あの日からだった。
全てが狂ったのは。
私の全てを喪ったのは。
「……ぬ、っ…な、?」
『私っ…、私、……』
「その、…死んでる奴、…」
「殺したの…、…」
「ぬなじゃないよね、?」
『っ、……』
「でも、なんでっ、、…」
「ぬなの手は、っ」
「〝赤い〝の?」
『今日も…、…雨か』
昨日も今日も雨だった。
雨に良い記憶はない。
『…』
ふと空を見上げる。
雫に眼を取られて
上手く空を視ることが出来ない。
……
アノ時に似てる。
あの、瞳と涙。
〝彼〝を裏切った時に。
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「俺に、…」
「嘘、ついたの…?」
……
『ああっ、…あ、…』
『苦しいっ、…!!』
「首閉めても答えられない?」
「俺を、裏切ったの?」
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知らなかった。
知られたくなかった。
言えなかった。
言いたくなかった。
数年もの時を得ても
頭のナカで廻る。
どうしても。
なにがあっても。
私が〝人食い〝とは
言えなかった。
でも、運悪く。
視られてしまった。
『あっ、ごめんなさい。』
ドンッと人にぶつかる。
『っっ、…!』
とてつもなく良い香りがする。
……
甘くて、香って
少し苦い。
……
『…、とっても美味しそう』
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ぴちゃぴちゃと
赤い血が舞う。
『んっ、……』
人気もなかったから
そのまま食らいついた。
……はずだった。
『っあ!!』
腕を切られる。
この血は、この人のじゃない。
私の、血。
……
「探したよ。」
「ぬな。」
『…っ、ぐく、…』
あの時の。
あのまんまのグク。
変わらない
なにも変えられない顔で
私を視る。
……
「通りすがりの人を食べるなんて…」
「お腹が空いてたんだね…、」
やめて。
そんな懐かしい声で
表情で
温もりで
私を抱き締めないで。
『あの日からっ…』
『ずっと、っ、…』
『ずっと、想ってたっ…』
……
「おれも、」
「ずっと想ってた。」
…
「ずっとずっと。」
「殺したいと想ってたよ。」
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何が起きたのだろう。
雨で、グクのこと思い出して
美味しそうな香りの人を見つけて
グクに会って、…。
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そこからの記憶がない。
でも、何故だろう。
目の前に
美しく微笑むグク。
……
そして、
首が喰われていた。
「ぐ、っく、…?」
息が止まり
真っ青になっていくグク。
『なっんで、…!!!』
『私が、喰ったのっ!!?』
『いやだっ!!』
『ぐく!!!!』
『いやぁぁぁ!!!!!!』
私の苦痛な叫び。
……
ふと、私の身体を見ると
グクの腕から延びてるナイフが
胸に刺さっていることに気づく。
「あっ…っ!!」
心臓に深く刺さり
私を貫く。
………
あぁ。そうだった。
これが、運命なんだ。
これが、罰だったんだ。
……
これは
私への復讐だったんだ。
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コメント
5件
とても素敵な物語ですね 最高です…
はい。解説 まず○○(ぬな)はグクの恋人じゃないです。友人ですね。アノ時に☆☆☆たのは、グクの本当の恋人テヒョンでした。グクの恋人のように振る舞うあの言葉遣いはただの妄想です。人食いはただの言い訳でテヒョンを☆☆☆た理由が、「嫉妬」と言えなかった。
最後まで裏切らない素敵な作品ですね....最高です