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目から滝が
めちゃんこ表現など好きです、、😢💗💗ブクマ失礼します🙇♀️
桃赤 感動系だと思います
目が見えない君
人とは違ったオッドアイで開かれた瞳には光が宿っていない
普通の人はそんな莉犬を怖がったり、嫌ったりするだろうけど俺は違う
俺は莉犬を見た時からとても綺麗だと思ったよ
15分ある昼休み
俺は階段を降りて中庭にある一本の大きな木に向かった
中庭に続くドアを開けると木の下で誰かが木にもたれ掛かっている
それが誰か分かっている俺は足音を立てないように近づく
赤
木に手を置いた瞬間莉犬の犬耳が動いて振り返り俺の名前を呼ぶ
俺だよという意味で肩を2回叩くと莉犬の口角が上がり八重歯が見えた
赤
肩に置いた手を辿って俺に抱きつく莉犬は世界で1番可愛らしいと思う
近くにはるぅとも居て眉を下げて笑っている
黄
るぅとの言葉に手話で返して、お腹あたりに頰を擦り寄せてくる莉犬の頭を撫でながらしゃがむ
ふとあの日のことを思い出した
莉犬とは10歳の時病室で出会った
その時の俺と莉犬はそこまで悪くはなかった
病院先生
先生に勧められて中に入ると4個のベッドが置かれていてまだ誰も使っていない様だった
1つを除いて
奥の窓際のベッドはカーテンが閉められている
シャッと音が鳴って出てきたのは女の人
赤~母~
閉められていくカーテンの隙間から見えたのは同い年ぐらいの小さな男の子
病院先生
赤~母~
目の前でしゃがんだ女の人は顔が整っていて淡い赤の髪色に黄色の瞳をしていた
桃
赤~母~
少し漏らした声に女の人は首を傾げる
病院先生
赤~母~
赤~母~
そう言うと女の人は先生に軽く挨拶をして病室から出ていった
病院先生
後で荷物持って来るねと言って先生も病室を出ていった
閉ざされた扉を見つめた後俺は歩いてカーテンを開けると視界に入ってきたのは
窓の外を見つめる1人の男の子
ゆっくりと振り向かれて露わになった顔はあの女の人と似ていた
赤
瞬きをする瞳には2つの色があってその瞳に惹きつけられる感覚を覚える
全体的に可愛らしさと何処か儚い空気を纏う君に目が離せなかった
赤
桃
赤
赤
君の名前は?と聞かれて俺は下を向く
声が出なかった
病院先生
赤
病院先生
病院先生
赤
病院先生
その声に頷いて彼に視線を戻す
気づいたのかコテっと首を傾げる姿に親子だななんて思いながら頭にぽすっと手を置いた
彼は目を見開き固まった
わしゃわしゃと撫でれば我に帰ったかのようにキャンキャンと吠えている
なんだか不思議な奴
それが第一印象だった
赤
ハッと我に帰り莉犬に視線を向ける
赤
黄
黄
そんな会話をして弁当を食べていると他3人が合流してみんなでご飯を食べた
紫
青
橙
黄
遠のいていく4人に手を振っていると莉犬が何かを探し始める
不思議に思って右手を頭に置くと
赤
と何かを見つけたかのように頭に置いた手に自分の手を重ねた
すると自分の左手を俺の手と合わせて絡めてくる
赤
莉犬は右手で白状を持って歩き始めた
桃
え、可愛すぎるのだが
普通に繋がれた手だったが指をずらして恋人繋ぎをする
莉犬は照れたように頰を赤く染めてはにかむ
こんな幸せな時間が続けばいいのに
神様は意地悪だ
ある日告げられた言葉
病院先生
桃~母~
病院先生
桃~母~
桃~母~
いやよ!そんなの!と泣き崩れる母さんを見つめることしかできなかった
病院先生
先生は泣き声が響く白い空間の中でそう冷たく言い放った
赤
いつもの場所
皆んなで昼食を食べている時ずっと感じていた違和感を口に出す
黄
紫
赤
…ねぇみんな
俺すぐ分かったよ
それが嘘だって事
青
明らかにいつもより声が低いよころちゃん
橙
上手く笑えてないよジェルくん
真っ暗な視界の中俺は残りの飲むゼリーを食べた
あれから数日後
サッと言う草を踏む音に振り向く
肩を2回叩かれた
赤
いつものように抱きついてまた皆んなで昼食を食べた
赤
そう言うと俺の手を握ってくれる
赤
ゆっくり、優しく引っ張ってくれてそれについて行く
着いたのか立ち止まった時俺は手の主に話しかけた
赤
赤
青
その声は予想してた通りさとみくんじゃない
今にも泣きそうな声をするころちゃんに微笑んで
赤
告げた言葉にころちゃんはとうとう声を押し殺して泣いて俺を抱きしめた
何度も謝るころちゃんに「いいんだよ」と背中を摩る
赤
青
嗚咽を吐きながらも話してくれるころちゃんに相槌を打ちながら聞いていく
青
赤
コクコクと頷くころちゃんの頭を撫でる
赤
青
ころちゃんは耐えきれなくなって声を出して泣いた
青
そんなころちゃんを強く抱きしめることしか俺には出来なかった
ころちゃんが泣き止んだ頃には5時間目が始まって2人屋上でサボる事にした
青
赤
自販機でころちゃんの好きなバナナオレを買って差し出す
この学校の自販機は点字が付いていて良かったとつくづく思う
青
赤
赤
青
赤
昔の2人の友達
亡くなった2人の友達
青
赤
青
赤
青
赤
赤
青
赤
久しぶりに楽しい空間ができた
赤
青
赤
『受けます』
どうして言ったのかわからない
成功しない確率が99以上なのに
勿論母さんには猛反対された
「少しでも長く生きてほしい」と
それでも手術を受けたいという気持ちの方が強かった
どうしても受けたかった
ギシッとベッドが軋む
久しぶりの病室は偶然なのか昔と同じ病室だった
そういえばころんは上手くやってくれているだろうか
みんなは黙っててくれているだろうか
もし成功して、今までのことを知ったら莉犬はどう思うだろうか
怒るかな…それとも泣くかな
逆に冷静だったりw
喉元に手を当てる
最近焼けるように痛い
本当に悪くなっているんだろうと思い知らされる
病院先生
その言葉に俺は立ち上がった
カッ、カッと小さく靴音を鳴かしながら階段を降りる
あれから5年が経った
同じ飛行機に乗り合わせた人達に交ざって空港内を歩く
手術は成功したのに、いざとなったらどんな顔して会えばいいか分からなくなって親に勧められて1人で外国に行った
外に出るとメッセージに送られてきた車があり、それに乗り込むと久しぶりに会った両親
桃~母~
桃
桃~父~
動き出す車に身を委ねて2人の会話をぼんやりと聞いた
数十分車に揺られて着いたのは変わらない俺の家
ドアに手をかけると何処か力が入って深呼吸を1つする
開けた瞬間香る懐かしい匂いに安心した
自分の部屋に荷物を置き終えた時母さんが顔を出した
赤~母~
桃
財布とスマホをズボンのポケットに入れて家を出る
懐かしいっつってもあんま数は無いんだけど
あるとするならよく皆んなで遊んだ公園と
桃
ゆっくりと昔を思い出すように通学路だった道を歩いていく
30分ほど歩いて見えてくるのは懐かしい学校
門を開けてグラウンド、玄関、廊下と歩いて自分の教室に行こうと階段を登る
ガラッと開くと学生生活を思い出して全てが懐かしく感じる
自分の座っていた席に行くと俺が油性ペンで書いたジェルの似顔絵が残っていてこの席に座ってる奴ら可哀想なんて呑気に考えた
よく見ると所々消えていて歴史を感じる
結構堪能したし教室を出て他を回ろうと廊下を歩いてる時
俺は少し固まった後全力で足を動かした
息を切らして中庭に繋がるドアを開ける
そこにはさっき見た人そのもので
彼はあの日の様に木に体重をかけて座っていた
息を整えて近づいていく
赤
木に手を置いた瞬間彼の犬耳が動いて俺の名前を呼ぶ
首を動かすことはなくて表情が見えない
何かが込み上げてくる感覚に襲われて胸が苦しくなる
目頭が熱くなって視界が滲んでいく
震える手で肩を2回叩くと彼は振り向き俺に抱きついて勢いのあまり俺も地面に座り込んだ
見えた彼の瞳には涙が今にも溢れてしまいそうな程ためていて、眉を顰めていた
声をあげて泣く彼をぎゅっと抱きしめて背中を摩る
何度も名前を呼ぶ声に歯を食いしばった
桃
桃
ついに溢れた涙は止まることはなくて莉犬の肩に顔を埋めた
昔に一度だけ莉犬の名前を呼んだことがある
13歳の病院で入院してる間に病状が悪化した時ずっと手を握ってくれていた莉犬に口を動かして発した13歳唯一のひと言
それ以来なんの言葉も出なくなったのを覚えている
あの時手術を受けたいと言った時の気持ちが今なら分かる気がした
きっと、もう一度君の名前を呼びたかったんだ
俺に縋りついて声を出しながら泣き続ける莉犬の頭を撫でる
赤
涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔を服の裾で拭って俺が微笑むと、また更に涙が溢れる莉犬
そんな姿でさえ愛おしく感じて抱きしめる力を強くする
その時、遠くからものすごい声が聞こえてきて振り返る時間もなく背中に飛び蹴りが飛んできた
桃
橙
ズキズキと痛む背中を押さえながら声のする方を向くと全員がいて、凄まじい速さで俺の目の前にころんが来た
青
声の音量に後退りころんを見ると目に涙をためて眉間に皺を寄せて手を強く握っていて泣くのを我慢している様に見えた
紫
ころんの背中を摩るなーくんは真剣な表情をしている
桃
橙
桃
泣き止まない信号機組をあやしていたジェルが俺を見つめる
桃
紫
桃
紫
紫
なーくんは俺を指差す
黄
青
赤
青黄
紫
桃
桃
紫
桃
青
黄
橙
走っていく4人を見つめる
赤
桃
赤
光の宿った澄んで綺麗な瞳が微かに揺れて微笑む
赤
桃
~ end ~