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第1話 - あ

2023年03月26日

#恋愛

結城真矢

アサヒ

ねえ、私ユキ、受験終わったの、大学受かったから

アサヒ

約束、実行させてもらったヨ

ウミ

え、だれ？

ウミ

アサヒ？？

ウミ

え？

アサヒ

だから、私はユキでーす

アサヒ

アサヒ先生は、今シャワーに入ってま～す

ウミ

は？え、ユキって誰？

ウミ

シャワーって…。えっ

アサヒ

あれ？アサヒ先生に聞いてないですか？私の事…

アサヒ

いや、私たちの事

ウミ

あ、あんた高３の、子？アサヒの塾の生徒？

アサヒ

そだよ。やっとわかった？でも、もう卒業したんだぁ

アサヒ

大学、受かったの、超嬉し！

アサヒ

でね、アサヒ先生、やっと私の事を、おんなとして見てくれて

アサヒ

こうやって、一緒に過ごしてるんだぁ

アサヒ

ユキ、１年の時からずうーーーーーーーーとアサヒ先生の事好きで

アサヒ

待ってたから！この日をずっと待ってたぁ

ウミ

あ、アサヒ言ってたかも、しつこいｊｋにクラスに入ってきたって

ウミ

高１からでしょ？アサヒにつきまとってんの

アサヒ

最初は、相手にもされなかったヨ、ユキのこと

アサヒ

アサヒ先生を見たいから、毎日自習室に通ったの！

アサヒ

でもね、自習室に通ううちに、アサヒ先生もユキのこと

アサヒ

勉強とそれ以外でも、心配してくれるようになって！

アサヒ

毎日自習室で、色んなお話したヨ

アサヒ

３年間ずーーーーーーーーーーーっと

ウミ

へ、へぇそうなんだ

アサヒ

毎日、冗談でデート行きたい！って言ってたんだけど

アサヒ

アサヒ先生、今俺には彼女がいるし、大学に合格したらね！って

アサヒ

軽～くあしらわれてたんだけどね

アサヒ

だから、もうすごく頑張ってさ

アサヒ

人生で今までで一番勉強したよオ

ウミ

へぇ、で、あなたはアサヒと今一緒にいるってこと？

アサヒ

そうそう！一緒にいまーす

アサヒ

合格のご褒美に、デートに連れてってもらったのぉ！

アサヒ

あ、ヤバ、アサヒ先生、シャワーから出て来るかも！

アサヒ

じゃね

ウミ

あ！ちょっと！ねぇ

ウミ

ねえ！

ウミ

ねぇ、アサヒ！コレ見たら至急連絡しなさいよ！

～数時間後～

ウミ

ねぇ、アサヒ！連絡してよ！

ウミ

ちゃんと説明してよ！

～翌日～

ウミ

アサヒ、既読にもならないって事はさ

ウミ

後ろめたいって事だよね？

～さらに二日後～

ウミ

あのさ、生きてるか死んでるかぐらいは連絡できるよね？

ウミ

一応さ、心配だから連絡欲しい

ウミ

もう、怒らないから、連絡下さい

～数週間後～

アサヒ

ウミ、ずっと連絡してなくてごめん

アサヒ

あのさ、今さら、言い訳も何もないけど

アサヒ

なんか俺、そういうことになってしまった

アサヒ

許してほしいとかは言わないし、言えない

アサヒ

最初は俺も冗談だったって、ウミも知ってるよね？

アサヒ

全然相手に何てしてなかったし、勿論ガキにしか見てなかった

ウミ

アサヒ、生きてたんだ

ウミ

あんたさ…、こんなに連絡しないで、何考えてんの？

ウミ

女子高生にテ出して、普通じゃないよね

ウミ

駆け落ちでもするつもり？この時代に？

ウミ

犯罪じゃないの？一応まだ未成年者なんでしょ？

アサヒ

いや、言い訳するわけじゃないけど、あの子はもう20歳

アサヒ

高校１年生になったとき、病気で入院してたらしく2年遅れてて

アサヒ

そして、もう高校は卒業式終わってるから

アサヒ

一応、女子高生ではない

ウミ

へぇ、何それ、開き直るんだ

ウミ

塾の生徒にテを出したことは間違えないでしょ？

アサヒ

いや、開き直ってるわけではないけど…そういうことになったのは

アサヒ

一応、卒業してからだから…

アサヒ

気づいたらほっとけなくなってたと言うか…

アサヒ

あの子が１年の頃は、本当にこんなことになるとは

アサヒ

思ってもいなくて…

ウミ

ねぇ、あのさ、あの子に本気って事？

ウミ

本気になったって言ってるの？

アサヒ

あ、うーん…とりあえず、後悔はしてない

ウミ

はぁ？後悔はしてない？って？

ウミ

じゃ、このほったらかしの私はどうなっても仕方ないって事？

ウミ

私のこと、１か月近くもほっておいてさ、どうするの？

アサヒ

本当に、ごめん、しか言えないけど

アサヒ

これだけは信じて欲しい！

アサヒ

１年前まではずっとウミしか考えてなかった！

アサヒ

ずっと塾の講師として仕事してきたし

アサヒ

生徒をそういう目で見たこともなかった！

ウミ

へぇ、じゃあ、何がきっかけで？ガキからおんなになったの？

アサヒ

ウミには言ってなかったけど、

アサヒ

高２の終わりごろ、あの子の両親が離婚して

アサヒ

お母さんが来て片親になったから、塾の代金が払えないってなって

アサヒ

塾、辞めます、嫌だ、辞めたくないで、もめたことがあって

アサヒ

じゃあ、勉強もする、塾の代金はバイトしてユキが何とかするって

アサヒ

その時に、なんかめちゃくちゃ必死に頑張ってるあの子をみて

アサヒ

あ、もうほっとけないな、なんか俺が一緒に頑張るしかないなって

ウミ

そこが、おんなに変わったポイントってこと？

アサヒ

ま、あ、おんなに変わったというか、大切に思い始めたというか

ウミ

ねぇ、その頃ってちょうど１年前くらいでしょ？

ウミ

一緒に、式場とか下見に行ってたころじゃないの？

アサヒ

そう、だね…。ちょうど、そういう時だったのかも

アサヒ

実は、あまり式場の記憶が無いんだよね

ウミ

ひどい、否定しないんだ、しかも記憶が無いって…

ウミ

その言葉、がアサヒの答えって事だね

アサヒ

うん、そうだね

ウミ

また、うんそうだね、なんだねやっぱり否定はしないんだね

ウミ

結婚式の準備とか、結構進んでたけど、それはどうするの？

ウミ

もう、キャンセル料も発生する時期だし

アサヒ

うん…もう少し考えてみていいかな？

ウミ

はぁ！何を考えるの？もう考えることないじゃん！

ウミ

お互いの答え出てるし

アサヒ

違うんだよ、実はさ…、あの子妊娠してしまって…

アサヒ

先週わかったんだけどさ

ウミ

はっ？妊娠したの？その子。

ウミ

マジで？冗談じゃなくて？

アサヒ

冗談だったら、どれだけいいか！

アサヒ

俺、泣きそうだよ、こんなことになるなんて

ウミ

はぁ？泣きそうなのはあんたじゃない！私だよ！

ウミ

何？自分だけ辛いよ、とかでも言いたいの？

ウミ

いい加減にしてくれるかなぁ！自分がしたことでしょ？

ウミ

ま、良かった！実は私も色々思う事あったから！

ウミ

結婚破棄できて、あなたの本性が結婚前にわかったし

アサヒ

今後の事は、コレから考えるけど

アサヒ

とりえあず、式場のキャンセルだけはしておくね

アサヒ

ほんとにごめん。俺、なんか、どうかしてるかも

アサヒ

でも、赤ちゃんできたら、責任取るしかないよね…

ウミ

…もういいよ、話したくないし、聞きたくない

ウミ

こっちの両親やら友達やらにも、連絡しておく

ウミ

塾の子にテを出して、赤ちゃんできて、別れましたって

アサヒ

あ、いや、言い方…

アサヒ

ま、そうなんだけど

ウミ

これからの事を考えるって、私たちの事ではなく

ウミ

あの子との事って意味だね！

アサヒ

あ、いや、うーんまぁそうかな

アサヒ

ウミのご両親もそうだけど、ユキのお母さんも怒るだろうね…

ウミ

ねぇ、あなたさ、自分のしてしまったこと、

ウミ

本当にわかってる？自分のことばっかりしか考えてないじゃん！

アサヒ

うん、わかってる！俺はちゃんとユキが大事だし

アサヒ

出来た子供も守っていく覚悟がある！

ウミ

あっ、そう！

ウミ

わかりました、喜んで別れてあげます

ウミ

しかも、覚悟があるって事なので、これからの試練

ウミ

せいぜい、その子と赤ちゃんと頑張って！

アサヒ

…わかってる

アサヒ

これから、赤ちゃんの為にも頑張るよ

ウミ

へぇ、その覚悟、楽しみにしてるからね

～１か月後～

アサヒ

ど、どいうことだよ！

アサヒ

この請求書はなんだよ！

ウミ

え？結婚破棄された慰謝料だけど？

ウミ

だって、一方的に結婚破棄されて、すべてキャンセルして

ウミ

それで、たったの150万なら文句ないでしょ？

アサヒ

いや…今の俺には払えないよ！

アサヒ

塾にもユキとの事がバレて、速攻クビになったし

アサヒ

向こうは大学生だから、俺たち本当にお金ないんだよ！

ウミ

でも、あなたはちゃん覚悟してるって言ってたよね？

ウミ

この程度の覚悟だったの？もっときちんと考えてるのかと！

ウミ

私はたったの150万で許してあげるって言ってるの

ウミ

普通にありがたいと思って欲しい

アサヒ

いや、だって式場のキャンセル料も、俺払ったし

アサヒ

まぁまぁの金額だったよ

アサヒ

これから、お金もかかるから今必死で仕事先、探してるけど

アサヒ

なかなかいい条件のところが見つからなくて…

ウミ

式場のキャンセル料、払うの当たり前でしょ？

ウミ

あなたが原因なんだし！

ウミ

仕事先、探してるって言ってたけどさ

ウミ

本当に探してる？

アサヒ

え？あ、探してるよ

アサヒ

毎日、ネットとかで見たりしてるし

ウミ

ネットねぇ…

ウミ

毎日、朝から通ってる場所があるでしょ？

ウミ

朝10時～夕方か夜遅くまで

アサヒ

へ？

アサヒ

な、なんで知ってるの？

ウミ

私、今まで何度も待ち伏せして見てたから

ウミ

パチンコ屋に入っていくところ

ウミ

何年あんたと一緒にいたと思ってるの？

ウミ

ギャンブルキチガイのあなたが、そう簡単にやめられるわけがない

ウミ

あんたの行動はすべてわかってるし

アサヒ

あ、いや、ユキには黙っててほしい

アサヒ

必死で仕事、探してると思ってるし、

アサヒ

実際に本当に探そうと思ってるし

ウミ

あのね、探してるって日本語と、

ウミ

探そうと思ってる、という日本語、同じにしないでくれます？

ウミ

全然違う！

ウミ

あんたのスロットキチガイはもう治らないと思う

アサヒ

いや、絶対に取り返す自信があったんだよ！

アサヒ

スーパーリーチの入り方が、いつもと違ったから

アサヒ

明日あたり絶対爆発すると思うんだよね！

ウミ

はぁ？

ウミ

相変わらず、頭悪いね…

ウミ

私さ、実はあなたとの結婚、迷ってたんだよね

ウミ

もう、二度とギャンブルしないって言うから、信じてたけど

ウミ

薄々気づいてたんだよね

ウミ

塾が休みのはずなのに、朝早くから出かけてたから

アサヒ

え、いやまぁそれは塾のテストの採点とかもあるし

アサヒ

でも、ユキが受験中はもちろんパチンコなんて行く暇なかったよ

アサヒ

朝から夜までずっと授業だったし、受験クラス持つとキツイ

ウミ

受験クラス持ってた方が自分の時間もなくて良かったじゃん！

ウミ

どうせ、ギャンブル好きで借金が相当あることも

ウミ

その子に言ってなかったんでしょ？

アサヒ

へ？な、なんで借金あること知ってるの？

アサヒ

誰にもバレないように、わざわざ隣の駅で借りてたのに・・

ウミ

あのさ、借金してパチンコ屋行って

ウミ

どう考えても、ギャンブル依存症じゃないの？

ウミ

本当に、ソレ危険だと思うよ

ウミ

だから、その証拠、あんたの両親に送っておいたから

アサヒ

へ？

アサヒ

は、はい？

ウミ

一応、私はあなたと結婚するつもりだったわけで、

ウミ

あなたのご両親に何も言わずに

ウミ

そのまま、さよならってわけにはいかないでしょ？

ウミ

あんたは私の親に挨拶の一つもする意気地もないかもしれないけど

ウミ

婚約破棄になった経緯や、あなたの現状、ぜーんぶ

ウミ

ご両親に報告したからね

ウミ

お義母さん、めちゃめちゃ泣いて謝ってたけど

アサヒ

えっと…

アサヒ

どうして、そんなことを？

アサヒ

あのー、そんな…

ウミ

それからさ、あんた、とても大事なこと知らないよね？

アサヒ

え？

ウミ

私さ、相手のユキって子の事もちゃんと調べたの

ウミ

まず、あの子、妊娠してるの、嘘だよ

アサヒ

へ？

アサヒ

はい？

アサヒ

え？なんで？

ウミ

あの子、普通に合コンとか行って、お酒飲んでたし

ウミ

産婦人科なんか一回も通ってない

ウミ

大学行って、帰りにほぼ毎日遊んで帰る普通の女子大生だったよ

ウミ

で、私、言ったの

アサヒ

え？何を？誰に？

ウミ

その子に、ユキって子に直接

ウミ

妊娠してるのに、元気だねって

ウミ

そして、はい、あなた宛ての慰謝料請求書って渡してきた

アサヒ

え！直接？会ったの？

ウミ

うん、今朝会った

ウミ

その子から連絡なかった？

アサヒ

え、あ、そういえば、パチンコ屋にいた時電話鳴ってたかも…

ウミ

そしたら、あの子、大笑いして、何て言ったと思う？

ウミ

え、妊娠なんて嘘ですよぉ、って

ウミ

なんで、私が慰謝料請求されなきゃいけないんですかぁ？って

アサヒ

え、え、ちょっと待って！

アサヒ

妊娠なんて、嘘？！

アサヒ

え、じゃ赤ちゃんは？

アサヒ

俺の赤ちゃんはどこに行ったの？

ウミ

可哀想にね、そんなこともわからないなんて！

ウミ

だから、妊娠してるなんて嘘ってことだよ！

アサヒ

え？どうして…

アサヒ

なんでそんな嘘ついたの…

ウミ

あなたを繋ぎ止めて、私と別れさせたかったから

ウミ

ただ、それだけだったみたいだね

アサヒ

へ？

アサヒ

それだけ？？

ウミ

そう、それでその結果がこうなったんだよ

ウミ

私たち、あの子にからかわれて、勝手に怒って

ウミ

振り回されただけだったんだよ

ウミ

ひどい…よね

アサヒ

待って！

アサヒ

じゃ、あ、俺との事は遊びだったって事？

ウミ

そんなの知らない

ウミ

自分で聞いてよ

アサヒ

俺、今日婚姻届け、もらってきたばっかりだったのに

ウミ

へぇ、そうだったんだね

ウミ

よかったじゃん、婚姻届け出す前で

ウミ

あの子の本性もわかったし

ウミ

私も、あなたのギャンブル好きで目が覚めたし

アサヒ

ねぇ、ウミ、この慰謝料はさ、もう一度話合おうよ

アサヒ

ほら、あの子も本気じゃなかったし、赤ちゃんもいない！

アサヒ

って事は、俺たち、もう一度やり直せるってことじゃない？

アサヒ

もう、ギャンブルも絶対辞める！

アサヒ

ね、そうだよ！あ、あの子に慰謝料請求しよう

アサヒ

そもそも、俺たちがこうなったのは、あの子のせいだろ？

アサヒ

ユキが妊娠したって嘘言ったから、別れることになった！

アサヒ

俺も、嘘つかれたから、慰謝料請求しよう

ウミ

ねぇ

ウミ

アサヒ、もう、それくらいにしてくれる？

ウミ

あなたの事、これ以上幻滅させないで欲しい

ウミ

最低な発言、最低な思考能力、人のせいにする体質

ウミ

自分のしたことを無責任に放置

ウミ

あなた、やっぱり最低ですね

ウミ

朝、婚姻届けもらってきたのに、

ウミ

午後には慰謝料請求しよう！なんて、どんな思考回路？

ウミ

人として最低だし、そんなコロコロ心変わりするような人いらない

アサヒ

そこまで言わなくても…

アサヒ

だって、赤ちゃんいるって言われたら

アサヒ

男として、そう決断するしかなかっただろ？

ウミ

うん、そうだね、そこは確かに男らしかったと思う

ウミ

ちゃんとケジメを付けるって意味でえらいと思った

アサヒ

でしょ？だったら、ねえ、お願いします

アサヒ

俺、本当に生まれ変わるから！絶対ギャンブルしないから！

ウミ

ごめん、もう遅い

ウミ

私、もう無理なんだ、一度こうなったら、戻れない

アサヒ

そんな、無理って言わなくても！

アサヒ

もう少しちゃんと話し合って…

ウミ

いえ、私から話し合うことはもうございません

ウミ

今となっては、この離婚することになった環境に感謝しています

ウミ

あのまま、ズルズルと結婚してたらと思うとぞっとします

ウミ

本当に感謝します、ありがとうございました

ウミ

では、今からブロックしますねさようなら

アサヒ

あ、ちょっと、待って！

アサヒ

ねぇ、ウミ！

アサヒ

お願い、話を聞いて！

アサヒ

ねぇウミ！

～後日案～

ウミ

そして、あれから1年経ち…

ウミ

その後、慰謝料はアサヒからは毎月分割で支払われています

ウミ

彼女からは彼女のお母さんから速攻、一括で支払われました

ウミ

そして、先日、パチンコ屋に入るアサヒの姿を偶然目撃しました

ウミ

髪はボサボサ、髭も伸ばしっぱなし

ウミ

どうみても、普通に働いてるような人には見えませんでした

ウミ

そして、私はと言うと…出張先で出会った人と意気投合し、

ウミ

なんと先日、無事に入籍しました！今は幸せいっぱいです！

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結城真矢

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