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大森
大森
目線が大森の唇に向く 口紅など塗っていないはずなのに 赤く染まっていて ふっくら柔らかそうだ
人差し指で唇に触る 予想よりもっと柔らかくて 弾力がある
大森が顔を近づける あと少し近づけば 唇が当たる距離だ 心臓の鼓動が加速する
瞳に魅入られるように ぼんやりと見つめる 長いまつ毛、黒目がちな瞳 ぱっちりとした二重ライン
若井
その美しさに 心を奪われていると 大森は恥ずかしそうに笑った
大森
引き寄せられるように 唇を重ねる そっと触れて すぐに、はっとして離れた
反応しないと決めていたのに キスをするなんて 一体、何をしてるんだろう
若井
大森
大森がすこし驚いた様子で 若井を見る
大森
照れを隠すように笑う
大森
大森
恥ずかしくなって 大森から顔を背ける
大森
頬を手で挟んで 大森の方に向かせる
若井
頭に熱が上がって行く 顔に赤みが出ていないか心配だ
大森
若井の太ももを指先で撫でる 少しづつ上に上がって行く
緊張で高鳴っていた心臓が さらに早く鼓動を打つ 一息つく 暇を与えてくれない
大森
大森
若井
突然、痛い所を突かれて つい聞き返した
大森
大森
恐ろしいほど 純粋な顔で聞いてくる 本性を知らなければ 心の綺麗な者だと思っただろう
若井
若井
何を言えば 大森のペースに 引っ張られている事を 悟られないだろう
頭をフル回転させたが 思いつかない
若井
若井
大森
大森
若井
大森
大森
大森は目線を落として 考え込む
大森
ポツっと呟く 若井はつい耳を傾けてしまう
大森
大森
大森
若井の心がぎゅっと 掴まれたように苦しくなる
若井
大森
大森が顔を寄せて ふわりと唇を重ねる
若井はつい抱きしめたくなる 衝動に襲われた
だが、この衝動は 今の状況を悪い方向に 動かすだろう どうにか押し殺した
大森
しかし大森の甘い声が 心の扉を溶かして行く
若井
つい、答えてしまう 大森の指が 耳をするりと撫でる
若井
うるさく鳴っている 心のアラームまで溶けていく
若井が夢心地の中で 浮かんでいると 舌がぬるっと口内に入ってきた
若井
衝動的に 大森の胸を強く押した
大森
大森は胸を抑えながら 上半身を後ろに引く 心底、傷ついた顔をして 若井を見つめた
大森
若井
若井は良心が痛んだが 仕方がなかった
これ以上、踏み込まれたら 大森の魅力から永遠に 抜け出せなくなる気がした
しばらくの沈黙が流れる それを大森が破る
大森
大森
寂しそうに呟くと すっと立ち上がった
大森
大森
若井は心の痛みを 見ないようにしながら 返事をした
若井
大森
大森
大森
大森
大森が消え入りそうな声で話す
どうしても これ以上、突き放せなかった
若井
大森が顔を上げる 瞳が少し潤んでいるように見えて 心がぐらっと揺れる
大森
若井は立ち上がる 長く座っていたので 少し脚が痺れた
若井
大森
2人は駅に向かうために 川沿いの橋を歩く 若井は少し距離を空けて歩いた
大森もそれを察したのか 距離を詰めようとはしない
若井
何度も自分に言い聞かせる
若井
何故か 泣きそうになるのを堪えた
大森
大森が不意に立ち止まって 橋の下を眺める それを 少し離れた所から見つめた
大森
川沿いに走る 電車を瞳で追いかける
大森
若井
若井
大森
大森
若井
大森
若井は情報を引き出そうと しているのかと疑う
大森はそんな様子を見て 少しいじけた
大森
大森
大森
大森が手を差し出す
大森
若井
大森
大森
若井の虚を突くように なんの前触れもなく 橋の手すりに登る
若井
この橋は川まで5mはある うっかり落ちたら 命まで落としてもおかしくない
若井
若井
若井は気づくと 近くに走って向かっていた
大森はバランスを取りながら 手すりの上を歩く こんな所を大人に見られたら 怒鳴って注意されるだろう
若井
若井
大森
大森
大森が右手を差し出す
若井
若井は仕方なく 手をぎゅっと繋ぐ 落ちたらと思うと力が強くなる
すると大森は手すりから降りる だが、降りたのは 若井とは反対側だ
若井
本当に 落ちたのかと思って 腕を強く引っ張った
反動で大森の身体が 手すりに当たる
大森
大森
若井
呑気に笑っている大森に 若井は苛立つ
実際は落ちた訳ではない 手すりの反対側に立っているだけで 足はきちんと地面に着いている
若井
大森
大森
若井
大森
若井
若井
大森
大森は目を伏せて 少し寂しそうに苦笑いをする
大森
大森
大森
若井
大森の腕を 強く掴みながら返事をする 今の状況でこの質問は 流石に恐怖を覚える
大森
若井
若井
大森
大森
大森が橋の地面を蹴った 身体が落ちる
若井
大森の体重が 若井の両腕に突発的にかかる 肩に鋭い痛みが走る
若井
それでもどうにか 落とさないように踏ん張った
若井
若井
若井は叫んだ 少しづつ大森の腕が 下にずり降りていく
若井
若井は渾身の力を 振り絞って腕を掴む
だが大森の方が 若井の腕を握らない そのせいで時間制限のように 掴める範囲が減っていく
若井
若井
若井
若井は声を振り絞って叫ぶ それでも腕を掴んでくれない
若井
大森
大森に目線を向けると 驚くほどあっさりと続ける
大森
大森
大森
若井は息を飲む 本当に生きるつもりが ないのかもしれない
若井
若井
若井の瞳から涙が溢れ出す
若井
若井
大森
大森
事実、若井の身体も少しづつ 手すりを超えてきている そのせいで上手く 踏ん張りが効かない
若井
若井
大森
大森
大森
若井
若井
若井の身体が徐々に 手すりを超えていく もう時間がない
大森
大森
大森
若井
大森
大森
若井
若井
若井が空を見ながら叫ぶ
若井
大森の瞳から涙が零れる 一粒流れると 栓を切ったように溢れ出す
大森
大森
大森
若井
大森
今度は大森が叫ぶ 若井はもうそろそろ 限界を感じていた もう少しで足が地面から離れる
大森
大森
若井
大森
大森
若井
若井
大森
大森
若井はふっと脚が離れるのを感じた
若井
景色がスローモーションに見える 大森に引っ張られるように 身体が手すりを超えると そのまま落ちていく
5m弱の橋から 落ちた2人の身体は 深く、深くに沈んでいく
若井
若井
若井
若井は沈んでいく中で 方向感覚を失ったようで 上も下も分からなくなる
だが何となく心地がいい ぼんやりと自分の口から 出る気泡を見つめた
すると若井の身体を 誰かがぐいっと引っ張る
どうやら、あちらが水面のようだ 徐々に身体が上がっていく
若井
若井は他人事のように ぼんやりとそう思った
大森は何とか若井を引っ張って 水面に出た
2人とも肺に流れ込む 大量の空気に噎せる
大森
若井
大森
大森
大森が若井の頬を叩く 若井はどうにか答える
若井
若井
大森が心から安心した顔をする 2人はまだ荒い呼吸を整えながら どうにか話した
大森
大森
若井
若井
水温が何度かは分からないが もう身体の感覚が無くなってきた
大森
大森
大森が若井の身体を 引っ張りながら泳ぐ あまりの寒さに かたかた歯が鳴る
大森
大森
若井
若井
大森
大森
大森
若井
若井
大森
大森
大森
若井
2人はどうにか岸までたどり着いた
息も絶え絶えのまま 膝をついて呼吸を整える
しかし川から上がったあとも 寒さはそんなに変わらなかった むしろ地上の方が寒く感じる
若井
大森
2人とも肩で息をしながら話す
若井
大森
若井
若井
大森
若井
若井が立ち上がる 大森に手を差しのべて身体を起こす 2人とも身体が ガタガタと震えている
若井
大森
2人は身体をできるだけ 冷やさないために 走って家に向かった
5分ほど走ると 若井の自宅が見えてくる
若井
大森
団地のマンションだが きちんとエレベーターもある しかし待ってる間に 凍えてしまいそうだ
2人は階段を駆け上がる 息が荒れる だが、もう少しだ
若井は階段を登りながら 自宅の鍵を探した この時間なので家には 誰もいないはずだ
若井
若井
若井は鞄の中で 見つけた鍵をとりだす 扉の前に着いたので すぐに鍵を開ける
若井
大森
玄関の雰囲気で 何となく誰も居ないことが分かる
若井
一応、帰りの合図を出す
若井
誰も来ない、返事もないので やはり誰もいないようだ
若井
この時間に雨も降ってない中 息子が全身びしょ濡れで 帰ってきたら、怒涛の勢いで 何が起きたのか詮索を受けるだろう
若井
玄関でどうしたらいいのか 分からず困惑している 大森に呼びかける
大森
大森は靴を脱いで家に上がる 靴は揃えたが どこに置いていいのか分からない
大森
立ち尽くしていると 若井が後ろから声をかける
若井
若井
大森
こういう時の適当はとても難解だ 大森は迷って 端っこの邪魔にならない場所に 靴を置いた
大森が振り向くと 若井はもう脱衣所で 服を脱いでいる
若井
若井
大森
既に下着姿の若井に 大森は目を逸らしながら ゆっくりと脱衣所に入る
若井は服を全部脱いで 浴室にさっさと入る
シャワーの蛇口を捻って お湯になるのを待ってる間に お風呂の栓を締めて お湯を張るボタンをおす
若井
大森
服を脱いだ大森が 恥ずかしそうにしながら 浴室に入ってくる 若井は意識しないように勤めた
シャワーの温度が上がり お湯になったところで 大森にお湯をかける
大森
ほっとした様子で目をつぶる しかし、すぐに若井に目を向ける
大森
大森はシャワーを押し付ける
若井
若井も肩にお湯をかける 身体が解けるような 心地良さだ 少し熱く感じるが、それもいい
若井
大森
大森
若井
若井
もう一度、大森の肩に お湯をかける 気持ちよさそうに目をつぶった
湯船を見るともう十分 お湯が溜まっているので 浸かることにする
若井
大森
大森
若井は足から湯船に浸かる やはりシャワーとは レベルの違う温かさだ
若井
熱く感じて、なかなか 腰まで浸かれない
大森は腕を擦りながら そわそわとしている
若井
若井
大森
大森
大森も浴槽のお湯に そっと足をつけると ゆっくりと腰まで浸かる
若井の自宅のお風呂は 一般的な浴槽のサイズなので そんなに大きくない
首まで浸かるとなると 身体のどこかは 触れ合うことになるだろう
若井
大森
2人ともその事を とっくに察していて どうやって首まで浸かろうか と考えていた
考えた末、若井は気にしてない 素振りで首まで浸かった 大森の方はなかなか 決心が着かないようだ
若井
若井
大森
大森がゆっくりと足を伸ばす 若井のふくらはぎに足先が触れる
足を伸ばすと 姿勢によっては 足先が若井の下に 当たりそうになる
若井は動かないように 注意しながら 湯船に浸かった
大森はその様子をみて ふっと好奇心が湧く
若井
若井
若井
大森
大森は答えながら そっと足を伸ばす
とんっと足の指先が 若井の下に触れる
若井
若井が石像のように固まる 瞳が少し揺れ動く
大森
若井
気まずそうに下を向くが 大森の足先が目に映る むしろ意識しそうに なったので横を向いた
若井は浴室の扉を 見つめながら 心を整えていると 何かが下をぎゅっと抑えた
若井
飛び跳ねる ぱっとお湯の中を見ると 大森が足の裏で下を踏んでいる
困惑している若井をみて 大森は足裏を上の方向に 擦り上げた
若井
若井の脳がぐらりと揺れる 下着も履いてない状態で 無駄にやる気になって しまうことだけは避けたい
焦りながら大森を見ると 口元を緩めて笑っている
若井
若井
大森
若井
若井
若井は緊張しながら答えた
大森
大森
若井は落ちる直前の会話を思い出す
若井
正直、勢いで 本心を伝えてしまったので 忘れていて欲しかった
大森
大森の好きは 若井より少し軽い気もするが それでも心がふわりと漂う
若井
つい嬉しくて 口角が上がった