桃
そこには
窓の外を眺めている赤が居た
桃
赤
こっちを見てきたと思ったら
何かを言いたそうに
口をパクパクし始めた
赤
ようやく声を出したかと 思ったら
赤
赤の優しい声では無く
喉が潰れたような
声だった
赤
俺の袖を弱々しく掴んで
それが漸く放てた一言だった
桃
それが悲しくなって
俺は赤の体をそっと
抱き締めた
桃
桃
桃
桃
俺が放てた
唯一の声だった
桃
桃
桃
桃
赤
俺がずっと欲しかった声だ
俺がずっと求めてた声
赤
ずっと泣いてて
俺はいつの間にか
眠ってしまった
桃
眠ってしまった…???
桃
あんな声になってしまったなんて……
けど赤は
赤は
赤は
桃
どんな姿になろうと
どんな声になろうと
俺は…
桃
兄弟としてじゃない…
いや、そもそも
兄弟じゃない…
"義理"の兄弟だ
桃
だったら付き合っても良いのかな…?
……まぁいいか
欲望には叶わない
桃
桃
桃
桃
ガチャン
赤
この二人の数年後には
綺麗なキクの花模様の指輪が
はめられているとか
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