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ど~も!!

主ことらめあです。

またまたコンテスト作品です~っ!

え~、恐らくまた長いので指を休憩させながらね。

[僕たちの幸せな記憶喪失]という小説を参考にさせていただいてます。

登場人物⬇

桃井 蘭[モモイ ラン]
高校三年生
過去の出来事を引きずっている。
赤と親友。緑と友達。
卒アル委員

紫之宮 入間[シノミヤ イルマ]
高校三年生
ある出来事により母親に依存されている。
殆どぼっち状態。
黄と幼馴染。
卒アル委員。

黄河 尊[コウガ ミコト]
高校三年生
天才
パティシエを目指すが...。
緑の彼氏。
紫の幼馴染。

緑山 須智[ミドリヤマ スチ]
高校三年生 委員長
親からの期待により、画家を目指す。
黄の彼女。
桃の友達。

水野 小雨[ミズノ コサメ]
高校三年生
アイドル事務所に所属。
学校は不登校。
赤の友達。

暇 夏[イトマ ナツ]
亡くなっている。
アイドル事務所に所属。
学校は仕事との両立が難しく、中々行けてなかった。
桃の親友。
水の友達。
赫の兄。

暇 莉羽良[イトマ リウラ]
高校一年生
兄の事が大好き(like)
桃と知り合い。
桃のことが嫌い。
赤の弟。

とりあえずこんな感じですね、

なつくん推しの皆様。 申し訳ございませんっ!!! 嫌な方はブラウザバック推奨です。。。

では、注意です。

⚠️注意⚠️ 本人様には関係ありません。 パクリではないです。 こちらは主の二次創作作品です。 記憶喪失パロ 死ネタあり CP表現あり(主に公式ペア 紫桃、黄緑、水赤 地雷さんはお帰りください。 コメント欄では伏字等でお願いします。

もしも。

10年分の記憶がなくなってしまうとしたらどうだろう?

悲しむ。怒る。混乱する。

様々な感情が入り乱れてしまうだろう。

そんな中で喜ぶ。

そんな人は居るだろうか?

過去にあった嫌な記憶を消し、

新たな人生を歩めるということになる。

君はどう思うだろう?

人生の半分の記憶を失ってしまう。

高校生達の生活を見ながら、

考えてみて下さい。

知らない過去がある。

それはただの恐怖だ。

ということは、桃井さんは本当に

小学校から高校時代の十年間のことは、何も思い出せないんだね?

はい…。

この人は先輩だ。 編集部でアルバイトをしているらしい。

いや~、それにしてもまさか、こんなに近くに経験してる人がいたとは、!!

ネタになるかどうかは分からないんですけど…。

乾いた笑みを、こぼしつつ、 俺は自分の過去を語り始めた。

確かに俺は高校三年生の時に 普通の人では体験しないような事を 体験している。

俺はー集団記憶喪失事件ーに巻き込まれたんだ。

無個性な俺の中で、かなり大きな出来事だ。

もうすぐ大学を卒業し、20歳になるが その内の10年間分の記憶がない。

ぽっかりと記憶に穴が空いたような気分だ。

幸いにも学習内容等は全て覚えていたため、 就職等に影響は何も無かった。

それじゃあ、当時の気持ちとか聞いてもいいかな?

ぁ、すみません。

そういうのも覚えてなくて…。

あ、そっか。

ごめんね。

ん~、どーしよっかな~。

あ!そうだ!写真とか見てもピンと来ないかな?

そうですね…。

この人。現役大学生でボカロ作曲家として活動してる有名な人なんだけど。

同じ事件に巻き込まれたらしいんだ。

...そうなんですね。

分からないです。

ねえねえ、あのボカロ知ってる?

知ってる知ってる!あの集団記憶喪失事件に巻き込まれた人がつくったんだよね!

確か、空白的な、?

急に胸にある言葉が出されてドキッとした。

普段は気にもとめないような曲を 耳を済ませて聞いてみる。

何故か、そのメロディーはどこか懐かしく、 暖かみがあるようだった。

ザワザワ

いつも通りの騒がしい日常。

何一つ変わったりしない。

はずだった。

ガラッ

先生

...。

心做しか何時もよりも空気が沈んだように感じる。

先生

君達が昨日食べた学食に記憶喪失の薬が混ぜられていた。

いつもはとても元気な先生だが、 顔面を白く染めて教卓に立っていた。

これは現実世界の話なのだろうか?

先生

薬が混入していたとされるのは、学食の味噌汁だ。

先生

どのメニューにも共通して出されていたため。

先生

一口でも飲んだのなら、被害の対象となる。

その言葉でふと昨日の学食を思い出すと 確かに味噌汁があった。

周りを見渡してみると皆青い顔をしていた。 頭を抱えたりしている人もいた。

ま、待ってください、!!

一体誰がそんなことを!?

俺たちはどうなるんですか、?

緑色の髪に黒メッシュが目立つ 委員長である友達のすちが発言した。

先生

教師の中に疑わしい人物があがっているが、
現在調査中だ。

教師の中に…?

衝撃的な事実に思考が停止した。

先生

...症状としては、直近10年間の記憶が消える可能性が高いとされている。そのうちニュースにも取り上げられるだろう。

10年!?(立

急に1人が声を上げて立ち上がった。

普段は1人で居ることが多く、 学校もほとんど不登校気味の彼。 水野 小雨だ。

今の一瞬でクラス全員の視線を集めた。

10年分の記憶が消えるって...…。
何にもなくなるってことですか!?
8歳から今までの記憶が全部、?

先生

いや、学習に関する記憶には影響がないそうだ。
ただ、その他のことについては不明な点が多い。

そんなっ……。10年って。

水野さんは、絶望したような様子で椅子に座り込んだ。

先生

記憶が消えるのは、ちょうど一ヶ月後だ。
それまでには症状がないそうだ。
昨日、食べたということはつまり、君達は卒業式の翌日に記憶を失うことになる。

つまり、卒業したら、皆のことは何も思い出せなくなるということですか?

先生

……嗚呼。そういう事になる。

10年分って、!!

治る薬はあるんですよね!?

どう責任とってくれるんですかっ!?

クラスが混乱に陥った頃。 俺はただ1人。

自分の嫌悪感から逃げ出せるかもしれない。

一瞬そんな考えが頭をよぎり、直ぐに消えた。

……(空見

そして、ふと周りを見渡すと。

周りと違い、窓の外をただ眺めているだけの彼がいた。

学年で1番成績が優秀な紫之宮 入間だ。

だが、そんなことを考えるよりも前にスマホを開き連絡をとっていた。

[お母さん、俺記憶なくなるかも。]

それからふと考えてみると、 10年分の記憶がなくなるなんて。 知らない自分が生活しているようなものだ。 改めて考えるととても怖く、中々寝付けなかった。

お母さんはひたすら慰めてくれたが、 俺は心のどこかで別の人生を歩めるかも知れない と考えていた。

おはよ。らんらん。

あ、おはよ。

あのさ、らんらんの親は記憶喪失のこと、なんて言ってた?

心配して号泣してたよ笑

そうだよね。

俺の親は真っ先に将来の心配だよ笑
絵は描き続けれるの?とかさ。

呆れたような口調ですちは話し続けた。

らんらんはさ、記憶がなくなるかもって知った時に、
1番最初に誰を思い浮かべた?

ぇ、?

俺はね、みことちゃんだった。

みことというのはすちの彼氏だ。

別れるかどうか微妙と以前から少し聞いてはいたが、 こんなことになるとは思ってもいなかっただろう。

自然に忘れるのと、 強制的に消去されるのとでは かなり意味が変わってくる。

俺が真っ先に思い浮かべたのは明確だ。 この世にはもういない“彼”のことを。

決して忘れては行けない 彼と過ごした日々のことを。

お~い!すち~!! 後輩が呼んでるよ~!!

はーい!

じゃ、また後でね(にこ

俺はそっと瞳を閉じる。

最後に会ったときの彼。 なつの姿が、鮮明に映し出されていく。 俺に何かを訴えている。

なつ。 なつとの悲しい過去から逃げれると一瞬でも思ってしまった俺を見抜いてるの? 俺は、どこまでもずるく、醜い人間だ。

うん、また。

桃井。

なに、ですか、?

学年一が何のようなのか。

俺ら、卒アル委員だったんだけど。

へ?

あれ、期間来週くらいまでだったよな?

そういえば、そんなのもあったような、、。ま

あの事件から約3日。

俺たちは放課後に資料室で集まり 作業をすることになった。

ホームルームか何かであまりものでなった係だ。

正直なところ、忘れていた。

ん、とりまパソコン借りてきた。

うわ~っ!まじでたすかる。

ありがと。

俺も委員だし当たり前だろ。

てか、こんなん受験期の生徒にやらせるなよな。

それはそうかも笑

…何したら良いんだろ。

まあ、幼少期の写真貼ったりとかして、コメントとかランキングとか載せとけば良いんじゃね?

そっか。

……え、間に合う?

無理だろうな。

簡単なアンケートでも取ってコピペしようぜ。

確かに、そっちの方が希望あるかも。。。

皆には申し訳ないけど。

大丈夫だろ。

誰もやりたがらなくてあまりものでなっただけだし。

気にしなくて良いだろ。

そう言って貰えると少し心が軽くなった。

アンケート内容とかはどうする?

記憶喪失に因んで、この学校で忘れたくないこととか?

いきなりタイムリーな話題を突っ込んできて思わず笑ってしまった。

この学校での忘れたくない思い出、ねぇ。

あんまりないかもなぁ。

ふと、本音が漏れてしまい焦ってしまった自分がいた。

俺も笑

1つしかない。

ふ~ん。

桃井はさ、記憶喪失って嬉しかった?

え。

いやなんか、思い出したくないことの方が多いみたいに感じたから。

ま、どうせ今聞いても忘れるもんね。

だな。

俺の幼馴染が亡くなった。3年前に。

そいつが居なくなってから俺の中の時もずっと止まったような気分。

ここら辺の過去の話は誰にも話したことがない。 ずっと蓋をし続けてきた部分だ。

まあ、そこから人と関わるのも嫌になって
今は雑談できるのなんてすちくらいだよ。

そうなんだ。

ただ何も言わず、頷き続けてくれた。

この事件があっても、、真っ先にそいつの事を思い浮かべた。

でも、この罪悪感・後悔から逃げられるんじゃないかっても思っちゃったよ。

重い空気が流れた。

だが、そんな沈黙を破ったのは彼だった。

10年って簡単に大人は言うかもしれねぇけどさ。

俺らにとっては人生の半分以上な訳じゃん?

確かに、、

人生の半分以上を失ってもそれって自分って言えるのかな?

…どうなんだろうね。

……紫之宮は?

いるまで良い。

分かった。いるまは?

別人になりたいって思う?

……ま、どうせ忘れるんだもんな。

まあね。

俺の親さ、元々情緒が不安定なんよ。

でも、ある出来事でより一層不安定になっちゃって。

今になっては依存状態~みたいな?

…そう、なんだ。

その時、小さな音が鳴り扉が開こうとした。

咄嗟に二人で身を隠すと、 見慣れた顔の男女二人が部屋に入ってくるのが見えた。

すちとみことだった。

今までの事、すちから聞いた話から推測するに 大事な話をしているというのは 簡単に想像がついた。

そう察した俺は、いるまに「どうする?」と目で問いかけた。

いるまは小さく頷き、後ろの方にある扉を指さした。

それが合図だと思い、すぐに荷物をまとめ なるべく話の内容も聞かないように 部屋を出ようとした。

でも、その時 すちのすすり泣く声が聞こえた。

いやだ...っ、(涙

俺っ、みこちゃんとの思い出を思い出せなくなっちゃうなんてっ、やだよ...っ!

...

先ほど教室で見せた笑顔は無理やりにでも作ったものなのだろう。

紫 side

学校で衝撃的な事実が伝えられた。

記憶がなくなる。 この事件の発覚後に静かに家に帰ると 母親がリビングの隅でうずくまっているのが見えた。

本能的なものなのかはわからないが、 「これはやばい」と感じた。

俺は静かに足音を立てないように部屋に行こうとした。

母(紫

いるま、そこに居るの、?

かすかな物音に気付いたのだろう。 そう言われた俺は諦め、リビングへと向かった。

母(紫

学校から聞いたわよ。

母(紫

ああっ...何か後遺症でもあったらどうしましょうっ、、

もう、、連絡あったんだ。

母(紫

お母さんっ、いるましか頼れる人いないのよっ?

母(紫

いるまが居なくなってしまったら、お母さんはっ、、。

すでにもう情緒はボロボロだった。 俺がどうしようもないくらいに。

母(紫

いるま?お母さんのこと、忘れないわよね?

記憶が消えるって言っても、十年分。
家族の事は問題なく覚えてるよ。

母(紫

っ、ありえない!学校ごと訴えてやる!!

そう怒り狂った母の頭には痛々しい傷があり、 これは自分のせいなんだと改めて思う。 ここからは逃げられないのだと。 改めて実感することが出来る。

勉強に関する記憶も残るみたいだし、心配しなくて大丈夫だよ

母(紫

でも、大事な息子に何かわからない薬を飲まされたのよ!?

母(紫

黙ってなんかいれないわ!

『速報です。 ○○県××市にある○×学校で集団記憶喪失事件が発生しました。 現在は事態を詳しく調べている最中です。 許されるものではありません。 私の息子も事件に巻き込まれ_。』

息子の話を切り出した父親に嫌気がさし、 俺はすぐにテレビを消した。

母(紫

ねぇっ、三年前のことを忘れても、、いるまはお母さんの事捨てないわよね?

…当たり前だよ。
大学だってこの家から通える範囲にするから。

俺もいったん気持ちを整理したいから部屋に行くね。

母(紫

ええ、分かった、わ。

打ち込み用のキーボードや 何やらごつめのスピーカー。 ソフトウェアを立ち上げた俺は そこそこ性能の良い黒いヘッドフォンを耳に当てた。

俺が唯一生きている。 そう感じられるのは 音楽を聴いているときか作っているときだけだ。

手当たり次第過去の曲を流していると 中学生ころに作った初めての曲があった。 そういえば、記憶を失うということはこのことも忘れてしまうのか。 そう考えると中々に大きな喪失感に襲われた。

そして、ヘッドフォンを耳から外すと ふと、彼の事を思い浮かべる。 彼奴がカギだ。 俺が唯一失いたくない記憶の中には彼奴がいる。 教室で俺と同じようにただ遠くを見つめていた。 桃井 蘭が。

_明日も話しかけよう。

桃 side

昨日いるまに訊かれた質問。 内心は凄くドキッとしていた。 彼_夏のことを。 勿論、嬉しいなどの感情ではない。 夏のことを忘れて嬉しいなんてそんな訳ない。 でも、罪悪感から解放されるかもと 一瞬でも思ってしまった俺に嫌気がさす。

おはよ。らんらん(にこ

あ、おはよ。

卒アル委員の仕事、大変そうだね。

手に持った大量に書かれたメモ帳を見てすちがそう言った。 だが、昨日の様子が頭に思い浮かび心が締め付けられてた。

だって、すちのあんな表情 今まで見たことが無かったから。

…すち、いつでもなんかあったら言ってね。。

聞くことしか出来ないけど...。

ぇ、あははっ、

目腫れてた?

隠しきれてなかったか~、、ま、ありがと。

先生

それじゃ、お前ら席つけよ~

先生

…水野は今日も休みか。
他にも徐々に休みが増えてるな...。

先生

まあ、卒業までの一か月間
どう過ごすかはお前らに選択権がある。

先生

先生は君たちのことを絶対に忘れない。
皆が忘れても、皆の分までしっかりと覚えておくから。
卒業した後もいつでも来なさい。
絶対にずっと待っているから。

その言葉を聞き、何人かの生徒が泣き出してしまった。 そうだ、俺らの存在が消えるわけではない。 俺らはここに実在したのだ。 だからこそ、俺は過去に向き合わなければいけないと思った。

_八年前の夏の出来事。

おい、らん。見ろよこれ!かっこいいだろ!?

それ、、ウィッグ?

いや~?染めた(笑

そう言って笑顔を見せたなつはいつも以上に輝いて見えた。

染めたって、、大丈夫なの?

おう!夏休みの間なら良いって!

へ~、良かったじゃん!

あ、そうだ
なつ、アイスいる?

あ、欲しい~!

おっけ~。持ってくるね。

今日、りうらくんは?

あ~、なんか友達の家に行くって。

そっかぁ、、最近あんまり来ないね。

まあ、年頃だし、友達と仲良くしてるならいいだろ。

それもそうだね。

一年前までは弟のりうらくんもよく遊びに来ていたが 最近は全くだ。 なつの言った通り年頃というものなのだろうか?

なつってモデルとかには興味ないの?

う~ん、、俺さ、服を作る人になりたいんだよね。

まあ、ミシンとかも大して使えないからなれるかはわかんないけどね(笑

初めて聞いたなつの将来の夢。 正直驚いた。 モデルも自らやっているものだと思っていたから。

まあ、親はモデルをやらせたいみたいでさ
服とかに大量にお金かけてるよ。

でも、服は好きだから嬉しいんじゃないの?

全然?好きな服も全部捨てられちゃうし。

正直なつの親ならやりかねないなと思ってしまった。

後日の夜。 俺の姿が映った写真がSNSに挙げられていた。 なつが「俺の親友です」と書いて。 そのコメント欄にあった反応は悲惨なものばかりだった。

【え、意外な友達...笑】 【夏は誰でも関係なく仲良くしそうだよね】 【この二人が仲いいんだ、、想像つかな。】

っ、ほんとごめんって。
家に帰ったらすぐに消すから!

もう~、次は本当に嫌だからね?

ほんとにごめんって~!!

あ、お兄ちゃん。
らんさんと喧嘩?

はぁ!?もう仲直りしたし!!

それじゃ、喧嘩してたんじゃんw

そういえば、らんさんはもうすぐで引っ越しなんだよね?

あ、うん
中学になると同時に引っ越しかな。

ねえ、らんさん。
...中学生になってもお兄ちゃんと仲良くしてくれる?

...え。

ほんとに友達いないんだもんw

まっすぐな瞳で問いかけられ、 俺はすぐに答えることが出来なかった。 なつから距離を置こうとしているのを 全て見透かされたような気がして。

もちろん。なつが暴走しなきゃねw

ちょ、どういう意味だよ!?

そのまんまだよw

少しずつ本物の友情にヒビが入り、歪になっていく。 そう感じた。

卒アルのアンケート、なんとか集まったね。
皆協力的でよかった。

だな。

それにしても、どうしてそんなにパソコンとか得意なの?

編集作業とかよくしてるから。

編集、、?もしや、Youtuberとか!?

いや、ボカロ使って作曲してるだけ。

え~すご!

ま、ただの趣味だよ。

ふ~ん。

ま、作業続けようぜ。

あまりその話をしたくないのかすぐに話題は切り替わった。

パソコンを見ていると目に飛び込んできたのは 『集団記憶喪失事件』 という文字だった。

その、桃井は前の親友のこと、忘れたいの?

え、

だって、お前にとってつらい記憶だろ。

っ、ごめん。(走

言葉に詰まり、 咄嗟に逃げ出してきてしまった。

…(ぶつかる

わっ、ご、ごめんなさい

別に、平気。

そ、そう?

そこに居たのは、殆ど学校に来なかった 水野小雨だった。

ね、桃井くん。

は、はい?

俺は落ちてしまった水野さんのスマホを拾い上げた。 そこには、、

なつ、?

桃井くん、知ってるの?
モデルのなつのこと。
こさめ、ファンなんだよね。

あ、知ってるというか、、その、幼馴染で。

そうなんだ、、同じ市内に住んでるのはわかってたけど。

…ずっと、お線香あげに行きたいと思ってたんだよね。
住所とか知ってたりする?

えっと、、

俺は現実を受け入れられず、線香を一度しかあげていない。 なつの母親に会うのも怖くて_。

お願い。

...俺、小さいころ○○団地に住んでて。
隣になつが住んでた。

ありがと。

…みんないつか忘れる?

どんなに有名になったって、いつか話題に出なくなる?

急にそんなことを言い放った。

遅かれ早かれ、、死んだって生きてたって、、。
そうなる?

理解するのにしばらく時間がかかったが。 これはこんかいの記憶喪失事件についてだ。 俺のこれからの人生になつとの思い出は必要だ。 絶対に、忘れてはいけない。

その団地、行ってみる。
それじゃ、こさめは先生に呼び出されてるから。(歩

もし過去に戻れるなら絶対にあの日に戻る。 なつあ俺の中学校まで、一人で会いに来てくれたあの日に。

中学三年生のころの夏。

なつは段々と有名になり、仕事も忙しく 学校に来れない日が増えた。 俺もなつと仲が良いことを不思議に思われ、 比べられることが増えた。

昔の純粋に仲が良かったあの頃に戻りたい。 何度そう願ったことだろうか。

ん?

何やら校門のあたりがざわついている。 どうかあしたのかな?

え、なつ...?

あ!らん~っ!!(走

わっ、ちょ!

目立っちゃうでしょ?急に来られても困るよ...。

ぁ、そうよな、、ごめんごめんっ。

仕事がここの近くでついでに~って思って、、。
次からは連絡するな。
それで、このあとなんだけど一緒に_

ごめん、俺、塾があるからさ。

咄嗟に出た言葉。 一秒でも早くここから逃げたくて。 嘘なんてことはバレているだろう。

そ、そうよな!色々急だったし、、ごめん。

うん、こっちも、ごめん、、。

それじゃ。

あ、あんさ。

...大人になっても、俺のこと忘れないでくれる?

え。

~っ、いや!ごめん、なんでもない(笑

気にすんな。そんじゃ~!(走

そういって、駅とは反対方向に走り出した。 どうして急にそんなことを言い出したのか。 俺には想像もつかなかった。

っ、なつ...(涙

...許さないで。

その時、何かに抱きしめられた感覚があった。

ぇ。

まだいると思った。

さっきはごめん、踏み込みすぎたよな。

い、いやっ、俺こそ急に逃げ出しちゃってごめん、、

あのさ、突然何っておもうかもだけど

俺さ、他人の気持ちを理解したくて、今回はこんな風におまえに訊いた。

でも、よく考えてみると、そんなことしなくても、
傍にいれるだけで充分だな、とそう思った。

これは俺の独り言だからさ、聞いてほいい。

...うん。

俺さ、中学三年生の時、この高校の受験を受けるときの行道の時にバスが遅延して送れそうになったんだよ。
その時に、同じ高校を受験しようとしてる人が居て、俺が作った音楽を聴いてもらった。
そんで、マンモス高だからもう会えない。そう思っていた。

高校受験の時に? その話ってまるで_。

それ、俺も...。

そーいうこと。

俺が忘れたくない記憶。
それは桃井、お前のことだよ。

っ、そ、なんだ。

...あのさ、桃井の事、蘭って呼んでもいい?

え、良いけど...。なんで急に...。

ただ、そう呼びたかっただけ。

ふ~ん。

らn

らんさん。

…りうら、くん。

一瞬、なつが視界に映ったのかと思った。

久しぶり、元気だった?

うん......。

...記憶なくなるって本当なの?

っ、(頷

何故りうらくんが会いに来たか なんて容易に想像できた。

俺が一番会いたくなかった相手。

『ねえ、らんさん。 ...中学生になってもお兄ちゃんと仲良くしてくれる?』

じゃあ、なつくんとの記憶も全部なくなっちゃうの?

もしかしてだけど、強制的に忘れることになって、罪悪感から逃げれるなんて思ってないよね?

っ...。

…否定、しないんだね。

りうらくんも何も言い返してこないとは思わなかったのだろう。

らんさんも、ネット上でなつくんを傷付けた人たちと同じだよッ!

ごめん...。

俺の顔を見ると、なつくんの事を思い出すから目を合わせることも出来ないの?

俺は忘れないから。

らんさんの事もなつくんの事も。絶対に。

なつくんが辛い時にもそばにいてあげなかったこと!忘れないから!!

ザワザワ

俺は、俺は!絶対にらんさんの事を許さないから。

人が集まってきたときに、 りうらくんはそう言って去っていった。

らん...。

ぁ、ごめん、迷惑、かけて...。

気にすんな。ちりあえず歩けるならベンチまで行こうぜ。

うん。

また長い沈黙が流れた。 そして、それを破ったのはいるまだ。

最初に俺の話からするな。

俺さ、親に後遺症が残るくらいの大怪我をさせたことがあるんよ。
それで、そこからはずっと時が止まったみたいで、自分の一生をかけて償わなきゃいけねぇんだなって思ってる。
...勿論、今もずっと。

いるまの口から語られた過去は 中々に壮絶なもので言葉が出なかった。

ぁ、俺は...。

別にいい。辛いことをわざわざ話さなくて。
これは俺が勝手に話しただけだし。

俺といるまの状況は全然違う。 でも、お互いに忘れてはいけない記憶がある。 それは確かだ。 大切な人のことを忘れて、一体俺の人生には何が残るんだろうか。 確かに、今までとは違う人生を歩めるかもしれない。 でも、そんな人生に意味なんてないのではないか?

…なつと居るときは一番呼吸が楽だった。

でも...っ、もういないっ、もう、会えないっ...。

『...大人になっても、俺のこと忘れないでくれる?』

なつ、なつ...っ、ごめんっ、(涙

【前はごめんね。仲直りしたい。また会えるかな?】

そう書いたメッセージには返事がなく、既読すらついていない。 このメッセージに返事が来るのを待つ間は心臓がはち切れそうだった。 でも、このメッセージに返事がくることは無かった。

忘れたくない...っ、なつとの思い出、全部忘れたくなんてないっ!!

この記憶を失うなんて、自分を失うのと一緒だよ...。

らん...。大丈夫、そう信じよう。

...うん。

ずっと怖くて向き合えてなかった現実。

しっかりと向き合わないと。

だな。

休日になり、俺はなつのお墓に来ている。

なつ...いる?

ごめん、、ごめん...っ、ほんとにごめんねっ(涙

消えることのない罪悪感。 でも、どうせ忘れてしまうならすべて曝け出してしまおう。

なつ...っ、会いたいよ!

想像でしか会えない君。 その現実がただただ悲しい。 この出会いは奇跡だったと思う。 この奇跡をなかったことにはしたくない。

...なつ、今からメッセージ送るから見て欲しいな。

【なつへ。
もし生まれ変わったら、なつと一緒に沢山写真撮りたいな。
次こそは、なつの親友って自信をもって宣言したい。
なつ、俺の永遠の一番の親友。
ずっと忘れないよ。ずっと。】

お墓参りに行ってからはしっかりと自分と向き合い、 どのようにして生きていくのかを考えた。 そして、もう。 卒業だ_。

らんらん、おはよ!

凄く目が腫れている。 しっかりとみことと話し合えたんだろうか?

すちが居てくれたから、三年間すごく楽しかった!

え、やだやだ...急に。お別れモードじゃん...(笑

...お別れモードも何も、、お別れだもんね。

すち...。

俺もらんらんが居てくれてほんとによかった!ありがと。

まっすぐと目を見てそう伝えてくれたすちを見て胸が震えた。

みこととはしっかりと話し合えたの?

これから、また会いに行こうかなって...。

そっか。頑張れ。

一人になった俺は教室を見渡した。 雨乃さんは来ていない。 もしかしたら雨乃さんとなつのお墓詣りに行けたかもしれない。 もっとこうすればよかったという後悔が今になって押し寄せた。 それは勿論、いるまにとっても同じだ。 もっと早く思い出せば、長く居れたかもしれない。

おはよ。

おはよ。

卒アルの入稿はしっかりと終わらせといたからな。

まじで、ありがと。

とりあえず、家を出て一人暮らしをするつもり。

そうなんだ、良かったね。

作曲道具とかも揃えていくつもりだから。

…それにしても、、らんのことだけは何も忘れたくなかったのにな。

っ、///
何、それ。

ははっ、そのまんまの意味。

俺も、忘れたくないよ...っ。

…だよな。

後、母親はカウンセリングに行くことになったらしい。
これでどうなるかはわからんけど、とりあえず距離は置くつもり。

卒業式終わったら資料室でちょっと話そうぜ。
渡したいもんあるんだよ。

?わかった。

じゃあまた。

おう。

ついに卒業式がはじまった。 まだ開始してすぐだが、すすり泣く生徒の声が聞こえた。 外には沢山のマスコミが押しかけていた。 大人になった時には一体どんな記憶が残っているのだろう。 わからない。 これから、未知の世界で生きていくんだ。 不安はあるけど。 そう決めたから。

卒業式が終わり、 卒業証書を持ち、言われた通り資料室に来た。

待った?

今来たとこ。

皆、もうすんなりと受け入れてるね。

もう受け入れるしかないもんな。

だよね......。

ずっと寝なかったら進行しないのかな?

無理だろうな。

だね。

朝、怖い?

まあ、ちょっと...。

だって、明日になったら大切な人の記憶を忘れてるんだよ。

皆、最後の言葉とか贈るのかな。

あ、そうそれ。

最後の言葉渡そうと思って。

え!?

ん、これ。

一枚の紙を渡された。

これ、今見ていいの?

べつに。

【@____】

アカウント名?

まだアカウントしか作ってねぇけど、曲、投稿していこうかなって。

全然、最後の言葉って感じじゃないけど。

...ここに未来にいるまがいるんだな。

ありがとう。

そして、いるまは首にかけていたヘッドフォンを取り外した。

黒く高価そうなそのヘッドフォンはいるまのトレードマークのようなものだ。

後、これやる。

え、いやいや!こんな高価そうなもの貰えないよ~っ!!

はい。

そう言って、いるまは俺の首にヘッドフォンをかけてしまった。 まっすぐな瞳に拒否が出来なかった。

俺の一番大切なもの。らんに持っててほしいんだよ。

え......。

記憶を取り戻すきっかけになるかもしんないだろ?

記憶を取り戻す...。 そんなこと今まで考えたことなかった。 諦めてはいなかったけど、 そこまで考えることが出来なかった。

…もし、未来の俺が壊したらごめんね(笑
最初に謝っとくわ。

全然大丈夫。でも、覚えてるうちに引っ越しの段ボールに詰めとけよ?

あ、それいいね!

らんは...。

ん?

最後にどんな言葉、俺にくれるわけ?

突然そんな事を聞かれても頭の中は空っぽだ。 まさか、いるまからそんなことを求められるなんて。 俺は必死に頭をフル回転させた。

...元気でね、かな。

極薄じゃん(笑

考えをまとめる前に咄嗟に出しちゃった。 いいたいのはそういうのじゃなくて、、 何ていうかっ、もっと...。

ん~、なんて言うか、そういうのじゃなくて、、説明むず...。
色んな意味を込めての元気でね、みたいな?

色んな?

幸せになって、体に気を付けて、無理しないで、自分らしく...とか色々、全部込めての元気でね、みたいな。

ちゃんと伝わったのかな?

俺といるまは二人とも都内の大学に進学するとはいえ、 距離は離れていて、とても生活圏で会うような範囲ではない。 だから、ここで別れてきっともう二度と会うことはないのだろう。

いるま...どうか”元気”でね。

おう、らんも...”元気”でな。

短い言葉に沢山の感情を込めてそう言った。

最後に抱きしめてもいい?

んだよ、急に。まあ、良いけど。

存在ごと確かめるようにしっかりと、強く。

...泣かないつもりだったんだけどな。

いるまが急にそんなことを言った。 忘れたい過去、忘れられない過去、忘れたくない過去 そんな様々な感情に振り回され、 俺たちは今日、卒業した。

これから先は未知の世界。 でも、何も恐れずに歩み続けよう。

大切な人から受け取ったものを少し見えない場所にしまっただけなんだ。

アルバム委員...残ってて良かったな。

うん。

奇跡だよ…。ほんとに。

これが本物の奇跡だな。全部。

いるまのその一言で、 同じ教室に居ながらもはなしたことがなかった俺たち。 誰にも話したことがないような過去を話した。 いるまに出会えなかったら、俺の人生は止まったままだっただろう。

いるまは奇跡そのものだ。

例え、生きる場所が世界の端と端になっても、 いるまの幸せを心の底から願うよ。

もしも、また会うことが出来たら、 それは奇跡だろう。

あの事件から約三年半が経過した。

俺は大学生になったが、幼少期の事は何も思い出せない。

十年分の記憶が抜け落ちて、生きてはいけるけど、 まるで、ずっと夢の中にいるようだった。 だから、たまに不安になってしまう。 本当に生きていけるのか、と。

あ、この曲!

先輩が声を出した。

四之宮いるまが記憶喪失事件と向き合って作った新曲なんだって。

曲名がね~、えっと~、”空白”的な...?

......まあ、今日は話が聞けて良かったよ。

これで仕事の先輩にもネタを共有できるよ~。
クビにならずにすみそう(笑
あ、ここは奢るから。

ぁ、ごちそうさまです~。

取材開始から約30分 何も意見が出てこないので、 とても分かりやすいくらい諦めた顔になっていた。

ん~、あっつ~、、
人口密度多いだけでこんなに暑いの???

その時、聞いたことあるメロディーが流れてきた。

あ、”空白”的な曲......。

記憶を少し取り戻せた人も居ると、 風の噂で聞いたが、どこまで本当なのか...。

やばっ⁉結構ギリギリ~っ、、

医師には無理やり記憶を戻すのもよくないと言われた。 なので、新しい環境に引っ越せて良かったのかもしれない。 過去の俺は未来に向けてノートを作ってたみたい。 黒いペンで”10年ノート”と綴られていた。

よほど友達が少なかったのかはわからないが、 ノートの半分も埋まってなかった。 ただ、親友のなつが亡くなったことは事細かに書かれていた。 自分でも読んでるうちに自然と涙が出たのを覚えている。

暇 なつ 永遠の親友。 ーーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーーー、ーーーー。 ーーーーーーー、ーーーーー、ーーーー。 ーーーー。ーーーーーーーーーーー。

ノートを読む限り、弟くんには嫌われている。 だから、会いに行くことは出来ない。 たった数秒だが、向こうから話しかけてくれたときは嬉しかった。 過去は変えれないから。 それでも、俺は親友のなつに毎年会いに行っている。

そして、”これから”を生きるという決意を誓うんだ。

バイトバイト~。

すいませーんっ!

バイト先の人

あら、らんくん、今日も来てくれたのね。
ありがとう。

いえいえ!

バイト先の人

あの農家からすごく美味しいと噂の野菜を買いたいんだけれど高いのよねぇ...。

あはは(笑

カランカラン

あ、いらっしゃいませ~っ!

バイト先の人

また来てくれてありがとう。
こっちの席にどうぞ。

???

どうも。

バイト先の人

最近よく来てくれるのよ。
アイドルなんだって。

バイト先の人

水野小雨くんっていうのよ。

水野さんって言うんですね!

あはは、まあ、まだまだ駆け出しですけどね。

バイト先の人

ふふ、でもすごいじゃない。
そんなに謙遜しなくていいのよ?

いえいえ、本当のことですしっ、!

バイト先の人

あ、そうだ!
小雨くんって高校生の時どんな人だったの?

え、高校生の、、ですか?

バイト先の人

ええ、よくそういう話をするのよ!

あんまり覚えてないですね(笑

バイト先の人

あら、そういうものなのかしら?

そういうもんですね。

あ、アイスコーヒーをお願いします。

ぁ、はいっ!すぐに準備しますね~。

あ、それと、今回もこのポスターをお願いしてもいいですか?

バイト先の人

ええ、うちで良いなら任せて頂戴!
こんなお店で意味があるのかはわからないけど。

それじゃ、貼っておきますね~。

ありがとうございます。

グループで活動しているようで、 かっこ可愛いような四人組で活動しているそうだ。

これ、アイスコーヒーです。

ありがとうございますっ。

なんて言うグループなんですか?

え、あ~、scorcherってグループです。

どういう意味なんですか?英語弱者でw

ふふっ、猛暑日って意味なんですけど...
「夏」を表したくて(笑

夏...

その単語はどこか優しく俺の耳に残り続けた。

バイトが終わり...。

ん、なんか届いてる...。

なんだろう。

【記憶喪失事件被害者の会】...?

何の案内かな?

俺は背負っていたリュックサックと黒いヘッドフォンを外した。 この手紙は代表である緑山須知からのものだった。 俺が大学生になってからすぐに立ち上げられた会らしい。

…緑山くん。
”十年ノート”にも書いてたな。

こんな団体まで立ち上げて...すごいなぁ...。

活動目的は主に記憶を取り戻すことだ。

【凄惨な事件から早四年です。 いまだに戻らない記憶と向き合ってみませんか。】 という見出しで書かれている同窓会の招待状だった。

...同窓会。
帰省するつもりもあったんだけどな...。
卒アルでも見てみようかな。

卒アルを見てみても誰一人ピンと来ない。 どちらかというと「全員誰?」という感覚だった。 全く知らない人の卒アルを見ている気分だ。 その時、自分の顔写真を見つけた。

なんも変わってないなぁ~...。

てか、このころからもう前髪ピンクじゃん...。

…ぁ、四之宮いるま...くん。

まあ、あの”十年ノート”にもまとめていなかったし、 あまり関りのない人物だったんだろう。 この人が今や大人気作曲家になってるなんて...。

...すごいなぁ...。

ぇ、同じ、卒アル作成委員だったの?

勿論、そんな記憶は何も残っていないし。 もしも記憶喪失事件後に作っているとしたら、 どのような気分でどのような顔をして作っているのだろうか。 ぁ、四之宮君、不思議な人ランキング一位だ...。

ぁ、曲調べてみようかな。

【@____ 作曲】 わぁ、ほんとに有名人だ...。 【現役大学生です。】 【記憶喪失事件を乗り越え...。 新曲”空白”について語る。】 【ずっと自分が何者か分からないまま生きている。】 【そんな人に届けたい。】 その言葉に心臓が跳ねた。

...俺だけじゃないんだな。そう思ってるの。

フルで聞いてみよっかな~っ。

そう思い、外したヘッドフォンをまた耳に当てた。 いつ買ったかも何も覚えてないが、 音楽に詳しい友達に『それめちゃくちゃいいやつじゃん!』と言われてからずっと使っているものだ。

あれ...。

俺、、既にチャンネル登録してる...。

チャンネル登録日は...、三月七日...?

それは卒業式の日だった。

最終的に同窓会には行くことにした。

バス停でバスを待っていると、 後ろの女子高生が遅れたらどうしよう という不安の顔をしていた。

...お先、どうぞ(にこ

え、い、良いんですか?

うん。

あ、ありがとうございますっ!

そう言い、笑顔で見送り、俺はバス停のベンチで一息ついていた。

...やっぱ行くの辞めよっかな...。

あ......。

バスの電光掲示板に【遅延】の文字が書かれていた。 これは帰った方が良いってことかもしれない。 うん、きっとそうだ。帰ろう。

…(立

わっ、

ご、ごめんなさい!

急に立ち上がってしまったせいでぶつかってしまった。

???

こちらこそすいません。

...いるま。

え?

あっ、えとっ...。

おもわず、アーティスト名感覚で呼んでしまった。 そう、まさか後ろに居たのは四之宮いるまだったのだ。

あ~、えと、、○○高校の人ですか?

はい、そうです...。
それにしても反射とは言え、呼び捨てで呼んでしまいすみません。

いや、全然慣れてるんで。

同窓会、向かおうとしてたんですか?

向かおうとしてたんすけど、やっぱ、辞めようかなって...(笑

タクシーも捕まらないですし...。

ぁ、同じ、ですね。

そこで会話が途切れ、決まずい空気が流れた。

四之宮いるまです。
三年生の時は2組。

桃井らん。
同じく2組、でした。

えと、一度、敬語辞めてみません?

そうしましょう。てか、そうしよう。

…、来るの迷わなかったの?

迷って迷って迷いまくって、ここまで来たのにやめようと思った。

なんでここまで来たの?

まあ、仕事の関係上、、スランプ気味で気分転換にでも...と。

作曲...。

そうそう。

凄いよね、有名人じゃん。

いやいや、そんな事...。

謙遜しないでよ。(笑

チャンネルは高校の時に?

嗚呼、アカウント名だけデスクに貼られてた。

他に、なにも残ってなかったの?

何もなかったな。てか、友達いなかったのかも。

あははっ、俺もそうかも。

...今はどんな曲作ってるの?

実は、アニメ主題歌を作ることになって...。

え、すごっ!

好きなアニメだから余計に悩んじゃって...。

普段、漫画って読むん?

まあ、ほどほどには...。

××××って漫画知ってる?

あ、知ってる知ってる!!

それのアニメ化でさ、曲聞いて感想教えて欲しい。

え、いやっ、俺素人だし!

そういう人からの印象も知りたいんだよ。

今、イヤフォンとか持ってる?

あ、持ってます。

そして、いつも持ち歩いている黒いヘッドフォンを鞄から取り出した。 四之宮君はそれを見て一瞬固まったように感じた。

それ...。

あ、このヘッドフォン?記憶喪失前に荷造りしてたからわからないんだけど、段ボールに入ってて、すごく良いやつなんだよね?

うん...。

高校生の俺がそんな音質なんかにこだわってはないと思うんだけど...。 なんでこんなの持ってるんだろ。

あの、大丈夫?

ん、嗚呼。

そんなに凄いやつなんだね、これ...。

まあ、業界内ではな。

...”元気”だった?大学生の間。

突然、今までと全く関係のない話題。

え、うん...。大学生活は楽しくて、就職とかも決まったし、元気、だったよ?

四之宮君は?

俺はずっと、音楽作ってたからな。でも、”元気”だったよ。

そっか。良かった。

ごめん、話遮って。曲聞いてもらえる?

気を取り直すようにスマホを操作した。 クリエイティブな人って独特な人多いらしいし、 四之宮君もそういう人なのかな? 改めて、ずらっと並んでいる曲を見ると、 四之宮君がどれほど音楽と向き合ってきたのかがわかる。 その時曲が再生された。 そして、それと同時に。

…っ、(涙

ぇ、?

突然涙を零し、肩を震わせている。 曲は再生されているが、 動揺してしまい全く曲が頭に入ってこない。

四之宮く...。

やっぱ、こんなんムリゲーだろ...。普通でいるとか。

え、?

らんだけだ。記憶を取り戻してからもずっと会いたかったのは。

記憶を取り戻してから...ずっと...?

え、四之宮君、記憶、取り戻してるの...?

そう聞くと、静かにうなずいた。 そんな人ほんとうに居るんだ...。 しかも、俺に会いたかったって、、どういうこと?

ほんとうはさっきバス停でぶつかったときに気付いてた。
同総会だって、もしかしたら、らんに会えるかもしれねぇって思ってここまで来た。

え。

ここで、会えただけ奇跡だった。だから、何も覚えてねぇふりして帰るつもりだった。

そんな、真実を聞いても頭の中は混乱したままだ。 俺と、四之宮君はどんな関係だったって言うの? 何か深い関係があったとしたら”十年ノート”に残っていないのはどうして? ...わかんない。思い出せない。何も。

『...”元気”だった?大学生の間。』

その時は引っかかりもしなかった言葉が胸の奥でジンジンと熱を帯びていく。 さっきまで違和感しかなかったものが何かを動かしていく。 あと一歩。ほんのあと一歩で掴めそうなのに_。

四之宮君...。

すまん、一方的に記憶を刺激するのはよくないって医者が...。

名前で呼んで。もう一度。

そうお願いすると、四之宮君は真剣な目で俺を見つめた。

...らん。

だめだ。何も懐かしささえ感じない。 思い出そうとする俺を見て彼は「無理しなくていい」と言っている。 もやもやとした感情の時。 大きなクラクションが鳴り響いた。

あれって、さっき俺たちが乗ろうとしてたバスだよね?

だな、結構遅延したんだな。

...あの子達、模試を受けに行ったんじゃないのかな。

多分別室で受けれるはずだから心配すんな。

あ、そっか。よかっ...。

その時、脳に大きなヒビが入ったような痛みを感じた。 どうしてか、急にあのバスにいる四之宮君が思い浮かんだんだ。 頭の中で再生される蘇っていく記憶をなくさないようにしっかりと集中する。 記憶の中での中学生の俺が、四之宮君から渡されたヘッドフォンで 四之宮君が流す音楽を聴き始める。 ここまで思い出したその時_。

あ......。

あれは始まりの記憶。 四之宮君との出会いの時。

いるま。

俺は恐る恐る下の名前で呼んでみる。

らん。

記憶を失ってからはずっと空っぽの人生だった。 でも、あの日君と誓ったんだ。 罪悪感ごと抱えて生きていくってね。

いるま...っ、会いたかった...!

もしかして...思い出したのか?

会いたかった。ずっと。 俺の知っているいるまに。 ずっと空白の時間を過ごしている間も心のどこかで。 暖かい記憶はすべて涙へと変わっていく。 これは一体どれほどの確立、奇跡なんだろう。

俺の方が会いたかったし。

夢を叶えたいるまがここに居る。 過去を知っている分、大変な道のりだったこともよくわかる。 それでもいるまは”元気”で居てくれた。

最後の一ヵ月、話せただけでも奇跡だったんだよ。

きっと思い出したら会いたくなっちまうから、らんとの思い出は何も残さなかった。

え...。

でも、曲を作り続けたら、いつか繋がれるんじゃないかって。
いつからんに訊いてもらえるんじゃないかって。
そう思ってIDだけをデスクに残して、眠ったんだよ。

「曲を書き続けろ」ってほんと適当だよな(笑
でも、本当に届いたから。

俺のことはどうやって思い出したの?

三か月前くらいにスランプから抜けようとおもって、初めてらんに訊いてもらった曲を聞いたら、次々と...。
やっぱ音の記憶ってすごいんだな。

自分のことをこんなに大切に思ってくれてるなんて思ってなかったから反応に困ってしまった。

...こんなことってほんとうにあるんだね。

あ、そうだ、友達がさファンだからサイン貰ってもいい?

え、無理はずい。

それに書くものないだろ。

あるよ?十年ノート。

マジかよ...。

うん、記憶喪失前にまとめたやつ。

そして、最終ページをめくった時。 【四之宮いるま】 【忘れたくない大切な人、思い出せなくてもいいからまたどこかで会いたい。】

え。

短文なのに沢山の感情がこもっているように感じた。 どこにも記されてなかったのに、こんなところに書かれていたなんて。

ごめんっ、!すっかり忘れてて、、(汗

らん、らんは...、忘れても忘れられない人。

え。

好きです。バス停で出会ったときから。

付き合って下さい。

突然、流れるように告白をされて思考が停止した。 まるで時が止まったように過去の事を思い出す。 好きという言葉に心が揺れ動かされる。 _俺たちは事件に巻き込まれ記憶を失った。 だからこそわかる。 大切な人から貰った優しさ、愛情を自分の一部にするしかないんだ。

いるま。

一度、記憶を失って気付いた。 一緒にいながら、今を忘れたくないと思えたら それは愛だ。

いるまと生きたい。(にこ

いるまの目をまっすぐ見ながらそう伝えると、 一瞬驚いたような表情をしてから、 今を噛みしめるように「うん」と涙声で言った。

あなたと生きたい。 影も光も。 あなたとなら一緒に見たい。 もうどこか遠いところから応援するのではなく、 いるまの人生に深く関わりたい。 そう思った。

彼と見つめ合い、 しばらくしてから、首にかけていたヘッドフォンを頭に装着した。

ねぇ、聴かせて?

そして話を戻すと、彼はそっと再生ボタンを押した。 少しして曲は再生され、音が流れ始める。

”奇跡”という曲名が机に置かれたスマホに書かれていた。

おかえりなさい!! めっちゃ長文でした~...。 お疲れ様です!!!

是非賞とれると嬉しいです!!

コンテストとは別に他の人編を見たかったらコメントください!!!

時間はかかりますが、書きますので!!

コンテストは遅くなってしまい申し訳ございませんでした!!!

いいね・フォロー・コメント宜しくです!! おつめあ!! 次回➤特別編(コメントあれば。

この作品はいかがでしたか?

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コメント

3

ユーザー

フォロー失礼します!

ユーザー

僕たちの幸せな記憶喪失見たくなってきたなぁ笑初めて知った笑

ユーザー

因みに、他の人の視点とかね、エピソードを見ると意外と伏線があるかもですね~。

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