透
透
おい兄貴
透
今日もまた出歩いてんのかよ
透
いい加減にしろよ
紀
御前に関係無いだろ。
透
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不在着信
透
拒否までしやがってこのクソ兄貴
俺には二つ上の兄がいる。
兄は22歳、看護学部に通う大学四年生だ。
訳あって兄弟で暮らしているのだが
生憎兄弟の仲は、良くない。
透
酒に煙草、まともに家にも帰らない、
透
有り得ねぇ
透
透
もう少し、俺の事考えてくれたっていいじゃんか。
あろう事か俺は
その不仲である兄に対して
抱いてはならない感情を持っていた。
透
飲んだ缶も置きっぱなし、煙草の吸殻もそのまま…。
透
ったく、俺は家政婦じゃないっつの……
紀
ただいま
透
…おかえり。
透
っわ、酒臭…どんだけ飲んできたんだよ、
紀
…何か文句でもあんのか
紀
一人で生きていけない御前の為に
紀
わざわざ俺が一緒に住んでやってんのに
紀
可愛くねー奴。
透
…………、
こうなると、もう何も言えないのは長い間共に過ごしてきたから分かる。
沈黙と、互いの視線が一瞬だけ絡んで
そして再び言葉を交わす事はなく、互いに部屋に戻る。
透
……何でこんな奴、好きになったんだ、
透
相手は兄で
透
男で
透
最低なクズの癖に
透
……報われない思いなんて
透
さっさと消しちまいたいのに…
兄のお陰で今生きていられるというのもある。
俺も学生の身である為、バイトだけでは学費もままならない
兄はそこを上手くやり繰りしているようで、俺はそこに滑り込んだ
透
確かに、
透
住ませて貰ってるのは俺の方だし
透
……嫌いな弟に、一々言われる筋合いも、無いよな……。