つりめ
なんか久しぶりじゃない?
つりめ
二人きりって。
つりめはえいじの車に乗るなり
スマホをいじりながらそう呟いた。
えいじ
ね、久しぶり。
会話が途切れ、沈黙が流れる。
本当に付き合っているのか疑えるほど
気まずい空間になってしまった。
えいじ
じゃ、行こっか。
つりめ
うん。
沈黙を破るようにアクセルを踏んで、
車を発進させる。
えいじ
ねえ、みっくん。
つりめ
ん?
えいじ
寂しくないの?
つりめ
なにが?
つりめはスマホから目を背くと
真剣に運転を続けるえいじを見つめ、首を傾げた。
えいじ
二人の時間が無くてだよ、バーカ。
つりめ
…寂しくないよ。
えいじ
え、ほんとに言ってる?
つりめ
ほんと。
ほんの少し焦りの表情をみせるえいじに対し、
つりめは顔色一つ変えず頷いた。
つりめ
だってえいちゃんさ、
つりめ
夜中まで起きて編集したり疲れてるでしょ。
つりめ
だから負担かけたくないなって。
えいじ
…ばっかじゃねーの。
えいじ
じゃあ、いつお前にくっつけばいいんだよ。
えいじはハンドルを切りながら
能天気なつりめに不満を漏らした。
つりめ
わかんない、
つりめ
えいちゃんの好きなタイミングでいいよ。
えいじ
…なら2時にリビングな。
つりめ
わ、夜中じゃん。
つりめ
寝ちゃったらどうしよう。
えいじ
どうもしねぇ。