健太郎
…ふう。着いた

健太郎
きょろきょろ。

俳優の誰か
うわー。すごい会場だな。これが、三条家の集まりなんだ。

健太郎
うん。まあ、適当になんか食べたりして楽しんでってよ。

俳優の誰か
おー。

健太郎
(えーと、五夏は…。)

五夏
坂下、ありがとう。健太郎の代わりに急遽来てくれて。助かったわ。

坂下
いえいえ。私なんかで良ければ、いつでも付き添いますよ。

坂下
ふふ。

五夏
でもあいつ、どうするのかしらね。
この間のパーティーも遅刻して来たっていうのに。うちの催しにてんで出るつもりがないのかしら?

五夏
ところで、この後の発表の時間って…

テレビの偉い人
あ、五夏さん。先日はどうも

五夏
あ、タカハシさん。

五夏
どうも(笑顔)いつもお噂耳にしてます。

健太郎
あ、五夏…

坂下
!(……。)

五夏
ぺちゃくちゃぺちゃくちゃ

テレビの偉い人
なんたらかんたら

テレビの偉い人
あっはっはっは

テレビの偉い人
お、なんだかあっちで呼ばれてるみたいだ。五夏さん、すみません。

五夏
ええ。どうぞ楽しんで行ってください(笑顔)

五夏
ふう。

坂下
(五夏にそっと耳打ちをする)

五夏
うん?

五夏
きゃはっ本当だ〜!

健太郎
ち…クソ

健太郎
話しかけづらいぜ…。そもそも五夏、俺が来るってこと知ってるのかな

五夏
双子なんてびっくり。そんな事ってあるのね。

坂下
ええ。いっぱいありますよ。

坂下
三つ子とか。そういう…

坂下
空調の方大丈夫ですか?

五夏
うん。丁度いいと思う。

健太郎
…。

五夏
ふふ。勿論大丈夫よ。信頼出来る取引先からの情報だし…

五夏
ん?

五夏
(け、健太郎?なんでここに…。)

健太郎
…。

健太郎はまだこちらに気付いていないのか他人のように五夏の近くで料理を選んでいる。
五夏
坂下。もしかして健太郎も呼んだの?

五夏
…ってあれ?坂下が居ない。

健太郎
……。

健太郎は五夏に気付いていないのか、こちらには目線も合わせようとしない。
五夏
……。

それから、ワイングラスを選んでいるフリをしている。
五夏
(もう、坂下ったら。余計な事するんだから…。)

健太郎
…。

バツが悪く、パーティーの主催であるのに俯いている五夏。
健太郎
うあっ!

五夏
……!

健太郎
おっと。すみません。

健太郎
ぶつかった拍子フォークを落としちゃいました。あはは

五夏の目の前で、落としたフォークを拾う為に屈み込む健太郎。
五夏
………。

五夏
(もう!)

健太郎
(ベーっ)

屈み込んだまま、五夏を見上げた健太郎は営業スマイルで微笑んでいる。
健太郎
…あ。

五夏
…、、、

健太郎
ワイン、お好きなんですか?

五夏
……

五夏
………ど

女優A
あら。健太郎くんじゃない

健太郎
あ、タカミネさん。先日の撮影はどうもお世話になりました。

女優A
うふふ。こちらこそ。あっ。三条五夏さん…

五夏
どうも初めまして。

女優A
こちらこそ、お呼び頂き光栄です。
二人はお知り合い?

五夏
あっ。えと…

健太郎
いえいえ、初対面ですよ。僕がこんな大きなパーティーを主催している三条さんと仲良しなわけないじゃないですか。

五夏
…ムカッ

女優A
ふふ。私も驚いたわ。噂は聞いていたんですけど、これ程大きな集まりを毎週の様にしているんですってね。

女優A
五夏さん、お若いのに凄いわ。敏腕若手女社長と会うなんて、あんまりない機会よ。

健太郎
ええ。そうですよね。それに、お綺麗ですし。
でもタカミネさんも、相変わらずの美貌ですね

女優A
まあ。そんな事ないわよ。うふっ

確かにタカミネはかつてのドラマ界の女王として君臨していただけあり、小皺はあれど抜群のプロポーションとオーラを保っている。
五夏
じろじろ

坂下
(五夏様…その目線、10歳くらい退化、いや幼く見えます。)

女優A
じゃあまた今度の撮影でね。楽しみにしているわ。

健太郎
ええ。僕も楽しみにしています。(笑顔)

五夏
…。

五夏
(もう!健太郎…ドラマの撮影現場ではあんなにいい顔してるのね。)

五夏
(なんで遅刻するのよ!それに、今回だってどうして俺が行くって坂下にもっとゴネないのよ!)

はじめから許すつもりなど無かった健太郎への仕打ちを今更思い、無茶苦茶考え出す五夏。
健太郎
…あ。

坂下
五夏さま。すみません、わたくしミスしてしまいまして…

五夏
え?どうしたの坂下。

坂下
それが。今日の発表に使う資料が入ったUSBを事務所に置いて来てしまったみたいなのです。

五夏
ん?それだったら、坂下でなくって、私が持つって確か、言っていたような…。

坂下
エッ?

健太郎
…(なんだなんだ。)

五夏
ちょっと待ってね。えーと。

五夏
ごそごそ。(鞄を探っている)

五夏
あれれ。無い

五夏
確かここに入れてたのに…っ

五夏
??????

坂下
あっ。思い出しました。

坂下
もしかすると、控え室。控え室に何か見覚えのある物体があったような気がして来ました。

五夏
わかったわ。時間ももう直ぐだし、見に行ってくるね。

坂下
はい。あると良いのですが…。

五夏
じゃねっ

健太郎
……。

五夏
……(健太郎。)

五夏
//////

五夏
なんか恥ずかしくなっちゃった。だってずっと、健太郎が見て来るんだもん。

健太郎
坂下さん。あの。

坂下
あ、なんでしょう?健太郎さん。

健太郎
もしかして僕を呼んだのって、その〜。五夏には内緒だったの?

坂下
なんでそう分かりました?

坂下
変でした?なにか。

健太郎
いやあの態度

坂下
…。

会場の出口へと向かう五夏の背中を再び見ている健太郎
健太郎
うあっ

健太郎
何するんですか?!

坂下
………ニコッ😄

坂下
ちょいちょい👉

健太郎
(え。行けってこと?)

坂下
プイッ

健太郎
ありがとう坂下さん。

健太郎
ふー

健太郎
なんか、掴み所無い人だなあ。五夏と並んでるの見た時、お似合いとか思っちゃってたし…

健太郎
ん。ここかな?

五夏
うーん。あっ。あのテーブルの上にある封筒の事かな?

五夏
坂下?

健太郎
……。

五夏
健太郎…!?

健太郎
うん。

五夏
ぷいっ

健太郎を無視し、五夏はテーブルの上の封筒を持ち上げて中を覗く。
五夏
ガサガサ

五夏
は?!

五夏
なにこの…マスコットテディベアみたいのは?!

健太郎
どしたの?

健太郎
あ〜なんだこれwww

そうだった…坂下はこういう奴だった。と五夏は屋敷内で起きた事を思い出している。
五夏
(知ってたのね…坂下)

坂下
全員が知っております五夏様。

坂下
(五夏様、殿方のプライドを再起ない程までにへし折りすぎですよ。)

健太郎
その服かわいいね。五夏。

五夏
…。

健太郎
ねえ

五夏
くしゃくしゃガサガサササッ

健太郎
ちょw

五夏
…あ!

健太郎
…五夏。どうやったら俺のこと許してくれるの?

五夏
…何のこと?

健太郎
えw俺が原因なんじゃないの?

五夏
何の事、言ってるのか…どうかした?

健太郎
え…だから。

健太郎は屋敷で見たチャプター画面のキスシーンの事を思い出す。
健太郎
(難しいな相変わらず)

健太郎
くんくん。くんくん

健太郎
(…なんか興奮してきた)

五夏
…ねえ。私、向こう行かなきゃ。これから発表があるのに…

その時、会場から音が聞こえて来る。何かの音楽が掛かっているようだ。
五夏
…!この音楽、オープニングの…

坂下
え〜本日お集まり頂いた皆様に、これから発表したい事があります。

坂下
実は我がグループが手掛けていた◯◯××▲合併につきましてこの場を借りてマスコミ新聞社各位よりも早くお披露目する次第であります

五夏
坂下が、司会しちゃってる

五夏
ど、どうして…っ

坂下
えー、このデータはわがグループが長年親交のある◯◯財閥の社長から極秘という事で入手したものです。めでたくこの件が皆様の前で発表できるこの日を…

五夏
って持ってんのかいッ

健太郎
どしたの?どういうこと?

五夏
え…だから

五夏
坂下が、その

健太郎
なんか分かんないけど、じゃあ戻らなくても大丈夫ってこと?

五夏
……。

健太郎
えへ。まだ、時間あるね

五夏
ねえ。離して健太郎

健太郎
やだ

五夏
もうっ。無理やりはやめてよ!

健太郎
無理やり?そんな事してないよ…五夏がだって

健太郎
…俺の事一人にしたんでしょ

健太郎
一週間もだよ…いや、10日か

健太郎
寂しかったよ。すごく

五夏
……。

健太郎
俺一回も、してないよ。五夏

健太郎
(五夏の首にキスする)

五夏
……/////

健太郎
(やべ。久しぶり過ぎてとまんない)

健太郎
ごめんちょっと、触ってもいい?

五夏
だめ

健太郎
…見るだけ?俺

五夏
うん。そう

五夏
見るだけ

健太郎
五夏ってさあ…

健太郎
でもこの服、かわいいね。五夏が選んだの?何かのブランドなのかな。

健太郎
変わってるよね。この縫製とかさ。何でここに、こういう模様付いてるのかなとか

五夏
ちょ、触ってるじゃない!

健太郎
だめなの?

五夏
だめって言ってるでしょ。

五夏
今日は見るだけよ。健太郎

健太郎
じゃあ明日はいいの?

健太郎
明日ってあと6時間くらいで明日なるけど

五夏
まあパーティー会場はとっくに閉まってるでしょうね。

健太郎
Wwww

健太郎
じゃあ待ってるよ。あと6時間、待って五夏とセックスするね。

五夏
……

そう言った後も一向に五夏から離れる気のない健太郎。
五夏
ねえ、健太郎…もう

五夏
戻んないと。会場、

健太郎
うん。五夏、好きだよ

健太郎
かわいい

五夏
ん、うん

健太郎
なんで、こんなにいい匂いなのかな

五夏
/////

健太郎
もしかしてさ、五夏って俺にやきもち焼いてたの?

五夏
やきもちって…

五夏
なんのことだか…

健太郎
wwww

健太郎
見たんじゃないの?その、◯シーンあったでしょ。俺、言っとけばよかったのかな。

五夏
ねえ。さっきから健太郎、何言ってるの?

健太郎
え…

五夏
…わたし、行くね。

健太郎
五夏、ねえって

五夏
あ!

五夏
もう、さっきから…

五夏
私動けないの嫌いって知ってるでしょ?

健太郎
えー。でも…

と言いながらドア前で五夏をしっかりホールドしている健太郎
健太郎
だって俺の気が済まなくなって来てるんだもん

五夏
…なんでよ

五夏
また後で…あるでしょ。家に戻ってからで、いい。

健太郎
じゃあ今日は五夏も家にちゃんと帰って来るって事?

五夏
…。

健太郎
ねえって

五夏
…

健太郎
なんで無言

健太郎
…。

五夏
////

健太郎
も一回いい?

五夏
ん…。

健太郎
許してくれる?

健太郎
……俺の事

五夏
…だめ。許さない

健太郎
なんでよww

健太郎
……

会場の騒めきが聞こえる中、二人はドアを背に何度もキスをする。
健太郎
…。

五夏
…。

五夏
もうやだ。…健太郎、いつもこうやって、無茶苦茶するんだもん

健太郎
…誰が

五夏
…。

健太郎
…何もしてないよ。五夏が酷い事するから、

五夏
私こんなことしてって言ってないでしょ?

健太郎
…じゃあ、しないでよ。ああいう事

五夏
…なに?

健太郎
忘れたんかいw

五夏
…

健太郎
五夏が俺に嫌な事ばっかするから

健太郎
だからちゃんと、返事して…勝手に、怒んないで。
それに、家、帰ってくるって約束して

五夏
…ん。

健太郎
…。

健太郎
五夏。0時楽しみにしてるね。

五夏
/////
