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ルリシア・パーソン
ルリシアの目の前で傷つけられていくリドル。
ルリシア・パーソン
強化ガラスと言っても、この強化ガラスは一級品だ。
そう簡単に壊されるものじゃない。
ドンッドンッ
バシッドカッ
交互になるガラスを殴る音とリドルに暴力を加える音…
ルリシアにとってこの時間は地獄のように長く感じた。
放心状態で、声は全く聞こえない。
ただ、壊れたラジオのようにガラスを叩く音と暴力を振る音をぼんやり聞いていた。
図書室
ルリシア・パーソン
この時からルリシアは回復魔法について独学で勉強を始めていた。
呪文も、術式も、要領のいい彼にはすべて頭に叩き込まれていた。
しかし、彼には1つ欠点があった。
ルリシア・パーソン
ルリシア・パーソン
彼は、その魔法を実践したり、それを披露するのが極力苦手だった。
何もかも記憶できることは完璧なのに、人前や先生の前に出てしまうと、呪文も術式も全て頭から消えてしまう。
よく先生から筆記問題では文句無いほど良くできるのに、これほどまでに実践は出来ないのか、散々と言われた。
ルリシア・パーソン
ルリシア・パーソン
ルリシア・パーソン
ルリシア・パーソン
ルリシア・パーソン
とぼとぼ本を持って机に行こうとした時
ドンッドサドサドサッ
不意にルリシアと誰かがぶつかる。
ルリシア・パーソン
顔を上げると、目の前にいたのは
リドル・ローズハート
リドル・ローズハートだった。
実践魔法が得意で、積極的に発表もする。かつ筆記問題も完璧。
規律を重んじ、他人にも自分にも厳しい。
まさに模範人間、ルリシアとは正反対に当たる人だ。
リドル・ローズハート
ルリシア・パーソン
リドル・ローズハート
ルリシア・パーソン
リドル・ローズハート
ルリシア・パーソン
リドル・ローズハート
ルリシアは、今までの経緯や、自分のコンプレックスについて全てリドルに話した。
ルリシアは元々イグニハイド寮生にも引けを取らないほどのコミュ障で、それまで友達なんて一人もできたことは無かった。
てっきりイグニハイド寮に入るんだとばかり思っていたが、魂の資質として選ばれたのはまさかなオクタヴィネル寮。
オクタヴィネル寮生の限りは、モストロ・ラウンジの手伝いもしなければならない。
つまり、ルリシアが最も苦手とする接客業。
案の定接客が無愛想、かつ料理も特別できる訳ではないので、寮内でも浮いた。
その他に、実践魔法が得意ではなく、そのせいで回復魔法も使えないことも。
ルリシアにとってはリドルが初めての相談相手だった。
今まで散々溜まっていた毒を、全てリドルにぶつけた。
すると、リドルからはこう返ってきた。
リドル・ローズハート
“辛かったね”その言葉でルリシアは溜め込んでいたものが全て流れ出た。
ルリシア・パーソン
そしてリドルは優しくルリシアの頭をなでた。
そのなでた手が優しくて、温かくて、ルリシアは初めて信頼できる人ができた。
ルリシア・パーソン
そうルリシアは思った。
リドルはきっと顔を強張らせると、おもむろに立ち上がり、力強く言った。
リドル・ローズハート
ルリシア・パーソン
リドル・ローズハート
ルリシア・パーソン
リドル・ローズハート
ルリシア・パーソン
それからルリシアは、リドルに回復魔法や実践魔法のコツについて教わった。
まだ完璧には習得出来はしなかったが、1回だけ回復魔法を発動することが出来た。
リドルは「一回出来ただけで習得した気にならないように。」と言って、また来週にも教えてくれると約束した。
ルリシアにとって、リドルはかけがえのない大切な人になった。
結局リドルはルリシアの名前を知ることなく、その天国のような時間は終わりを告げた。
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