テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

一覧ページ

白猫プロジェクトメインストーリー

第15話 - 三つの試練

2023年01月04日

#白猫プロジェクト

ﾃｯﾃｯﾃﾚｯﾃ

タビィ

おーい！早く早くー！
はっしれー！置いてくぞー！

キャトラ

ま、待ってよ〜

アイリス

……はあ、はあ……

………………

………

グローザ

あぁ……！
なんて愛くるしいのかしら……

グローザ

白く光り輝く毛並、
宝石のようなつぶらな瞳、
柔らかく風に揺れるしっぽ……

グローザ

なんて可愛らしいの……！
世界中の全ての生き物が、
あなたのようならいいのに……！

エピタフ

クククッ、グローザサァン、
ドコ見て言ってんですかァ？

グローザ

あの子猫に決まってるでしょ

グローザ

可愛くない生き物なんて
この世にいらないわ。
もちろんアンタもね

エピタフ

同ゥ感ですよォ。ただし、
いらないのは役立たずですけどね！
ギャハハハハハ！

グローザ

……はぁ？それって誰のこと？
アンタ、白の巫女より先に、
黒コゲになりたいの？

エピタフ

ごジユーにどーぞォ！
やれるモンならねェ！

ヴァルアス

二人共やめろ

エピタフ

これはこれは、
暗黒騎士ヴァルアス様
直々のご仲裁ですかァ！？

ヴァルアス

仲良くしろとは言わんが、
我らの使命を忘れるな

グローザ

はっ、ヴァルアス様

エピタフ

分かってますよォ、
大いなるルーンを集めて、
闇の世界にすりゃいいんでしょォ？

エピタフ

そのゴメーレーを下された、
〈彼〉はどうしたんですゥ？
オフトンでオネンネですかァ？

ヴァルアス

口を慎め、下郎。
〈彼〉等と呼ぶな。御前であるぞ

？？？

…………

エピタフ

これはこれは！
痛々しいお姿ですなァ、〈王〉よ！
サモ恨めしきは白の巫女カナ

エピタフ

ギャハハハハハ！

ヴァルアス

道化るのも大概にしろ！

エピタフ

それが私の役割でありますれば。
では王よ！早く力を取り戻して、
共に世界をホロボシまショウねェ！

エピタフ

ギャハハハハハハ！

グローザ

……どうしてあんな奴が……！

ヴァルアス

王の意向だ。言っても始まるまい

グローザ

あんな道化師に頼らずとも、
ヴァルアス様と、
この私さえいれば十分です

グローザ

お望みならば、今すぐにでも
白の巫女の首を取って
ご覧にいれますが

ヴァルアス

王はまだ復活して間もない。
器を得たとて、力は戻っておられない

ヴァルアス

我らの支えが必要だ

グローザ

そんな、憎いあの女が
すぐそこにおりますのに……！

ヴァルアス

私がまだだと言っているのだ

ヴァルアス

はやる気持ちがあるのなら、
さっさと次の大いなるルーンを
手に入れてみせるのだな

ヴァルアス

あの道化師より
下に見られたくはあるまい

グローザ

……！……分かりましたわ！

ヴァルアス

………………カナタ……

ヴァルアス

……参りましょう、王よ……

？？？

………………

サマーソウル

遅かったな！

キャトラ

あ！サーフボード！
泳いできたの？ずるくない？

サマーソウル

海だって夏だ！

サマーソウル

では、試練の説明をしよう！
だがその前に！

サマーソウル

お前達、夏に隠し事なんか
しちゃいねーだろーな！？

アイリス

……してない……
と、思いますけど……

サマーソウル

だったらどうして服だ！？

アイリス

……え？

サマーソウル

己の身の潔白を、
灼熱の太陽の下にさらせ！
そのまま海にも飛び込めるほどに！

イリーナ

私はこのままでも
海にザブーン行けますわ！

タビィ

あたしだって水陸両用だよ！

アイリス

……私は遠慮します

サマーソウル

ふむ。夏の恥じらい乙女だな。
それもいいだろう！

キャトラ

アタシはいいとして、カナタは？

カナタ

俺も、遠慮しようかな……

サマーソウル

男子たるもの、
身に纏うもの全てが戦闘服！
そのままで構わんさ！

キャトラ

いいならいいんだけど……

サマーソウル

第一の試練は、浜辺に点在する、
ソウル・スイカを破壊することだ！

キャトラ

スイカ割りじゃん！

サマーソウル

果物だとて甘く見るな！
ソウル・スイカは、
言わば夏のダイヤモンド！

サマーソウル

そのガッツはスイカの百倍！
魂なくして打ち砕くことなど出来ん！

キャトラ

フルーツまで暑苦しいよぉ……

サマーソウル

では、始めっ！

タビィ

どんなに固くったって、
あたしのパンチで一発だ！
やったったんぞー！

イリーナ

私が美しいだけじゃないって
ことを見せてあげますわ！

サマーソウル

そこまでっ！
見事な粉砕祭りであった！

イリーナ

ふん、こんなものかしらね。
タビィ、あなたはいくつ
破壊できたのかしら？

タビィ

たくさん割った！

イリーナ

あなたのたくさんは
三つ以上でしょうが！

サマーソウル

伝わったぜ、お前達の熱気。
大胸筋から三角筋を抜け、
広背筋までビンビン来たぜ……！

サマーソウル

甲乙つけ難しとは言え、対決は対決。
勝敗は下さねばならぬが宿命！

サマーソウル

第一の試練、その勝者は……

サマーソウル

ミス・キャトラ！

キャトラ

アタシ！？
アタシ何もしてないけど！？

イリーナ

どういうことですの！？
サマーソウル様、
説明して頂けませんこと！？

サマーソウル

ミス・キャトラを見よ！

イリーナ

……猫？……いえ、違うわ……
……はっ！？まさか……！

サマーソウル

そう！白日の下にさらけだす、
一糸纏わぬその姿！
その潔さこそ、真夏のマーメイド！

イリーナ

そんな、でしたら私だって！

サマーソウル

二番を煎じるのか！？
それがお前の信じる
ジャスティスなのか！？

イリーナ

……！私の負けですわ……！
まさか、猫なんかに……！

サマーソウル

涙もいいだろう。
敗北を知る、これも夏の
青春の一ページだ

イリーナ

泣いてはおりませんが、
次は負けませんわ！

タビィ

あたしもー！キャトラにも勝って、
目指せナンバーワーン！

サマーソウル

よし！では第二の試練へ向かって、
全員、ウサギ跳びで行くぞ！

タビィ

おー！やったったんぞー！

ガザ

頑張るんじゃぞ〜

キャトラ

あれ、またいる

エーギル

割ったスイカを無駄には出来んからな

キャトラ

食べに来たのか……

並べられた台の上に、御馳走が溢れている……

サマーソウル

では、第二の試練、始めっ！

キャトラ

いきなり始めないで！
何がどうなってどうすればいいの！

サマーソウル

見て分からんのか？
これらは夏の恵み。
今年も豊作だったのだ！

サマーソウル

ならば、その恵みに
感謝を捧げるのもまた、
夏の必須事項！

サマーソウル

島の恵みを己の血や肉にして、
再びの豊作を祈るのだ！
さあ、ジャンジャン食え！

タビィ

よぉーし！肉、肉ー！
やったったんぞー！

イリーナ

私は脂っこいものはあまり……

キャトラ

つまり、大食い対決ね。
カナタ、
アタシ達はゆっくり味わおうか

カナタ

そうしよう。
うわぁ、美味そう……

タビィ

美味ーい！肉、肉、肉、肉ー！

サマーソウル

バカヤロウ！肉、肉、野菜！
肉、野菜だー！

イリーナ

私はプロボーション維持のため、
過剰な摂食は……

サマーソウル

なあに、一食くらい大丈夫だ！

アイリス

このお魚の煮つけ美味しい

アイリス

……あら？これは何かしら？

キャトラ

げっ！虫っ！？

アイリス

でも食べ物なのよね？
……うん、美味しい！
見た目で嫌っちゃ損だよ？

キャトラ

……そっち系はパス……

……一時間後

タビィ

た、食べるんだ……！
あたしはまだ食べるんだ……！

アイリス

これは山菜の一種かしら？
……エグみのある味ね！
でも、クセになるわね

カナタ

アイリス、よく食うな……

サマーソウル

ふむ。じゃあ、フィニッシュ！

キャトラ

唐突に終わった！

キャトラ

……あれ、イリーナ？

キャトラ

……逃げたな……！

サマーソウル

では、結果を発表する。
勝者、ミス・アイリス！

タビィ

ま、負けた……！

サマーソウル

ミス・アイリスは、
量こそミス・タビィに及ばぬものの
好き嫌いもなくバランス満点！

キャトラ

このジャッチは割と順当ね

アイリス

私が勝っちゃっていいのかな？

キャトラ

いいんだよ。
一勝ずつでアタシとお揃いだね

タビィ

ううう……
これは自信あったのにぃ……！

ガザ

まだまだじゃのう、タビィよ

エーギル

サマーソウル様、
逃げた娘をお許しください。
年頃ゆえ、太るわけにいかず

キャトラ

出たわね処理班

エーギル

おい！
貴様のチャーシューの方が厚いぞ！
なんの権利あってそんなことを！

ガザ

早い者勝ちじゃい！

キャトラ

たくさんあるんだから
仲良く食べなさいよ〜

サマーソウル

では、次なる試練へ向かおう！
今度は〈勇気〉の試練だ！

キャトラ

やっとそれらしくなってきたね

カナタ

楽しみだな、それじゃあ行こう

イリーナ

気を取り直して、次の試練ですわ！

タビィ

前回は遅れをとったが
今度こそあたしが勝ーつ！

アイリス

それにしても島のこっちの方は
随分険しいのね

キャトラ

暗くなってきたら
ちょっと怖いかもね……

サマーソウル

これは、実際にあった話なのだが……

キャトラ

うわっ！急に近いのよ！

サマーソウル

それは今日のような
暑い真夏の夜だった

サマーソウル

島の住民が、仮にA君としよう。
A君が歩いていると、
どこからか声が聞こえてきた

サマーソウル

『友達が溺れています！
誰か助けてください！』……大変だ！

サマーソウル

右も左も分からぬ暗闇を、
A君は走った。すると突如、
A君の足元が崩れ落ちた

サマーソウル

「いつの間にこんな崖の傍まで…！」
A君の背中を悪寒が走った

サマーソウル

闇の中、呆然と立ちすくむA君。
崖の下にぼんやりと見える人影から
『ちっ』と舌打ちが聞こえた

サマーソウル

A君は、違和感を感じながら
「友達は大丈夫？」と聞いた

サマーソウル

そうしたら……

キャトラ

ちょ、ちょっと待って！

サマーソウル

『その友達っていうのは……』

キャトラ

やめてやめてやめて！

サマーソウル

『お前だー！』

キャトラ

ギャー！

サマーソウル

物凄い勢いで崖を登り、
A君に迫る人影！
それはブヨブヨに膨らんだ水死体！

キャトラ

ギャー！イヤー！

サマーソウル

哀れ、A君はその幽霊に
海に引きずり込まれて
しまったのだった……

アイリス

じゃあなんで
その話を知ってるんですか？

サマーソウル

まあな

キャトラ

答えになってない！

サマーソウル

というわけで、
第三の試練は〈勇気〉！
崖の端に、モアイ象がある

サマーソウル

そこへ、この聖なる火を
捧げてきてもらう！
辿り着くことが出来るかな！？

キャトラ

肝試しじゃない！

イリーナ

楽勝ですわ！
幽霊においつかれるほど、
ヤワな羽してませんもの！

イリーナは聖火を受け取ると、飛び去って行った

タビィ

お化けが出たって、
なんとかなるなる！
やったったんぞー！

タビィも聖火を受け取り、岩場を跳ねながら小さくなっていった

サマーソウル

少年はミス・アイリスと
２人で行くがいい！
それが夏の望みだからな！

カナタ

夏の望みとかは
よく分かんないけど、分かった

キャトラ

……じゃあアタシは？

サマーソウル

私の肩に……乗ってくかい！？

キャトラ

絶対やだ！

キャトラが逃げるようにタビィの後を追って行った

アイリス

カナタ……頼りにしてるからね

カナタ

ああ、任せてくれ

白猫プロジェクトメインストーリー

作品ページ

次の話を読む

この作品はいかがでしたか？

0件

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう！

ﾃｯﾃｯﾃﾚｯﾃ

プロフィール

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

白猫プロジェクトメインストーリー

第15話 - 三つの試練

作者の他の作品すべて見る

#白猫プロジェクトの新着小説
一覧

関連するタグ

白猫プロジェクト メインストーリー

第15話 - 三つの試練

作者の他の作品すべて見る

#白猫プロジェクトの新着小説一覧

関連するタグ

白猫プロジェクトメインストーリー

#白猫プロジェクトの新着小説
一覧