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手を伸ばそうとも

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手を伸ばそうとも

7 - 手を伸ばそうとも

♥

20

2021年03月21日

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成瀬 湊

何してんの、雅

清水 雅(みやび)

み、湊…

成瀬 湊

何か紬が出てったけど…

清水 雅(みやび)

泣かせちゃった

成瀬 湊

え、は?なんで?

清水 雅(みやび)

女同士の話し合いってやつ

私は顔を上げた

成瀬 湊

って、お前も泣いてるじゃん

成瀬 湊

大丈夫かよ

湊は私の頬を触る

清水 雅(みやび)

…触らないで

成瀬 湊

え?

清水 雅(みやび)

宮野さんのこと好きなんでしょ?

清水 雅(みやび)

他の女の人に触れてたら嫌に決まってるじゃん

清水 雅(みやび)

私だって宮野さんの立場だったら嫌

成瀬 湊

そっか、ごめん

清水 雅(みやび)

謝るような事じゃないよ

清水 雅(みやび)

それより、追いかけなくていいの?

清水 雅(みやび)

宮野さんのこと

成瀬 湊

でも、お前も泣いてるし…

清水 雅(みやび)

私なんかどうでもいいよ

清水 雅(みやび)

追いかけてあげなよ!

清水 雅(みやび)

あの子、私に相談してきたの

清水 雅(みやび)

「成瀬先輩が好きだ」って

清水 雅(みやび)

早く安心させてあげてよ

清水 雅(みやび)

でも、私が湊のこと好きなのも忘れないでよね

成瀬 湊

俺の事が…?

成瀬 湊

…分かった

清水 雅(みやび)

それじゃ、早く行ってあげて

成瀬 湊

行ってくる

清水 雅(みやび)

うん

私は出来る限りの笑みを浮かべ

湊を見送った

清水 雅(みやび)

(あぁ、バカじゃん私…)

清水 雅(みやび)

(いい子ぶり過ぎかな…)

窓から風が吹き込んできた

冷たい風に髪が揺らされる

清水 雅(みやび)

(この風と一緒に湊への気持ちも消えればいいのに…)

遠くからは2人の話し声が聞こえる

清水 雅(みやび)

(告白…したのかな)

清水 雅(みやび)

(まぁ、私には関係ないか)

私は涙を拭い

教室を後にした

(少し薄暗い設定で)

下校時刻をとっくに過ぎていたからか

通学路には誰もいない

清水 雅(みやび)

(公園でも寄ろうかな)

私は意味も無く公園に立ち寄った

清水 雅(みやび)

(ブランコ乗るのとか久しぶり)

清水 雅(みやび)

(この感覚、懐かし)

夕日が沈みかけの

橙色に染まった世界の中で

ブランコを漕ぐ

清水 雅(みやび)

(バカ、湊のバカ)

どこにも捨てられない気持ちを抱きながら

ゆらゆらと空中をゆれる

清水 雅(みやび)

…よし

私は肺いっぱいに空気を吸い込んだ

そして大声で叫んだ

清水 雅(みやび)

大好き!

私の声は遥か遠くの太陽に吸い込まれていった

10年後

(アイコン変わってないのは気にしないでください)

清水 雅(みやび)

よし、今日も完璧

鏡の自分にそう呟き

家を出る

…………

電車に乗り、駅に着く

そこから少し歩いて着いた場所は

某大手企業

ここは私の職場だ

何でここに入社したかって?

特に大きな理由はないけど…

強いていえば給料がいいからかな

清水 雅(みやび)

おはよ!

既に来ている職場の同僚に挨拶をする

「おはよ~」

今日も気だるげな挨拶が返ってくる

清水 雅(みやび)

(あの子、話すと明るいのにな~)

清水 雅(みやび)

(朝に弱いのかな)

そんな事を考えながら

規定の服に着替える

清水 雅(みやび)

(うん、良い感じ)

そう思いながらパソコンの前に座る

清水 雅(みやび)

(よし、仕事開始ね)

…………

清水 雅(みやび)

(よし)

清水 雅(みやび)

(そろそろお昼休憩入ろうかな)

そう思い、ビルの外に出る

その時…

私の横を背の高い男性が通った

清水 雅(みやび)

え…湊…?

私は走り出した

何も考えず湊を追いかけた

清水 雅(みやび)

湊!湊!

成瀬 湊

……?

湊は振り返り驚いた表情を浮かべた

成瀬 湊

雅…?!

清水 雅(みやび)

湊…久しぶり

成瀬 湊

何でここに?

清水 雅(みやび)

職場がこの近くなの

清水 雅(みやび)

それで、湊がいたからつい…

成瀬 湊

そんなに俺に会いたかったのか?

湊が私をからかうような口調で話す

清水 雅(みやび)

ち、違うよ…!

清水 雅(みやび)

(私だって…もう)

成瀬 湊

そうか(笑)

清水 雅(みやび)

ちょっと信じてないでしょ!

成瀬 湊

信じてます~

清水 雅(みやび)

もう!バカ!

成瀬 湊

はいはい、ごめんって(笑)

清水 雅(みやび)

もう、相変わらずなんだから…

成瀬 湊

そうだ、時間あるか?

清水 雅(みやび)

少しならあるよ

清水 雅(みやび)

お昼休憩とってきたから

成瀬 湊

そっか、じゃあ久しぶりに話さない?

清水 雅(みやび)

うん、良いよ

清水 雅(みやび)

その辺の喫茶店行こっか

成瀬 湊

よし、行くか!

…………

清水 雅(みやび)

今も宮野さんと付き合ってんの?

成瀬 湊

いや、別れたよ

清水 雅(みやび)

え、何で?

成瀬 湊

…俺が振ったんだ

清水 雅(みやび)

何でまた…

成瀬 湊

大切な事に気がついたんだ

成瀬 湊

それに、紬も「私も別れたかった」って

成瀬 湊

後から聞いたら他に男いたらしいけどな

清水 雅(みやび)

そっか…

清水 雅(みやび)

それで、大切な事に気がついたって何だったの?

成瀬 湊

まずは謝らせてくれ

成瀬 湊

雅、ごめん

清水 雅(みやび)

何が?

成瀬 湊

俺の事好きだって言ってくれてたのに

成瀬 湊

俺は紬を選んだ

成瀬 湊

それが心残りだったんだ

清水 雅(みやび)

心残りって…

成瀬 湊

自分勝手かもしれないけど

成瀬 湊

俺は雅の事が好きだったんだと思う

成瀬 湊

それから、今も

成瀬 湊

失ってから気がついたんだ

成瀬 湊

雅はいなくてはいけない存在だって

成瀬 湊

でも、今更遅いよな…

清水 雅(みやび)

何よ…それ…

清水 雅(みやび)

遅すぎるよ…

私は泣きながら途切れ途切れに話した

清水 雅(みやび)

何で…何で今なの…

成瀬 湊

ごめん

清水 雅(みやび)

だって…私はもう…

成瀬 湊

そうだよな

成瀬 湊

やっぱり無理だよな

清水 雅(みやび)

湊の…バカ…

成瀬 湊

職場まで送るよ

清水 雅(みやび)

…うん

…………

成瀬 湊

じゃあな、雅

清水 雅(みやび)

…うん

成瀬 湊

仕事も頑張れよ

清水 雅(みやび)

うん…

成瀬 湊

辛くなっても我慢するなよ?

清水 雅(みやび)

…うん、分かってる

成瀬 湊

あぁ、それと

成瀬 湊

旦那とも仲良くな

清水 雅(みやび)

…うん

成瀬 湊

大好きだ

その言葉を最後に湊は歩き出した

私はその背中に向かって

しきりに手を振り続けた

その左手の薬指には

婚約指輪がキラキラと輝いていた

「手を伸ばそうとも」

[完]

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