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冴内蒼空

……はぁ、

昨日から何度目か知れないため息が出た。

冴内蒼空

(財布…お金、ほとんどなくなっちゃったなぁ)

冴内蒼空

(次にお金が入ったら、ミシン糸とボタンは買いたい…)

冴内蒼空

(昨日の出費は結構痛手だったかも、)

考えているのは昨日のことだ。

財布の中に入っていた二千円は 蒼空にとって大きな額だった。

というか、あと少し高ければ 無銭飲食になるところだった。

月3000円のお小遣い。

雀の涙ほどの貯金はあった。

しかしそれもシエルとの出逢いで 溢れたインスピレーションを 発散するために使い果たしてしまった。

つまり 今の蒼空は本当に金欠なのだ。

冴内蒼空

(でも可愛さんが言ってたあれって、本当だよね…?)

冴内蒼空

(あーっ!言われたときに、夢かどうか確認すればよかった…!)

冴内蒼空

(…………いててっ!)

冴内蒼空

(って!今やったってしょうがないだろ!)

冴内蒼空

(もー、ほんと僕って…)

自分で傷めた頬を撫でながら 学校に到着した。

すると下駄箱靴を履き替えている シエルが目に入る。

冴内蒼空

あ…

可愛シエル

………

声をかけていいものか迷っていると シエルは顔を上げた。

そして蒼空と目が合うも すぐに立ち去ってしまった。

昨日のことが夢だったかのような 態度だが仕方がない。

蒼空は昨日の帰りがけのことを思い出す。

~~回想~~

冴内蒼空

(こういうカフェって結構するんだな…)

蒼空がトボトボと店を出ると シエルが待っていた。

冴内蒼空

可愛シエル

あのさ、服は着るんだけど

冴内蒼空

はい

可愛シエル

その、学校では絡んでこないでくれる?

冴内蒼空

えっ?

可愛シエル

わたし、目立つのきらいなの

冴内蒼空

…あー……

冴内蒼空

(それもそうか…)

冴内蒼空

(僕なんかと話してたら周りの人たちからよく思われないだろうし……)

蒼空は学校での様子を思い出す。

可愛シエル

わかった?

冴内蒼空

わかった

可愛シエル

あの人にも変なことさせないで

冴内蒼空

あの人?

可愛シエル

教室で声かけてきた人

可愛シエル

あーゆーの迷惑なの

冴内蒼空

……もしかして、最上くんのこと?

可愛シエル

知らないけど

可愛シエル

次やったら服着る話は無し

冴内蒼空

えぇっ!!?

可愛シエル

じゃ、そういうことだから

シエルはそれだけ言うと さっさと帰ってしまった。

冴内蒼空

(でもまあ、着てもいいって言ってたし)

冴内蒼空

(可愛さんに着てもらいたい服、いっぱいあるんだよなあ!)

許されないと思っていたこと。

断られると思っていたこと。

それを思うと蒼空の気持ちは 先ほどまでのずしりとした 重りが外れ、 天まで昇っていってしまいそうだった。

緩む頬を両手で押さえ込むと、 どれだけ間抜けな顔を しているかが分かる。

冴内蒼空

(……いやいやいや!!!)

思い切り顔を左右に振ると、 だらしない表情を振り飛ばす。

冴内蒼空

(こんな浮かれた表情してたら、無かったことにされちゃうかも…)

冴内蒼空

(気を引き締めえていかないと!)

心に固く誓い、歩き出す。

代わり映えのしない道、 代わり映えのしない景色。

今日も蒼空以外の生徒は 親しげに挨拶を交わしている。

それらも今日の蒼空の目には 輝いて見えた。

冴内蒼空

(帰ったら早速今作ってる子の仕上げと、次の子の構想に取り掛かろう!)

蒼空の創作意欲に火がついていた。

今にもスキップし出しそうになるのを 堪えながら教室に向かった。

これからの未来には 楽しいことしかない そんな気分だった。

この後 またひと悶着あることを 今の蒼空は知らなかった。

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