テラーノベル
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夜の街の灯りが、少し滲んで見えた。 秋の風が冷たくて、 でもどこか懐かしい匂いがした。
——永玖に、会える。 それを聞いた瞬間から、胸の奥がずっと 落ち着かなかった。
颯斗.
直弥に誘われてここへ来たけど、 永玖が俺のことを“覚えていない”ことも、ちゃんとわかってる。 それでも、どうしても顔が見たかった。
店のドアが開く音がして、 振り返った瞬間、息が止まった。
——あのままだ。
小動物のような顔、透き通るような肌、 笑うとくしゃっとなる目元。 何も、変わってなかった。
直弥が手を振る。
直弥.
颯斗.
永玖.
柔らかい声。 あの頃と同じトーン。 胸の奥が一瞬で熱くなったけど、 俺はちゃんと笑顔を作った。
永玖.
——その言葉を聞いた瞬間、 何かが崩れそうになった。
心の奥が震えて、涙が出そうで、 でも必死に笑った。
食事の間中、永玖はよく笑っていた。 話す仕草も、食べる時の小さな癖も、 全部、昔のままだった。
俺は、ただそれを見ていた。 「また君に会えた」 その事実だけで、 もう十分すぎるくらい幸せだった。
別れて以来、 ずっと胸に穴があいていた。 でも今、その穴が少しだけ温かく埋まっていく。
颯斗.
永玖.
颯斗.
気づけば手を包んでいた 久しぶりに感じる永玖の温もり
——君は、もう俺を覚えていない。 でもそれでもいい。 またこうして、君に恋をしてる。
“永玖”という人に、 何度でも恋をして、 そのたびに名前を呼んで、 そのたびにまた、初めての恋をする。
君が忘れても、俺は覚えている。 だから、何度だってやり直せる。
颯斗.
永玖.
颯斗.
永玖.
笑う永玖を見て、 胸の奥で小さく呟いた。
——また君に恋をするよ。 何度でも、何度でも。
𝐹𝑖𝑛.
コメント
3件
ほんとにまた会えてよかった泣 もしかしてもう終わりですか😭😭