ギャリィ…!!!
光を吸い込む漆黒の銃身が、 紫に照る鎖を弾き飛ばす。
ジユ
半径6mから出ずに、 360°全ての攻撃を弾く。
手数は不明。 とにかく多い。
ジユ
勝ち筋は見えない。 少なくともオレの目には。
オマケに隣のこいつは少し 気に食わないやつだけど。
信じてみよう。 コイツの信じるものを。
"仲間"を。
ギャンッ…!!
ズドッ…!!!!
ギリギリギリ_!!
自在に踊り狂う陽炎のような 太い鎖を大きな黒い銃身でいなす。
自身の重心を上手く利用し 鈍重な打撃を受け止める。
その度、 手が痺れ、痛烈な刺激を与える。
ジユ
しかしこれでいい。
こうしている間にも、 距離はジリジリと縮まっている。
_ジャラッ!!
再び鎖が波打つ。
しかしその攻撃は 曲りくねり不意な動きを見せ、 全く見当違いな所に着打した。
ジユ
ジユ
ガスマスクの男
ガスマスクの男
ジユ
今、何か言った。
篭った声のせいで聞こえないし、 知った言語化なのかも知らないが。
そしてここで、 ようやく気づいた。
今この場の異変。
厄介な要素を見逃していたことに。
ジユ
ジユ
居ない。 血の斧を持ったあの女が居ない。
咄嗟に首を振り回し、 探す。
何処だ。
どこに消えた。
そしてチラリと背後をみた瞬間、 謎の光が見えた。
紫というより紺色で、 歪で陽気な光を放っている。
先ほど外れた鎖が"輪っか"を作り、 その奥の景色が変次元を 映し出していた。
ニュ_
丁度その時、女がその歪な虚空から 姿を現す。
女の赤い目はシステを見つめ、 戦斧を構えている。
そして、既に間合いだ。
ミリエラ
ジユ
ジユ
バヂッ__!!!!!
ミリエラ
ドサッ……
雷鳴が鼓膜をつんざく。
極に太い蒼一閃は 戦斧を砕き、女の身体をも貫いた。
システ
ガスマスクの男
マスクの男は 感心するようにそう言う。
一方彼女の歩みは 止まることを知らない。
術式はそのまま、足を前に伸ばす。
システ
システ
ガスマスクの男
ジユ
ジユ
システ
システ
エネルギー。
ベクトも言っていた。 "エネルギー"とはつまるところ、 体力のように消費するものなのか。
ジユ
ジャキ_!!
ジユ
システ
突っ込む。
反射的だったのもあって、 後から思うと迂闊だったかもしれない。
ジャリリリィッ…!!!!!
まぁ別にいいだろう。 それに丁度いい。 お出ましだ。
数本に連なった鎖が 真正面から襲いかかる。
足を止め、腰を落とし、 腕を少し曲げ 伸ばす。
強い打撃を受けるときは、 これが一番硬い。
ガ_ッ!!ギャリ…!! ギャンッ_!!!
黒い銃身と鎖が火花を散らし、 視界を一瞬眩ませる。
ジユ
光がやみ、 視界が正常な彩度 明度を取り戻す。
グオッ__!!
その瞬間、 眼前に大量の鎖を巻いた拳が 紫の妖炎の如く姿を現した。
ガスマスクの男
ジユ
ジユ
バチバチ…__ッ!!!!
ドカッ__!!!
ガスマスクの男
ジユ
青い雷と紫の鎖が衝突する。
結果、青い雷は打ち消され 鎖の拳は砕け散った。
ガスマスクの男
システ
システ
ガスマスクの男
ジャラ……_
ガスマスクの男
ギャル_ッッ!!!
男の足元で鎖が渦を巻き 3、4つのリングを形成する。
その中が腐るように 景色を侵食し 空間を食い潰していく。
男はリングに触れることなく かざした手で操り、一気に投擲した。
ブォン_!!!
ジユ
システ
言われる前に足は動いている。
丁度目の前に跳んできたリングを 足を曲げ、跳んで 叩き落とす。
バコッ!!
ジユ
着地と同時に地を蹴り、 地面に落ちたリングを地に埋まる勢いで 叩き潰す。
ドス…!!!
ジユ
ガスマスクの男を見やる。
しかし居ない。
ジユ
ジユ
ジユ
システ
システ
その声を聞き、 上空を見た。
ジャリ…
ジャラ…
ジャラ ジャラッ…
ギュリリリ_
ジャラララ_!!
ギュルッ…!
大きい。
淡く、妖しく、燃え盛るような 紫の波紋と光厳を纏う鎖が
巻き付き、捻じ曲がり、結び付き、
大きな大きな、大き過ぎる 圧倒的な質量が頭上にあった。
ジユ
システ
よく見ると、さらに上空に 変次元とつながったリングがある。
さっきの3つはデコイだ。 まんまとやられた。
ガスマスクの男
ガスマスクの男
ガスマスクの男
ジユ
強い。 故に勝機は薄い。明白だ。
_尊厳、か。 "命は奪わない"と そう言っているのだろうか。
ジユ
諦めてしまおうか。 今行けば、俺は自分の目的に 近づけるかもしれない。
システ
………俺は、 居ないほうがいいだろうか。
ジユ
ジユ
システ
パキ_!!!
衝突時の音からして、 金属製。
いくつもの楕円の輪が連なり、 繋がっている。
色はこれもいいだろう。
ズオ……ッ
黒が顕現する。
脳内の想像を、 現実に創造する。
ジユ
黒い鎖。
生成と同時にロケットランチャーに ぐるぐると巻きつけていく。
システ
ジユ
ジユ
システ
ジユ
ジユ
システ
システ
システ
ジユ
システ
ジユ
ジユ
ジユ
ジユ
ジユ
システ
ジャラ、ジャラ……
数秒、目が合っていた。
両者、考えている事は違う。 笑わず、睨まず、 ただその瞳を見つめ合っていた。
ジユは、彼女の事が いまいち分からない。
システは、彼の事を 容易に受け入れることが出来ない。
歯車は凸凹で 噛み合うことなど無かった。
しかし、それで良い。
……ガシッ!!
なぜなら、 熱は伝わっていたからだ。
システ
ジユ
システ
ジユ
ブォン……!
ブォン…!!
ブォン_!!!
ブォン_ッ!!!!
ジユ
ヒュパッ__
両手から放たれた黒い弾頭は 空気を引き裂き、巨大な鎖の塊へ 回転しながら飛んでいく。
鎖は乱暴に解けながら 小さな火花をまき散らし弾頭を 前へ前へと突き動かしている。
ガスマスクの男は それに見向きもしない。
おそらく最初から撃てないことも、 引き金を引けない事も 分かっていたのだろう。
弾頭が遂に、鎖塊に着撃する。
ガツ__
…爆発は、しなかった。
ガスマスクの男
ジユ
パ
リッ_
ジユ
ベキベキ…ッ!!
弾頭が崩壊する。
破片と破片、鎖と鎖がひしめき合い 火花を散らす。
破裂するように瞬時に自壊し、 その"中身"をさらけ出した。
それは、"油"だ。
ジユはそれを知っている。
地底の硬い岩盤を削る為に 生み出された、特殊な油。
高い引火性と、爆発的な燃焼性。
どこか別の場所の誰かは、 こうとも呼んでいる。
"ガソリン"と。
__チュドッッ !!!!!!!!!!!!!!
目の前には、 満天の曇天。
まぁ、変わらない景色だ。
ただし、いつもと違うことが二つ。
ひとつは、得体も知れぬ悪党に 襲撃を受けているということ。
そして、もうひとつは……
ベクト
ベクト
ベクト
ビュオオオ……!!!!
ベクト
ベクト
ベクト
ベクト
ベクト
ベクト
ベクト
ベクト
ビュオオオオ…!!!
ベクト
チャキ__
ベクト
ベクト
ヒュオオオオオオオオ_
地上が近い。
ものの数秒で地に足がつくだろう。
ベクト
"双爪乱峰"
ソウソウランプ
刀を鞘から抜き取り、 空間の虚無を斬り刻む。
刀とその領域にある一切合切が 擦れ合い、干渉し合い
圧力も、風も、摩擦も
全てが彼に届かなくなっていく。
フワッ……
やがてその足は地面に付くが、 大した衝撃も、激痛も感じなかった。
ベクト
ヒュウウウウ____!!!
ドッ_!!
爆発。 着地と同時に自爆することで 落下の衝撃を緩和した。
ベクト
つまりは、能力者だ。
ベクト
ベクト
ブゥン_!!
ベクトの姿が消える。
いや、そもそもそれは 彼ではなかった。
彼自身の肉体を"模倣"した 空気の塊だ。
そして彼もまた、自身の肉体に 空気の姿を"模倣"している。
空気の流れを視る人間など あったことがあるだろうか。
ガス…!!
おもむろに両手を地面につけ、 唱え始める。
ザ__
小さな足音が聞こえた瞬間、 首をぐにゃりと振り返す。
同時に手をかざし、 最後のカウントを_
ベクト
いつの間にか、真後ろに居る。
そして既に構えている。 その刀身を振り下ろすだけだ。
ギュオッ…!!
ベクト
_ッッドム!!!
爆炎と粉塵が襲いかかる。
咄嗟に姿勢を縮めて 避けたは良いものの、 身体は思いきり吹き飛んだようだ。
ズザ…_ズザザ__!!!
ベクト
男が飛んできて、脚を振りかざす。
ガス_
ブォン!
ベクト
足を掴んで投げようとするも、 拳が眼前にやってきた。
ボッ!!!
ベクト
カウントが無い。 即発動か。
この能力。 術者本人の スペックとも合わせて厄介だ。
高い反射能力と運動神経。 そして"爆発"という能力の特性上 リーチ、範囲の点で優位は あちらにある。
ベクト
ベクト
ベクト
"威力はカウントに比例する"。
それはつまり、 大きな火力には相応の"溜め"が 必要になるということ。
ベクト
ベクト
男が再び"カウント"を始める。 3だ。
耳に入った瞬間、 電流がが体中を駆け巡り 神経系を、肉体を動かす。
一歩、刀を握る。
二歩、抜刀する。
三歩、男の頸椎を睨みつけ 刀身を振る。
一瞬、刹那。 その短短時間で、相手は窮地。
しかし集中力は時に仇となる。
ガルル…ッ!!!
ベクト
ガキン…!!
その刀身はその牙に阻まれ、 届くことはなかった。
番獣。 真横からの奇襲。
気づかなかっ
さん
じゅう
30
ベクト






