乱歩
悪寒が背中を走り抜けた。
何を云われるの。
怖い、訊きたくない。
乱歩
乱歩
明李
お姉ちゃん、
お姉ちゃん、柚季が何?
お願いだからもう何も云わないで。
まして死んだなんて、絶対云い出さないで。
福沢
乱歩
乱歩
福沢
明李
明李
明李
明李
乱歩
明李
明李
乱歩
明李
明李
明李
明李
明李
乱歩
乱歩
異能力者。訊いた事はある。
けど、そんな事って在るの?
与謝野
与謝野さんが震える私を抱き締めて呉れた。
声が出ない。
肺が痛い。鼻の奥が痛い。喉が痛い。
周りの音なんて全く訊こえない、
全身から血の気が引いていくのが分る。
嗚呼、本当に、
運が悪い。
其の後、空いてる社員寮の一室を貸して呉れた。
与謝野さんは態々私の食事を用意して、
私が落ち着く迄傍に居て呉れた。
あの後私は立てなくなる程泣いた。
そんな私の背中を与謝野さんはずっと摩って呉れていた。
少し、お姉ちゃんの面影を感じた。
其の度に又泣きそうになった。
与謝野さんが居なくなった部屋で独り、
図鑑を抱えて呆けていた。
月明かりが目に毒だった。
月を睨むように外を見た。
明李
こんな時でさえ、星は綺麗だ。
窓を開けて、眺めた。
吸い込まれそうなくらい、綺麗だった。
明李
明李
明李
明李
明李
明李
全部全部全部、柚季と見た星たち。
柚季が教えて呉れた。
明李
柚季が居ない。
全く実感が湧かない。
若しかしたら、今も、何処かで生きているかも。
笑っているのかもしれない。
乱歩さんの、異能力の宛が外れただけで。
頭では分ってるけど、心が追いつかない。
善く訊くフレーズだが何処か他人事のように捉えていた。
いざ自分がなると、こんなにも苦しいものだった。
明李
消え入る声で云った瞬間、少し前の記憶が呼び戻された。
其の日も、星が綺麗な日だった。
柚季
柚季
柚季
柚季
明李
明李
明李
明李
柚季
柚季
柚季
明李
柚季
柚季
柚季
柚季
柚季
柚季
柚季
柚季
明李
繋いだ手が強く握られた。
あたたかかった。
柚季の体温がちゃんと伝わってきて、
生きてるのを感じてられて、嬉しかった。
明李
柚季
明李
明李
柚季
明李
明李
滲んだ視界に、一筋の光が映った。
彼れは双子座流星群だろう。
屹度、私は未だ未だ立ち直れない。
其れでも、ゆっくりで善い。
ほんの少しでも、前を向いて
向き合って生きていけたら、今度こそ、
幸せになれると思うから。
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