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主
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nmmn注意⚠️ キャラ崩壊注意⚠️ 誤字脱字注意⚠️ 花魁パロ
主
主
主
21,重ねる足音
桃野屋の裏庭に、張り詰めた空気が漂っていた。
並べられた畳の上を、らんがゆっくりと歩を進める。
――花魁道中。
華を示す最高の舞台であり、楼の格を世に誇示する場でもある。
男であるらんがその先頭を歩むことは、前代未聞だった。
桃李
重たい高下駄を履いた足が、ぎしりと音を立てる。
歩幅を狭く、腰を沈め、頭を揺らさずに進む。
それが道中の「八文字」。
だが、数歩も進まぬうちに足がもつれ、らんは思わず前のめりに崩れた。
桃李
派手な衣装の袖が宙を舞い、畳に倒れ込む。
黈羽
慌てて駆け寄ったのはみことだった。
必死にらんを支えようとするが、逆に押し潰されそうになって顔を歪めた。
黈羽
桃李
らんは苦笑しながら身を起こす。
額には汗が滲んでいた。
紅鶴
なつが扇を軽く打ち鳴らし、笑みを浮かべた。
紅鶴
紅鶴
桃李
らんが唇を尖らせる。
蒼霞
こさめは静かに指摘した。
蒼霞
蒼霞
桃李
いるまがひょいと下駄を持ち上げ、にやりと笑った。
茈月
茈月
茈月
桃李
らんは赤くなりながら下駄を取り返した。
稽古は何度も繰り返された。
進んでは転び、転んでは立ち上がる。
らんの膝には擦り傷が増え、衣装は汗でじっとりと湿っていく。
それでもらんは、諦めなかった。
桃李
桃李
荒い息の合間に、何度もそう呟く。
黈羽
みことが不安そうに問うと、らんは低く答えた。
桃李
桃李
桃李
その瞳に宿る炎に、誰も言葉を返せなかった。
夕暮れ。
稽古を終えた六人が座敷に戻ると、楼内はざわついていた。
廊下を行き交う世話役や楼主の囁きが、あからさまに耳に届いた。
桃李は拳を握り、唇を噛みしめる。
桃李
紅鶴が肩に手を置いた。
紅鶴
紅鶴
桃李
桃李はそう言い切った。
その横顔は、稽古で転んだ姿とは違う、確かな決意を宿していた。
その夜。
楼の影の中で、男たちの声が低く響いていた。
暗闇の中で火打石が再び鳴り、小さな火花が散った。
21・了
主
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𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡220
主
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