俺が雨の日に拾ったのは……

導き蛍（みちびきほたる）

それは、ホタルの一種で 世の中に数匹しかいないと言われる

そのホタルを見た者はその蛍に 心を奪われ

そのホタルを追いかける

そのホタル以上の関心を抱かぬ限り

永遠に後をつけるのだ

意味不明な能力すぎて詳細はまだ わかっていない

あのホタルになろう

そしてゆあんくんとじゃぱぱさんを あの初めて出会った海に連れて行く

それをきっかけに思い出して

また…あのときみたいに笑って……

そう言って電話をきった

ゆあんくんがついてくる

その後ろからじゃぱぱさんも

作戦通り

ゆあんくんとの記憶を無くしてから じゃぱぱさんはまた笑うようになった

でも私には

その笑顔は偽物にしか 見えなかった

上から二人を見守っていたけど じゃぱぱさんはゆあんくんを置いて どこかへ行ってしまった

失敗でしたか………

そしたら下でゆあんくんが泣き出したので 話しかけにまた私は降りていった

そう言って角と尻尾を見せる

夜中まで探し回ったけどどこにもいない

今は夜中なので少しの間だけ羽を出して 空を飛ぶ

その方が見つけやすい

それに…のあさんの話によるとじゃぱぱは 家にも帰ってない

どこ行ったんだよ……

綺麗な満月

じゃぱぱと一緒に見たかったな………

あれから一ヶ月後

俺は実家に帰って事情を話し、 かくまってもらってる

大学は休みっぱなしだし

憂鬱な毎日を過ごしてる

何かがこっちに向かって一直線に飛んでくる

それの正体がわかって俺は慌てた

家に逃げ込もうとした瞬間

捕まった

なんでここにいるってわかったんだよ……

ゆあんくん…記憶戻ったんだ

なんで気づかなかったんだろう

なんで離れてしまったんだろう

そのまま二人で泣いた

ゆあんくんとまたこうして横に並べて

当たり前のように話せて

本当に嬉しい

ゆあんくんのことを危険な目に遭わせて しまうかもしれないなら

俺が強くなればいい

なんで気づかなかったんだろう

今までこんなに助けてもらったんだ

次は俺が助けるよ

困ったときはなんでも言ってね

ゆあんくんの額にそっと口づけをして

俺もそのまま眠りについた

ゆあんくんからじゃぱぱさんが 見つかったとの連絡が入り 合鍵を使ってじゃぱぱさん家に入ると ゆあんくんとじゃぱぱさんがソファで 寝ていた