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雨
雨
雨
どこに行こうが
降り続き
視界を塞いでくる
どこからか声が聞こえる
温かくて
優しい
落ち着いた声
自然と惹かれ 振り返る
傘をさして 雨に濡れていない人がいる
まるで雨が彼を避けているようで
眩しく見えた
s m
俺は問いに答えた
すると彼は 少しの間、目を見開く
そして傘を差し出し 微笑んだ
不思議な感覚だった
他の人からは感じるもやもやが この人にはなかった
s m
彼は嬉しそうにし
俺の手を引いた
雨に濡れないように
傘の半分に入れてくれた
こんなに暗い場所が 青い瞳の輝きで照らされる
s m
頑張る
頑張るとはなんなのだろうか
そんな感覚 覚えていない
忘れ去られた感覚
俺は靴を濡らしながら 北の方へと進んだ
大きな家
見たことがないほど大きくて
遠い別世界の城のようだった
彼は扉を開けて 中へと消えていく
俺は後を追って 家の中に入った
天井も
壁も
床も
全てが明るい
なのにどこか雰囲気が暗い
寂しい空間
俺の表情は変わらず固まったまま なのに彼は尋ねた
s m
他の人とは違う 暗い顔が垣間見えた
名前…
昔はあった気がする
でも名前で呼んでくれる人なんて しばらくいなかった
みんな…お前、とかゴミ、とか
そんな風に呼んできた
だから───
s m
悩む様子も怒る様子もない
不思議な人だ
s m
『 s m 』
日本語に訳すと "笑顔"
俺とは無縁の言葉
彼もそれをわかっているだろうに
俺に s m という名前を授けた
k n
k n
呼び捨てなんて 経験がない
なんでもいいと言うのなら 呼ぶべき呼び方にしよう
s m
俺の立場からしたら この呼び方が丁度いい
k n
彼は納得がいっていないのか 顔を歪める
s m
k n
s m
こうして俺は彼の呼び方を決めた
k n 様…と。