?? × sm
ほのぼの
※いつもと雰囲気違う
『釣り合わない』
俺と彼が付き合ってから
何度この言葉を発したか、
何度心の中で思ったか、
数え切れないくらい
ずっと、ずっと考えてた。
だって彼は
誰からも信頼されて
聞き上手で
誰にでも優しい
俺とは正反対
俺は今日彼を呼び出した
お酒の力に任せて
言いたいこと、聞きたいこと
全部言ってやる
そんな気持ちで、彼をバーに誘った
まだ、2杯しか飲んでいないのに
彼の頬は既に林檎のように赤くて
言うなら今かな
なんて、ふわふわと考えていた。
ふと、頬に柔らかい感触がして
ちらっと、隣を見ると
顔を真っ赤にした彼が
俺の頬に口付けをして
さらに耳元でこういった。
『だいすきだよ』
釣り合わない、なんて思ってたのが
バカみたい
そんな風に錯覚させられる瞬間だった
彼の行為に応えるように
俺も彼の耳元に口を近づけて
『俺は愛してるよ、』
そう、返答した
彼の顔は変わらず真っ赤のまま
ねぇ、顔が赤くなっている理由は
酔っ払ってるだけ?
それとも照れてるの?
そんなことを聞く前に彼は
俺の肩に頭を置いて
すーすー、と寝息をたてていた。
こうして見ると、やっぱり彼は可愛くて
それでもかっこよさもちゃんと残ってて
流石、俺の恋人だな
そう思った。
『マスター、最後に1杯アメジスト色のお酒を』
マスターにそうお願いすれば
手馴れた手つきで、色々な種類のお酒を
シャカシャカと音を立てて作っていた
虹の綺麗な色が
アメジスト色の下に沈んでいて
綺麗なグラデーションになっていた
クルクルとかき混ぜても
上手く混ざり合わなくて
まるで
俺らの関係を表している
そんなカクテルだった
味はもちろん唯一無二の味
とても甘い虹色のシロップと
その上に浮かぶ
ぶどうの香りとお酒の苦味
不思議なことにその2つの風味は
喧嘩することなく
俺の喉をすーっと通っていった
気づけば既に短い針が1と2の間を
指し示していた。
グラスに残っていたカクテルを
グイッと飲み干して
『これ、お会計と感謝の気持ちでお金置いときます』
自分たちが使っていたカウンターに
2人が飲んだ分のお金と
この場所を使わせてくれたマスターに
気持ちばかりのチップを残して
俺たちはその店を出ることにした
夜の公園は相変わらず静か
さっきまでの酔いが少しずつ
覚めてきているような気分だ
相も変わらず、彼はまだ
俺の手を握っている
冷たくて気持ちがいいのかもしれない
やっぱり可愛い
でも、こんなこと彼に言ったら
絶対に怒られるから
心の内に秘めておくことにする。
なんて、呑気なこと考えてるけど
俺は俺で酔いが回ってきてて
到底ここから帰れる保証もない。
俺の膝の上で寝ている彼の
頭をそっと撫でながら
自分が着ていた上着を彼にかけてあげた
彼の口元が緩んだ
そして、俺の上着を両手でぎゅっと
大事そうに掴んで離してはくれなかった
『おやすみ』
そう、一言だけ声をかけた。
だんだん下がってくる重たい瞼に
耐えることは出来なかった。
幸いにも明日は2人とも休み
今日はここで休んでもいいかな
静かな夜の公園で
俺は意識を手放した
次の日
目を覚ますと、そこに彼はいなかった
ぐるっと公園を見渡してみれば
砂場で無邪気に遊ぶ子供と
ランニングをしている人がちらほら
昨晩、彼にかけたはずの上着は
俺の膝の上に綺麗に畳んで置いてあった
その上着を着ようとした時
なにか、紙が落ちてきた
“迷惑かけてごめん”
全然迷惑なんかじゃないのに
待ってよ、置いていかないでよ
どこに行ったの?
……そうだ、電話
『電源切れ……、』
ほぼ丸1日充電していなかった。
それが原因だろう
とりあえず、帰らなくては
重たい腰を上げて
ゆっくりと歩き出した
もう9月だっていうのに
夏はまだまだ元気で
秋はまだ眠っているから
頭がおかしくなってしまいそう。
家に帰るとすぐに俺は
自身のスマートフォンに充電ケーブルを
挿した
もちろん、すぐに使える訳では無いので
その間に風呂に入った。
タオルで髪を乾かしながら
スマホを確認すれば
パスワードの認証画面が映し出された
手馴れた手つきでパスワードを入力し
画面を開く
すぐにメッセージアプリを開いたが
彼からの連絡は一通もなかった。
昨日、彼が俺にくれた
頬へのキスや
「大好き」の言葉が全部
嘘だったんじゃないか
そんな考えが脳裏をよぎった。
せっかくの休みなのに
心が落ち着かなくて気持ち悪い
彼に会いたい
抱きしめて欲しい
愛してるって言って欲しい
なんて貪欲な気持ちだけが募る。
そんな時、玄関のチャイムがなった
もしかして…
そんな淡い期待を抱きながら
玄関に向かった
『はーい』
扉を開ければ、そこに居たのは
『…来ちゃった!』
そう、無邪気に叫ぶ俺の恋人がいた
『…っ!』
当然、声は出なかった。
さっきまで『会いたい』
そう思っていた相手が、今目の前にいる
嬉しさと驚きで、胸がいっぱいだった
『会いたかった…っ』
『昨日会ったじゃん』
『でも、今日の朝居なくなってたから』
『それはごめんじゃん、』
俺の恋人は何時でも会いに来てくれる
会いたいって思った時、必ず隣にいる
俺が彼のことを愛するように
彼も俺の事を愛してるから
だから、ちょっとだけ
意地悪な質問をしてみる
『寂しかった?』
寂しかったのは自分なのに
会いたかったのも自分なのに
どうしても、彼の口から
『会いたかった』
って聞きたい
『寂しかったのはーーでしょ』
当たり前のようにそんなことを言われた
そりゃそうだ
彼を見るなり『会いたかった』
なんて言ってしまったんだから
『…寂しかったよ』
いつもは素直になれないから
今日は素直になってみた
そしたら、彼は顔を赤くして
『…うるさい』
そう言いながら
俺の胸元に抱きついてきた
やっぱり君は可愛いよ
『…俺の事好き?』
『うん、大好き』
やっぱり
俺は彼がいないと生きていけないみたい
だから、これからもよろしくね
コメント
8件
ほのぼのもええねぇー暖かくなるわ笑お酒弱いしKnさんかな〜って思って読んでた!
おほ、おほほ……、甘々sm…大好きだあ……寂しかった…?からの流れが好きすぎる……!!!あまあまぁぁぁ好きだあぁああああ🥹🥹🥹🥹
🐼さんで考えてました…!寂しがり屋な感じとか逆に🙂さんが少し甘える感じがお相手は🐼さんかなぁ…って👉🏻👈🏻✨