ここは現実によく似た世界。
治安部隊に所属する兄妹バディがいた。
27歳の兄・ミトシと14歳の妹・キノカ。
素直になれないふたりの物語。
キノカ
ミトシ
ミトシ
ん?
ミトシの部屋。
ふたりはそれぞれ本を読んでいる。
キノカ
甘いものが食べたい
ミトシ
冷蔵庫に買い置きのプリンがあるだろ
キノカ
取りに行くのが面倒だ
ミトシ
俺に取りに行けと?
キノカ
そこにある飴でいい
ミトシ
飴……
ミトシはニヤリとする。
ミトシ
やるから、こっちへ来い
キノカ
おまえが来い
ミトシ
わかったわかった
ミトシがキノカの前に座る。
キノカ
早くよこせ
せがむキノカ。
ミトシは飴を口に含む。
キノカ
……なぜおまえが食べる
ミトシ
欲しかったら取ってみろ
キノカ
いらない
ミトシ
そうか。最後の1個なんだけどな
キノカ
……やはりよこせ
ミトシ
了解
ふたりの唇が重なる。
飴がミトシの口からキノカの口へと移された。
キノカ
ん……
なおも口づけを続けるミトシ。
キノカは兄の頬を押し返す。
キノカ
しつこい
ミトシ
いいだろ。たまには
キノカ
するなら毎日、少しずつしろ
ミトシ
いいのか?
キノカ
しつこくされるよりはマシだ
ミトシ
本当に毎日するからな
キノカ
望むところだ
ふたりの口の中に広がる甘さ。
それよりも甘い、口づけを。