ストーカーちゃんは恋をする

少し前…

おかしい

いつもなら毎日あとを着いてくるあいつが

昨日から1度も現れてない

そうやん、毎日会う方がおかしかったわ

外での任務も終わったし帰るか

無意識に足を止める

そう、"無意識"に

特に何も考えずに歩いて、着いた場所がここ

アイツの家

誰に言うでもなく、言葉に出す

2日間、姿を全く現さないのはおかしいから

一人暮らしって言ってたし なんかあったら困るから

この前の風邪の時世話になったから

理由なんていくらでも作れる

会いたいとか思ってない

インターホンを押す

音が静かな家に響くのがわかる

少しして、『ゴンｯ』と鈍い音が 家の中から聞こえた

鍵を差し込んで回し、玄関のドアを開ける

とりあえずいつも通されるリビングに来た

さっき物音したんやけどな

罪悪感は感じるけど違う部屋も見てみるか

玄関の方とは別の扉を開けてみる

別の部屋でもあるのかと思っていたら そこは2階へ上がる階段が＿＿＿

階段の前、廊下に

1人、壁にもたれて座り込んでいる

それはアイツ(彩葉)だった

顔が真っ赤で息もしずらそうな様子

へらへらと笑いながらそう言う

…まぁ、大事じゃなさそうで良かったか

てことは…昨日1日は寝てたんか？

気になることが多すぎる

あかん、コイツ頭回ってないな

少しふざけてしまった

どうせ"しない"と言うだろう

と、思ってた

まさかの、座り込んだまま こちらに手を伸ばす

"仕方なく"持ち上げる