さて、生きている人間を魔界へと
連れて行くにはやっぱり殺すしかないよなぁ…。
流石にそれは可哀想だよな…。
でも、それ以外に方法がないんだよな…。
浦田航
なぁ、XXXXちゃん。
過去のXXXX
…?なぁに、
浦田航
俺らが普段住んでる所に君が
行くには、そのXXXXちゃんは……
過去のXXXX
死ななきゃいけないんでしょ?
それくらい私知ってるよ~。
浦田航
ぇ、
坂田明
あー、前お祈りに来た時
教えたんやったっけ?
坂田明
天使と恋に落ちた人間が、教会で
自殺して天国で天使と結ばれた~
坂田明
なんて、御伽噺あったよな。
浦田航
………………
過去のXXXX
そうだ。私、死ぬならママの死体と
一緒に灼かれて死にたいなぁ。
過去のXXXX
だって、このまま此処に
放置しておくのは可哀想だもん。
坂田明
XXXXちゃんは優しい子やねぇ。
過去のXXXX
そんなことないよ、
浦田航
……よし、分かった。なら俺の
魔法でXXXXちゃんを殺してあげる。
過去のXXXX
ほんとに、?
坂田明
……えぇの?
浦田航
…だって、それ以外に方法がねぇんだよ。
坂田明
なら必然的に僕も死ぬ事になるんねんけど。
浦田航
……お前はどうやって死にたい?
坂田明
こんな事恋人に聞くなんて薄情やなぁ。
僕はうらさんに殺されたいよ。
坂田明
首絞めでも良いし、うらさんに
高い所から突き落とされるのも大歓迎。
浦田航
…はっ、お前ほんと変わってんな。
坂田明
ごもっともで。
過去のXXXX
ねぇ、早くしてくんない?
浦田航
あぁ、ごめんごめん。じゃあ…
ちょっと暑いかもだけど…。
浦田航
我慢してね。
俺が呪文を唱えて、指をパチンと鳴らした後。
彼女と彼女の母親の死体を
取り囲む様にして古びたこの教会は
あっという間に真っ赤な火の海に包まれた。
浦田航
………………
坂田明
………………
明の方を見ると、黙って黙祷を捧げていた。
流石神父と言うか何と言うか。
祈りを捧げる姿が本当に美しくて見惚れる。
坂田明
…あっという間に骨になってもうたなぁ…。
浦田航
だな、それで…XXXX!
浦田航
お前を幽霊にした代償は
お前の喜怒哀楽の怒哀だ。
坂田明
今回も代償は相変わらず重いなぁ。
浦田航
まぁ、な……。
浦田航
で、お前はどうやって死ぬの?
坂田明
毒、飲んで死のうかなぁって。それで、
うらさんの腕の中で綺麗に死にたい。
坂田明
この時のために準備しとったんやぁ。
水銀溶かして、成美が作った毒と混ぜた。
浦田航
準備良いな…しかも成美ちゃんの
作った毒だろ?一発で死ぬじゃん。
坂田明
それでえぇんやよ。ほら早く。
飲ませてほしぃな…?
浦田航
かわい、大好きだよ明。
坂田明
僕も…ずっと一緒やね、永遠に……
そう言って、毒を飲んで明は死んだ。
死に顔は綺麗で、まるで眠っている様だ。
俺は明の唇にキスを落としてから、
ゆっくりと立ち上がる。
浦田航
………神様なんてクソ喰らえだ。