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【ガッチマンSide】
皆と出会う前のおれは 何もかも 今とは かけ離れていた
ザシュッ！！
ヴァンパイア
銀の剣で ヴァンパイアの首を刎ねるガッチマン
ガッチマン
グサッ！！
心臓を刺され絶命するヴァンパイア
ガッチマン
剣を抜き 付着していた血を振って飛ばす
ガッチマン
プルルル…プルルル……
ガッチマンのスマホに 電話がかかってくる
プルルル…ピッ！
ガッチマン
蒼穹組員
ガッチマン
蒼穹組員
ガッチマン
電話を切り走り出すガッチマン
ガッチマン
昔から特にやりたい事もなく なんとなく入った ヴァンパイア討伐組織の1つ 『蒼穹組』
元々素質があったのか 気付いたらおれは数名を束ねる 『蒼穹組』の幹部になっていた
『蒼穹組』は キヨが属している『紅蓮組』とは違い 基本一人行動
群れるのが嫌いなおれにとっては 居心地のいい場所だった
ガッチマン
ヴァンパイアに恨みはない
ただ仕事の為 例え相手が子供だろうが 命乞いしてこようが殺してきた
全く心が痛まないのかと言ったら 嘘になるが これも人間が安全に暮らす為…などと 心にも無い言葉を並べつつ ヴァンパイアを始末していく日々
それはこれからもずっと 変わらないと思っていた
これがおれの人生なのだと そう思っていた…
皆でルームシェアする事になる家に おれが引っ越してすぐの頃
ー数ヶ月前・夕方ー ーコンビニー
ガッチマン
栄養ドリンク片手に レジに向かうガッチマン
レトルト
家から一番近いコンビニで働いている レトさんに出会った
出会ったと言っても 挨拶すらまともにした事がなく
お互い 「店員さん」「お客さん」 ぐらいにしか 思っていなかったと思う
でも、毎日のように通い 顔を合わせてるせいか この日初めて…
ガッチマン
レトルト
商品を受け取りレジを通すレトルト
ガッチマン
何故かそう思った
普通の人であれば なんてことないかもしれないが 他人に対して 何かを思うこと自体なかったおれには 異様なことだった
ガッチマン
ガッチマン
レトルトの左腕に青アザがある
ガッチマン
レトルト
ガッチマン
レトルトの顔を見る
レトルト
ガッチマン
レトルト
レトルト
お金を払い商品を受け取る
ガッチマン
レトルト
歩き出すガッチマン
ガッチマン
ガッチマン
今まで誰に対しても距離を置き 関わろうとしてこなかった
ましてや誰かを守りたい 誰かの為に何かしてあげたいなどと 考えたことすらなく
そう公言している奴等を 冷ややかな目で見ていたと思う
ガッチマン
だから、今でも自分に驚いている
この数日後に あんな出来事があり 今までのおれが ガラリと変わってしまったことに…
ー数日後・深夜ー
ガッチマン
蒼穹組一同
各々指定された場所へ走り去る
ガッチマン
この日もいつも通り 一人で担当地区の見回りと ヴァンパイアを始末していた
グサッ！
ヴァンパイア
絶命するヴァンパイア
ガッチマン
ガッチマン
ガサガサッ…
ガッチマン
後方にある草むらで音がし 振り返るガッチマン
ガッチマン
声を掛けるも返事が無い
ガッチマン
ゆっくり草むらに近付くガッチマン
ガッチマン
？
苦しそうな息遣いで 身を隠すよう うずくまっている人が見える
ガッチマン
ガッチマン
手を差し伸べつつ 近付くガッチマン
？
ガッチマン
？
急にガッチマン目掛け 襲い掛かってくる
ガッチマン
ガッチマン
ガブッ！
手を噛まれるガッチマン
ガッチマン
まるで子犬に 甘噛みされてるような力で 左手を噛まれている
ガッチマン
噛まれてる手をゆっくり上げ 月明かりで顔を確認するガッチマン
ガッチマン
レトルト(覚醒)
傷やアザだらけで 赤い目をしたレトルトが ガッチマンの手を噛んでいる
ガッチマン
ガッチマン
ガッチマン
剣を持つ右手に力が入るも レトルトを見つめたままのガッチマン
ガッチマン
ガッチマン
レトルト(覚醒)
ガッチマン
ガッチマン
ガッチマン
レトルト(覚醒)
怯えた様子で ガッチマンが持つ剣を見つめる
ガッチマン
銀の剣を少し遠くへ投げる
ガッチマン
ガッチマン
恐る恐るガッチマンの手から 口を離すレトルト
ガッチマン
ガッチマン
なでなで…
レトルトの頭を撫でるガッチマン
レトルト(覚醒)
ガッチマン
レトルト(覚醒)
ガッチマン
ぽたっ…ぽたっ……
レトルト(覚醒)
レトルトの目から涙が零れる
レトルト(覚醒)
レトルト(覚醒)
ガッチマン
ぐいっ！
レトルト(覚醒)
レトルトを抱き寄せるガッチマン
ガッチマン
ガッチマン
ガッチマン
レトルト(覚醒)
ガッチマン
レトルトの涙を拭う
ガッチマン
最初自分が理解出来なかった
無意識とはいえ 何故、抱き寄せ 今まで思った事も 言った事もない言葉が おれの口から出たのかを…
レトルト(覚醒)
ぎゅ……
さっきまで噛んでいた ガッチマンの手を握るレトルト
ガッチマン
レトルト(覚醒)
レトルト(覚醒)
レトルト(覚醒)
ガッチマン
でもすぐに理解した
始末しなければいけない ヴァンパイアなのに
今までどんなヴァンパイアも 殺してきたのに
この傷だらけで怯えつつも 純粋なレトさんの笑顔を見て おれは
" この人が好き " なのだと 理解してしまった
レトルト(覚醒)
ガッチマンの腕の中で 気を失うレトルト
ガッチマン
レトルトの左腕に真新しい傷がある
ガッチマン
レトルトのとは別に 古い血が付着している
ガッチマン
ヴァンパイアの弱点の1つ 『死者の血』
ヴァンパイアにとって死者の血は 痺れ薬のようなもので 死にはしないものの 体の動きを封じる
主に拷問する時になど 使われている
ガッチマン
ガッチマン
さっきよりもレトルトを 強く抱きしめるガッチマン
ガッチマン
ー翌朝ー
あの後 気を失ったレトさんを抱き抱え 家に連れて帰って来た
着替えや傷の手当て等済ませ おれの部屋にレトさんを寝かせて 目が覚めるのを待った
レトルト
レトルト
レトルト
昨夜は何故 公園にいたのか
どうして傷やアザだらけなのか
草むらでおれと会った事さえも レトさんは覚えていなかった
ガッチマン
レトルト
ガッチマン
レトルト
ガッチマン
ガッチマン
ガッチマン
レトルト
ガッチマン
レトルト
ガッチマン
レトルト
昨日の事を思い返すレトルト
レトルト
ガッチマン
首を横に振る
レトルト
レトルト
レトルト
レトルト
ガッチマン
ガッチマン
ガッチマン
ガッチマン
レトルト
ガッチマン
レトルト
レトルトの体が強張る
ガッチマン
レトルト
ガッチマン
ガッチマン
レトルト
あからさまにガッチマンから 目を逸らすレトルト
ガッチマン
ガッチマン
ガッチマン
レトルト
ガッチマン
レトルト
ガッチマン
ガッチマン
レトルト
ガッチマン
ガッチマン
レトルト
ガッチマンの様子が さっきまでとガラリと変わったのと 急な誘いにキョトンとしている
レトルト
ガッチマン
ガッチマン
ガッチマン
レトルト
ガッチマン
レトルト
ガッチマン
ガッチマン
レトルト
ガッチマン
ガッチマン
ガッチマン
レトルト
ガッチマン
ガッチマン
ぎゅっ…
レトルトの手を握るガッチマン
ガッチマン
ガッチマン
レトルト
レトルトの頬に涙が伝う
レトルト
レトルト
ガッチマン
この日、おれは ヴァンパイア討伐組織 『蒼穹組』を脱退した
そしてレトさんと出会った事で 初めてやりたいことが2つ見つかった
1つはレトさんを守ること
もう1つはレトさんみたいに " 人間と共存するヴァンパイア " を支援すること
おれはヴァンパイア支援組織 『琥珀組』を設立し リーダーとして やっていく事になったのだった
ー現在・浴室ー
レトルト
バスチェアに座ってる レトルトの頭を洗うガッチマン
ガッチマン
ガッチマン
背中に 傷やアザがないかチェックする
ガッチマン
ガッチマン
レトさんが急に眠くなる時は 必ずと言っていいほど 記憶を無くした時…
つまり、覚醒 " 赤い目のヴァンパイアになった時 " しかない
ルームシェアして最初の頃までは 体中傷とアザだらけで 気絶していた為 本人も記憶を無くしてる自覚があった
ガッチマン
最近、他の仕事でどうしても 護衛をつけられないタイミングで レトさんが襲われるようになった
襲われるようになったといっても 本人には全く自覚がない
怖がらせないために 本人にはあえて何も言っていないが いつの間にか 傷やアザが出来てる状態が続いている
ガッチマン
琥珀組にいるヴァンパイアに 覚醒について色々聞いたが 記憶を無くすという例はなく 原因は不明
未だにレトさんを狙う奴等も 特定していない今 手の打ちようがない
ガッチマン
レトさんは おれがレトさんを ヴァンパイアだと知ってる事に 気付いていない
何度か言おうとも思ったが ヴァンパイアの話題を出す度に 気まずそうな顔をするので おれからは言わない事にした
ガッチマン
ガッチマン
レトルト
シャワーでシャンプーの泡を流す
ガッチマン
レトルト
立ち上がり体を洗い始めるレトルト
ガッチマン
レトルト
ガッチマン
レトルト
ガッチマン
ガッチマン
ボディタオルを受け取り そっと背中を洗うガッチマン
レトルト
ガッチマン
レトルト
レトルト
ガッチマン
ガッチマン
体を洗い終え シャワーで流すレトルト
レトルト
レトルト
バスチェアに座るガッチマン
レトルト
ガッチマン
レトルト
ガッチマンの前で膝立ちをし 頭を洗い始める
ガッチマン
ガッチマン
レトルト
ガッチマン
レトルトの顔を見る
レトルト
レトルト
ガッチマン
レトルト
ガッチマン
レトルト
ガッチマン
ガッチマン
レトルト
ガッチマン
レトルト
ガッチマン
ガッチマン
レトルト
ガッチマン
レトルト
ガッチマン
ガッチマン
レトルト
レトルト
ガッチマン
シャンプーを流していくレトルト
ガッチマン
ガッチマン
レトルト
レトルト
ガッチマン
レトルト
レトルト
ガッチマン
レトルト
レトルトが湯船に浸かるのを見届け 体を洗い始めるガッチマン
それにしても頻繁に レトさんを狙う理由はなんだ？
ガッチマン
おれの知らない 組織みたいなのがあるのか？
それともおれにすら 予想出来ない何かが…
ガッチマン
ちゃんと敵味方 見極めなければ…
じゃないと レトさんを守るより先に
ガッチマン
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