若月天音
やっちゃった………

落ち着くのよ天音!!私は役者!!
そして………アイドル(嘘つき)なんだから!!
八尋寧々
どうしたの?天音………

若月天音
わーごめん!!盗み聞きみたいなことして!!そんなつもりじゃなかったの〜!

八尋寧々
別にいいけど……どうしてここに?

若月天音
屋上で1人ピクニックをしようと思ってここに来たら、1人で喋ってる親友がいるじゃない?それでそこに行ったらおじゃま?しちゃうかなって……(は???

八尋寧々
そうだったの!別に大丈夫だよ〜

八尋寧々
天音も一緒にピクニックする?

若月天音
え!?いいの!?

八尋寧々
もちろん!

八尋寧々
いいよね花子くん!

花子くん
いいヨ〜

若月天音
寧々ちゃん………?

花子くん
ヤシロには俺がいるじゃん

八尋寧々
わ

若月天音
は?

源光
そこまでだ!!

若月天音
危ないよ〜

源光
やっと見つけたぜ悪霊め!!

若月天音
……………

源光
かもめ学園中等部3年………

源光
源光だ!!冥土の土産に覚えておきやがれ!!

若月天音
あっ光く〜ん!

源光
天音先輩!?お久しぶりっす!

源光
まさか天音先輩もこの悪霊と………

若月天音
ん?

若月天音
悪霊?

若月天音
ここに悪霊がいるの?

若月天音
てか寧々ちゃん悪霊と話してたの!?

若月天音
悪霊って怖い!!光くん、サクッと祓っちゃって!!

八尋寧々
天音____!?ちがうわよ!?

八尋寧々
悪霊じゃなくていい怪異よ!

八尋寧々
てか花子くん!知り合い!?花子くんのこと見えてるみたいだけど………

花子くん
直接の面識はないけど………

花子くん
あの少年は源家の人間だね。俺が見えるのもそのせいだ

八尋寧々
源家……武士?

花子くん
昔々のお話さ

今より遥かに夜の闇が濃かった時代、俺たち怪異は妖怪と呼ばれ、今より
ずっと強い力を持っていた
中でも神にも勝ると恐れられたのが
“日本三大悪妖怪”と並び称された三体
その一角、大江山の悪鬼、酒呑童子を打ち倒したのが____
花子くん
稀代の祓い手、源頼光

花子くん
そこの少年のご先祖様だ

源光
その通り!!
随分と詳しいじゃねえか………

源光
ご先祖様が後の世のため遺した強力な退魔具の数々

源光
それらを受け継ぎテメーみたいなタチの悪ぃ怪異どもから人々を守る

源光
それが源家に生まれた男子の役目!

源光
つーわけで………俺はお前を……
祓う!

若月天音
お〜頑張って〜

源光
覚悟しやがれ花子!!

花子くん
“祓う”ねぇ……君には無理だと思うけど?

源光
そうか?

若月天音
おっ

若月天音
久しぶりに見たな〜光くんの雷

源光
残念だったなぁ花子

花子くん
……ッッ!!

八尋寧々
花子くん!!

源光
これは我が源家に伝わる退魔具
“雷霆杖“

源光
持ち主の霊力を雷に変換して打ち出す霊杖だ

源光
それに直接触れるとはとんだマヌケな野郎だぜ!!

花子くん
う…………

源光
これで終わりだァ!!

八尋寧々
やめて!

若月天音
寧々ちゃん!?

若月天音
危ないよ!?急に飛び出すなんて……

源光
ぅあぶねっ

源光
バッカ野郎!!急に飛び出してくんじゃ……ねぇ………です………

源光
あの、あなたは……

若月天音
光くん………

八尋寧々
高等部一年八尋寧々!花子くんの助手でお友達!これ以上花子くんにひどいことするなら私怒るんだからね!!

若月天音
わああごめんね寧々ちゃん!!

八尋寧々
天音は直接手を出してないからまだ大丈夫よ!!

若月天音
うぁぁ……ありがと……

源光
えっ………いやでも……あいつは超悪い怪異で………学園の平和のためにも祓っとかないとっつーか……

八尋寧々
花子くんは悪い怪異じゃないよ

八尋寧々
私のことだって
助けてくれたんだから!!

源光
それは違ッ………います!!

源光
あいつはただの悪い怪異なんかじゃない……

源光
”トイレの花子さん“は俺のばーちゃんがやっとの思いで封印した超超凶暴な怪異なんです!

源光
しかもあいつは包丁を武器として使ってる

源光
生前、それを凶器として使った
証拠です

源光
あいつはあの包丁で誰かの命を奪ったんだ!

八尋寧々
そんな、うそ………

源光
先輩は騙されてるんです!

源光
あんな奴信用しちゃダメだ!!

源光
きっと先輩のこと、だって………

花子くん
ちぇ

花子くん
バラされちゃった

若月天音
(顔の近くに包丁!!危ないよ……)

源光
!!

八尋寧々
!!

花子くん
あーあー

花子くん
もうしばらくは秘密にしとこうと思ったんだけどなァ……

花子くん
来い、白杖代

花子くん
君の言うとおり、確かに俺は人を殺した

花子くん
でもカミサマが言ったんだ

花子くん
この役目を全うすれば、俺の罪は消えるんだって

花子くん
だから祓われるわけにはいかない

花子くん
悪いね

源光
わけのわかんねぇこと言いやがって…

源光
待て!!

源光
クソッ

源光
ちょこまかと………!!

花子くん
ねぇ、その手痛くないの?

源光
うははは学習しねぇ奴だぜぇ!!

源光
今度こそキレイに消滅しちまいな!!

源光
(な………きいてねぇ!?)

源光
うおっ!?

花子くん
えいえい

花子くん
どーだどーだ

花子くん
ねー少年

花子くん
俺この杖ほしーなー

花子くん
そしたら見逃してあげてもいーよ?

源光
舐めやがって………

源光
俺は逃げねえぞ!!!

花子くん
そ

花子くん
じゃいーや

源光
えっ

源光
!!

花子くん
てい

花子くん
俺の勝ちー

源光
な………

花子くん
で、これはキケンだから封印っと

源光
おわー!!!

源光
うちの家宝に
何してくれてんだテメー!!

源光
うおおおお剥がれねぇぇぇぇぇ!!!

源光
剥がせ!!

花子くん
やーだよ

花子くん
それより

源光
!!

花子くん
やっぱり……君はこの霊杖の力をまるで使いこなせていない

花子くん
雷を放つたびに自分まで感電しているようじゃね

源光
い"っ

花子くん
身の丈に合わない力がもたらすのは破滅だけだよ、少年

源光
よっ………余計なお世話だ!

源光
オレはみんなを守るためなら命なんか惜しくねーんだよ!!

花子くん
おお!熱血ーゥ

花子くん
大丈夫

花子くん
焦らなくても君は、いずれ優秀な祓い手になる

花子くん
それこそ俺なんかカンタンに祓えるくらいにね

花子くん
期待してるよ

源光
………期待?俺はお前を祓うっていうのに……

花子くん
まぁ、今は弱っちいけどね!

源光
がっ!

源光
ってめー……汚ねぇぞ………

花子くん
WINNAR!イエーイ

若月天音
光くん?だいじょーぶ?

八尋寧々
大丈夫?

花子くん
こーでもしなきゃ諦めてくれなさそうだったからね

花子くん
丈夫そーだし、少ししたら起きるよ

八尋寧々
この杖………今のうちに隠しちゃった方がいいんじゃ……

八尋寧々
また来るかも………

花子くん
もしかして、俺のことシンパイ?

八尋寧々
あっ当たり前じゃない!
友達なんだから

花子くん
………そう

花子くん
ヤシロは人殺しでも仲良くできるんだ

八尋寧々
そ………

花子くん
なーんつって、冗談冗談

花子くん
そこの少年はそのままでダイジョーブだよ

花子くん
また来たところで、俺を祓えやしないだろうし……賑やかなのは大歓迎だ

花子くん
まぁ………
近々もっと賑やかになりそーだけどね
