テラーノベル
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その日、朝からこさめはなんとなく体が重いと感じていた。 昨日の夜更かしが響いているのかもしれない、と軽く考えていたけれど、 練習スタジオに着いても体調がしっくりこない。 胃のあたりも、朝からずっとムカムカとしていた。
それに、LANが真っ先に気づいた。
LAN
心配そうな眼差しに、こさめはいつもの笑顔でごまかした。
こさめ
今日は新曲の歌割り確認とダンスの立ち位置決め。休むわけにはいかない。
練習が始まると、普段は軽やかなこさめの動きが、どこかぎこちない。 歌声も、いつもの伸びやかさがなく、かすかに震えているように聞こえる。 胃の不快感も増してきた。
いるま
こさめ
こさめは答えたものの、額にはうっすらと汗がにじんでいた。
何度かパートを繰り返していると、急に胃がせり上がってくる感覚に襲われた。 口の中に酸っぱいものが広がり、たまらずこさめは口元を押さえた。
う"ぇ……!
突然後ろを向いてしゃがみ込んだこさめに、メンバーたちがざわつく。 LANがすぐに駆け寄ってきた。
LAN
胃の内容物がこみ上げてくるのを必死で耐えるが、もう限界だった。
ご、めん……
その言葉が途切れるか途切れないかのうちに、こさめはえずき、 胃液と少量の食べ物が床に広がった。 一度吐いてしまうと、堰を切ったように胃の中のものが逆流してくる。 何度か激しくえずき、口元から胃液が溢れ落ちた。
なつがすぐにゴミ箱を持ってきてくれた。LANが背中をさすってくれる。
なつ
すち
ようやく落ち着くと、こさめはぐったりと座り込んだ。 体中の力が抜けて、脂汗がどっと吹き出している。 いるまがペットボトルを差し出してくれたが、喉が張り付いたように動かない。 口の中にはまだ酸っぱい嫌な味が残っていた。
こさめ
絞り出すような声で謝ると、LANが隣にしゃがみ込んだ。
LAN
優しい声に、こさめの目頭が熱くなった。 メンバーに心配をかけてしまう申し訳なさと、その優しさがじんわりと胸に染みる。
LANの声が、まるで優しい雨音のように聞こえた。
LAN
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家のベッドに横たわると、熱にうなされながらも、メンバーの顔が次々と浮かんだ。 心配してくれたみんなの優しさに包まれて、こさめはゆっくりと意識を手放した。
翌日、目が覚めると、体はすっかり楽になっていた。 胃のムカつきもすっかり消え去っている。 スマホを見ると、メンバーからの心配するLINEが何件も届いている。 そのメッセージを読みながら、こさめはふと、窓の外に目をやった。
昨日の夜の嵐が嘘のように、空には優しい光が差し込み、街には穏やかな雨音が響いている。まるで、昨日の自分の体調不良を洗い流してくれたかのように。
小さな声でこさめは呟いた。
こさめ
この優しい雨音とメンバーの温かい心にこさめは改めて支えられていることを実感するのだった。
コメント
9件
昨日の夜主さんの事見つけました!🎼さんのやつ、ほとんど一気見しました! 天才ですね✨️
めっちゃ好き、天才、神様、神作をありがとう、言葉では表せないぐらい大好き ↑好きすぎてなんて言えばいいか分からなかった結果