テラーノベル
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時計の針は頂点を回り
もうすっかり夜明けだ
コンビニから帰った後
お祭り騒ぎが再び始まり
僕以外は力尽きて眠ってしまった
僕は
その騒がしいくらい賑やかな空間で
ころん先生を押し倒す方法を
考えていた
何も思いつかなかったのだけど
もう真っ向に話してみるしか ないようだ
そうとなれば
行動に移すのみで
さっそく寝込みを襲いに来ているのが
今の状況である
皆が寝落ちているリビングと
隣あった部屋が
ころちゃんの部屋だ
そっと電気をつけて
ベッドの上で
きちんと布団を被って眠る
彼の顔を覗き込む
普段の寄行からは 想像出来ないくらい
可愛らしい寝顔である
これで時々 寝言なんて零すものだから
可愛くてしょうがないのだ
彼の寝顔なんて
いつまで見つめ続けていても
飽きることはないのだろうけど
それで夜を明かすわけにはいかない
それ以上のことをしようと
心に決めてきたのだから
いっそ
布団の中に潜り込んでしまおうか
とも 考えたが
流石にそれは
怒られかねないのでやめておいた
そばにしゃがみこみ
頬を指でつついてみる
るぅと
るぅと
ころん
ころん
ほとんど開いていない目を 擦りながら
起き上がる
るぅと
ころん
どうやら
朝になったから起こされたと
思っているようだ
夜中に
寝ている家主を起こすなんてこと
普通はしないのだから
この反応が当たり前だ
るぅと
ころん
考えるより先に行動していた
起こされて
不機嫌そうな顔をしている彼の口を
塞いでしまった
しばらくの間
驚いた彼をそっちのけに
唇で触れ合う
熱くて甘い息が漏れて
そっと顔を離す
閉じていた目をそっと開けると
キャパオーバーだとでも 言いたげな顔を
こちらに向けている
状況が飲み込めていないようだ
そんな顔をされても
今は説明なんてしてあげない
それよりもっと気になることが
大事なことがあるから
ころん
やっと口から出たその言葉を
言い終わらせまいと唇を重ねる
逃げようと引っ込められた頭を ぐっと抑え
首の後ろえと手を回す
体は完全にベッド上である
勢いに任せて
下を口内へ忍ばせる
優しく触れていただけのキスから
貪るような激しいキスへと変わる
もちろんやり方なんて知らない
それなのに
もっと欲しいと
脳内にシグナルが走っている
ころん
ころん
息継ぎの度に話そうとする彼を
必死に妨げる
彼の口から零れ落ちる
自分の名前をすくうように
唇を追いかけていた
次第に
逃げていた彼の口も
僕を求めるような動きになっていた
シーツを掴んでいた彼の手も
必死に僕の服にしがみついている
るぅと
今度は僕が息継ぎの間を探し始める
お互いの口内を
忙しなく舌が這う
舌が舌を追い
逃げるように求め続ける
漏れる吐息は温度を上げている
それと同時に
体の中の深い所から
熱くなっていくのを感じた
込み上げてくる何かに
少しの怖さと興奮を覚えた
るぅと
僕の服を掴んでいたはずの彼の手が
背中に周り
ぎゅっと抱き寄せられたのと同時に
体がビクッと震え上がる
ころん
ころん
唇がお互いを離れ
耳元で囁かれる
言葉にされた事実に
恥ずかしくなって
顔が赤くなっていくのがわかった
ころん
僕が何も言い返さないのが分かると
ころちゃんは
すぐに真意を探りはじめた
抱きしめ合った姿勢のままである
彼の鼓動が必然的に聞こえてくる
彼の呼吸を
体温を感じていたら
自然と涙が込み上げてきた
ころん
ころん
るぅと
そうだ
これが聞きたかった
ずっと不安だった
僕のことを
本当に好きでいてくれているのか
恋情を抱いているのは
僕だけじゃないのか
行為への欲求の奥には
不安という感情が
付きまとっていたのだ
ころん
るぅと
予想外の言葉に
思わず抱きしめていた腕を解く
クエスチョンマークを浮かべている僕の前で
彼は優しく笑っていた
ころん
ころん
るぅと
るぅと
るぅと
るぅと
涙目のまま
ずっと心の中にあった不安を 吐き出していると
彼の手が
僕の頬を包み込んだ
るぅと
そのまま顔を引き寄せられ
離れていた唇が再び触れ合った
今度はさっきとは違う
触れ合うだけの優しくて
柔らかいキス
驚いたけれど
なんだか心地よくて
そっと目を閉じた
さっきよりも
心が満たされていくのがわかる
唇に触れるものが空気に変わり
次は鼻先がぶつかる
ころん
ころん
溜まっていた涙が一気に零れる
さっきまでの理由とは違う
安心感によって開放された
優しい雨だ
ころん
るぅと
ボロボロと流れていく涙を
彼が受け止めるように拭っていく
僕の心を動かすのは
いつだって彼だ
何かにすがりたくて
彼の体にしがみつく
そっと抱きしめてくれた彼の胸は
いつもよりたくましい気がした
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