタ

そんなの、どうやって読み取るんだよ？

ソウタ

だいたい、俺はそんな馬鹿みたいに酔っぱらって飲んで遊ぶ新卒1年目とは違うんだよ

ソウタ

健全な、しっかりした社会人なんだ

アサミ

は？私のことどう思ってんの？

アサミ

っていうか、私だけじゃなくて同僚の子たちまで悪く言うのは止めてよ

アサミ

何、意地張ってんの？

ソウタ

別に、意地なんか張ってねーだろ

ソウタ

事実を話してるだけだ

アサミ

もー信じられない

アサミ

呆れた

アサミ

私たち、付き合ってるけど仕事とプライベートは同じくらい大切にしよう、って話したよね？

アサミ

仕事のことに何か口出ししてくるのは止めてよ

ソウタ

口出しじゃない

ソウタ

とにかく、明日の飲み会が終わったら、すぐに家に帰るんだぞ

ソウタ

2次会とかだめだから

アサミ

なんで！？

アサミ

なんでソウタがそこまでして私の行動とか、交友関係に制限をかけるの？

アサミ

こっちだって、会社の付き合いは大事にしていきたいんだけど

ソウタ

それは、それで関係は保っていけるだろ

ソウタ

飲み会がなくたって、仲良くやっていけるじゃん

アサミ

お酒を介して気軽に話せることだって、出てくるでしょ

ソウタ

飲み会を使わないと仲良くなれないなんて、

ソウタ

そんな言い訳言ってるうちは、まだまだコミュ力がない証拠なんだよ

ソウタ

別に、飲み会なんてなくたって、会社の付き合いなんてうまくやっていけるだろ

アサミ

もう、知らない！

アサミ

私は、明日自分の思うように身を任せて会社のみんなと楽しむから

アサミ

金曜なんだし、次の日は休みだもん

ソウタ

金曜に飲みに行くから、土曜日の俺の誘いは断ったわけ？

アサミ

そうだけど？

アサミ

疲れをとる日、って決めてるから出かけるモードじゃないの

ソウタ

そんなの、彼氏に言うことかよ？

ソウタ

アサミ、俺のことどう思ってるの？

アサミ

どうって...

アサミ

彼氏だけど、いつも一緒にいないといけない人、ってわけじゃないじゃん

アサミ

それに、ソウタも自分の友達とか、同僚と飲みに行く時間にしたらいいんじゃないの？

アサミ

自分の周りの人間も、大事にしなよ

ソウタ

俺は、俺なりに付き合いは上手くやってるよ

アサミ

とにかく！もう口出しして来ないで！

アサミ

お店にも来ないでね！

～翌日21時～

アサミ

ソウタ

アサミ

今すぐ、話したいことがあるんだけど

ソウタ

何だよ

ソウタ

飲み会終わって、酔っぱらったから迎えに来て～とか、

ソウタ

そんなお願いは聞かないからな

アサミ

そんなお願い、するわけないじゃん

アサミ

なんか、ソウタが私が行く先々にいるから、不思議だな、って思ってたの

アサミ

この前の飲み会だって、偶然通りかかっただけだ、って言ったけど、

アサミ

あのお店は路地の中にあるし、飲みに行かないソウタが知ってるなんて珍しい

アサミ

それに、ショッピングモールで会った時も、理由がわざとらしかったし...

アサミ

ソウタ、私のスマートフォンにＧＰＳ仕込んでたんでしょ！？

ソウタ

は！？何言ってんだよ

ソウタ

証拠でもあんのかよ？

アサミ

昨日の飲み会で、ちょっと機械に詳しい同僚に、束縛されてる、って相談したの

ソウタ

だから、束縛じゃなねーて

アサミ

最後まで聞いて

アサミ

それで、大抵はスマートフォンになんか仕込まれてることが多いよ

アサミ

って言われたから、見てもらったの

アサミ

そしたら、GPSが入ってたんだよ

アサミ

どういうことか、説明してよ

ソウタ

はーめんどくせぇ

アサミ

は？何？

ソウタ

俺がやってたのは、ストーカーじゃなくて護衛

ソウタ

最近、夜に出回ると危ないから、と思ってつけたんだよ

アサミ

そんなの、今作り上げた口実でしょ？

アサミ

適当なこと言わないでよ！

ソウタ

本当だって

アサミ

じゃあ、今まで私のことつけまわしてたのは何だったの？

ソウタ

だから、そんな勘違いすんじゃねーよ

ソウタ

なんで女子って浮気とか疑うくせに、自分は男といるのを怒られたら文句ばっかり言うんだよ

アサミ

私、ソウタが浮気してるなんて言ったことないじゃん

アサミ

別に、私はやましいこと1つもしてないんだからね

アサミ

それとも、なんか私に隠したいことでもあるの？

ソウタ

そんなこと、あるわけねーだろ

ソウタ

っていうか、何もやましいことない、って言うなら、GPSつけてても文句言うなよ

アサミ

もう知らない

アサミ

好きにすればいいじゃん

～翌日～

アサミ

おつかれ、カナタ君

カナタ

おつかれ！

カナタ

最近どう？彼氏の方は

カナタ

俺が会った時、すげー怒ってたけど、

カナタ

あのあとなんか嫌なこと言われなかった？

アサミ

それが、この前の飲み会の後も、そのことですごい文句言ってきて...

アサミ

GPSのことも、話したら「護衛だ」とか意味わかんないこと言い始めてさ

カナタ

マジか...すげーな

アサミ

それでさ、カナタ君に、少しお願いがあるんだよね

カナタ

え？俺に？

カナタ

良いけど...

アサミ

じゃあさ、今日会社で会った時に話すよ

カナタ

おっけ！

～翌日２１時～

ソウタ

おい！アサミ

ソウタ

今、駅前のカフェにこの前の同僚と一緒にいるだろ？

アサミ

そうだけど？

アサミ

仕事の打ち合わせで一緒にカフェに来てるだけなんだけど

ソウタ

仕事の打ち合わせなんて、会社でやればいい話だろ

ソウタ

これは、立派な浮気だ！

アサミ

っていうか、ソウタ、なんで私が駅前のカフェにいる、って気づいたの？

ソウタ

あっ...それは...

アサミ

ソウタさ、

アサミ

今、警察の人につけられてると思うよ

ソウタ

は？どういうことだよ？

アサミ

同僚のカナタ君に、協力してもらったの

ソウタ

何を？

アサミ

GPSなんてやめて、って言っても、ソウタやめなかったじゃん

アサミ

だから、警察の人に証拠を出すために、

アサミ

ソウタ君と一緒に歩いてもらって、ソウタのことをおびき寄せたんだよ

アサミ

どうせ、会社から家に直帰しない私の動きを見たら、怪しんでつけてくるかな、って思ったの

アサミ

案の定、引っかかっちゃったね

ソウタ

そんな...

ソウタ

え！？今サイレンの音が...

アサミ

もう、近くにいる、ってことじゃない？

アサミ

あっ！それと、もう１つ言いたいことがあるんだった

アサミ

ソウタさ、浮気してるでしょ？

ソウタ

は？

ソウタ

何言ってんだよ？

アサミ

私が気づいてないとでも思った？

アサミ

この前、GPSの話した時に、ソウタにカマかけたの

アサミ

なんかやましいことでもあるの？って

アサミ

それで、ソウタが翌日退勤したあとに知らない女の人と会ってるところ、

アサミ

私見ちゃったんだ

アサミ

証拠として、写真にもちゃんと収めたんだからね

ソウタ

そっちこそ...それって立派なストーカーなんじゃねーの！？

アサミ

私の場合は、違うでしょ？

アサミ

別に、GPSなんて使ってないし

アサミ

ソウタに迷惑かけるようなことも、別にしてないよね？

ソウタ

そうかもしれないけど...

ソウタ

でも、つけるなんてこと！

アサミ

そんなに私に怒ってる暇、ないんじゃないの？

ソウタ

は？どういうことだよ？

アサミ

もしかしたら、ソウタ結構な罰金を請求されるかもよ？

ソウタ

え？なんで罰金？

アサミ

私が迷惑してるのに、何度も執拗に私の行動を監視してたじゃん

アサミ

それで、私は何度も迷惑だ、って言ってたのに...

アサミ

ストーカー行為やめなかったでしょ？

アサミ

私の証言次第で、ソウタの罪は重くなりえる、ってこと

ソウタ

は？そんなの、やめてくれよ！

アサミ

さらに、私が慰謝料とかも請求すれば、さらに請求は増やすことできるんだから

ソウタ

イヤ...俺、まだ新卒１年目だし...

ソウタ

俺がどんなに金がないか...分かるだろ？

アサミ

じゃあ、今すぐ謝ってよ

アサミ

それで、別れてくれたらこのこと、全部なかったことにしてあげる

ソウタ

分かった！

ソウタ

今までのこと、全部謝るよ

ソウタ

それで、もうアサミには関わらないようにするから...

ソウタ

慰謝料とかそれだけは...止めてくれないか？

アサミ

うん、よく言えたね

アサミ

じゃあ、私たち今から赤の他人、ってことでよろしくね

～後日談～

アサミ

そして、私とソウタはキレイさっぱりお別れすることができました

アサミ

でも、ソウタの浮気相手の女が、ソウタが二股をかけていたことに切れたらしく...

アサミ

ビンタをくらわされ、結局その彼女とも別れたようです

アサミ

私は今はフリーですが、自分のやりたいことを何も気にせず好きな時に、

アサミ

好きなところに行けるので、すごく自由が増えて幸福度マックスです

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