コメント
5件
めちゃくちゃ遅くなりました🙇♂️🙇♀️ 黒赤さん大好き過ぎます🫶 黒さんのお洒落で何処か漢らしい 感じほんとに神すぎます😭😭 赤さんの性格雰囲気も繊細でほんとに大好きです この作品自体全体的に落ち着いた雰囲気で読んでいてとても惹き付けられました🥰もっと早くこの作品を読みたかった😭いつも素敵な作品ありがとうございます︎︎🫶鯨さんの作品とっても大好きです🥰
鯨
鯨
鯨
鯨
鯨
鯨
鯨
鯨
注意 nmmnです。 黒赤です。 黒左地雷様多いような気がします… 申し訳ありません(汗) 地雷様、夢女子様はお戻り 頂けたら幸いです。 御本人様方に関係は一切御座いません。 なんでも大丈夫な方のみで お願い致します。
nmmnへの理解が得られない方のご閲覧も控えて頂くよう、 よろしくお願いいたします。
追伸 誰かあにき再ご来店シーン書いてくだs(( (力尽
小さなバーの一番端のカウンター。
突然声を掛けられることなんて 日常茶飯事だ。
見慣れない客に唇の端を吊り上げて見せ、煽るような言葉を紡ぐ。
グラスを拭きながらそっと相手を 盗み見る。
大人っぽい、整った顔。 煌めくグラデーションのかかった髪。 俺より少し高いくらいの身長。
きっとナンパなんてしなくても、 大人の色気とか言うやつで 人は寄ってくるだろうに。
筋肉もありそうだから女の子には モテんだろ。
大抵の人ならここで飽きて、 大人しく引き下がるんだけどな。
ここまで言う人は初めてだった。
正直、目の前の客に興味がいってしまい、毎日拭いているグラスでさえもちゃんと 出来ているか分からなくなっていた。
不満げにそう言ってみせると、 目の前の客は満足そうに微笑んだ。
そう言うと彼はおもむろに 自身の胸ポケットから手帳を取り出し、 ペンを走らせた。
別のグラスを出しながら横目に彼のメモを見る。
整った字。 習字のような力強い字ではないが、 軽やかに流れるような字。
少し失礼だとは思ったが初対面の バーの店員にディナーに誘うよりかは マシだ。
バーの店員に声をかけるような人だ。 きっとナンパなんて日常的にやっているのだろう。
少しおちゃらけた風の返事に 少しムッとしたが、 その言葉の真偽は聞かないことにした。
ニコラシカ。 うちの店で取り扱っているカクテルの中で度数40度と一番アルコールが高いものだ。
またカクテル言葉は、 「決心」
こんな物を飲まされても尚、 俺をディナーに誘いたい、 そう決心したのならこれを飲んでよ。
相手にもそれが伝わったらしく、 意味ありげに話の続きを促した。
さっき拭いたばかりのグラスを取り出し、その細い呑み口に慎重にブランデーを 注ぐ。
彼の視線に気づかないふりをし、 レモンを輪切りに切る。
なんか癪だから食いにくいように 分厚くしとこ。
そのままグラスにレモンを被せる。
上白糖を丁寧にスプーン1杯分すりきり、レモンの上に乗せた。
高を、括っていた。
今までこれをちゃんと飲み干せた人は 居なかった。
このカクテルは始めに上の砂糖とレモンを口に入れ、口内を甘酸っぱい風味にする。
そこにブランデーを一気に入れ、 香りを楽しみつつも一気飲みするという 飲み物だ。
酒を口に含むまでの動作の難易度が高い事 ブランデーの強さに怖気づき、 本当にイッキする人なんて中々見ない。
目の前の客もそうだと、 高を括っていた。
慣れているような、綺麗とも称せる流れるような所作で分厚く切ったはずのレモンを簡単に砂糖と共に口に含む。
砂糖を一欠片も落とさず口に入れ、 そのまま咀嚼する姿を眺める。
彼の長い指が再びグラスに触れた。
ゆっくり口に近づけ、 キスをするようにグラスを傾ける。
元々あまり量入っているわけではない ブランデーが彼の手の中グラスの中で どんどん減っていく。
完全にそれが見えなくなった時、 彼はゆっくりグラスを元の場所に置いた。
困惑気味の俺にずいと近づく彼。
近くで見ると本当に顔が整ってる事が 分かる。
優しげな目元がふっと緩むその表情には 不覚にも胸が疼いた。
俺とあまり変わらないと思っていた彼の身長はどうやら俺よりも5cmは違うらしい。
そのまま耳元に口を近づける彼。 ふっと、男物の香水の薫りがした。
あっ…、と思う瞬間、 彼は俺の胸元に手を添えた。
あぁそうかと、納得するよりも先に、 彼の吐息がかかった耳が熱くなっていくのが分かった。
耳にすっと入っていく優しい低音。 男性の声にしては高いように思えるが、 この静かな雰囲気とは合っているような 気がした。
いつの間にか上体を俺から離した彼が、 さっさとドアの向こうに消えていった。
狭いバーには彼の居た温もりと、 彼のそこまでキツくない香水の 香りが残っていた。
業務終了まで、後2時間。
電話帳には、入れといてあげても良いかな
あれから月日が流れ、数年後。
手に持ったカップを落とさないように 気をつけながら彼の居る部屋の ドアを叩く。
間延びした返事に呆れながらも ドアを開けると、 ヘッドホン片手にパソコンとにらめっこしている彼の姿が見えた。
ちいさく溜息を漏らしながら彼の横から 手に持ったカップを机に置いた。
ちらりとカップを一瞥した彼が尋ねる。
今日はまだ目が合っていない。
初めて聞いたであろうその言葉に、 ようやく彼の意識がこちらに向く。
今日初めて目が合った事に安心して、 肩の力が抜けた。
自覚してるならもうちょい休んでよ
喉まで出かかったその言葉を飲み込んで 代わりの言葉を探す。
律儀にそう口に出す彼の、 その綺麗な所作を眺める。
マグカップを持つ、 骨ばっていて男らしい手。
かなり熱いはずなのに、 口に含んでからも冷静に レモンの果実を咀嚼しているのが分かる。
それを飲み込んで、彼が言った。
遠いようで今まで忘れたことのなかった 記憶が浮上する。
今でも働いている、 あのバーの一番端の席で。
ナンパまがいの台詞で。
確かに出したのはニコラシカだ。
彼はそれを確かにイッキした。
あれだけイッキしたのに?
今となんら変わらなかった あの優雅な手付きで、 グラスを傾けるあの様子が目に浮かぶ。
嬉しい。 なんて言葉じゃ足りないかもしれない。
気付けば彼の腕の中に居た。
そのままキスをねだると、 蜂蜜の甘みと、ブランデーのほろ苦さと、レモンの酸味が合わさった、
とても甘いキスをくれた。