ひな
ひな
ひな
ひな
ひな
部屋に沈黙が立ち込める
自分の顔が真っ白になっているのが分かる
りうら
先に沈黙を破ったのはりうらだった
震え出す声、顔を隠そうとしているのか俯くも、落ちた雫が膝に置いた手を濡らすのが見える
ないこ
だめだ、辛いのはりうらも一緒
俺が泣いてちゃ、だめなんだ
りうら
ないこ
りうら
ないこ
静かに相槌を打ってやると、次第にしゃくりあげるように泣き出すりうら
りうら
ないこ
ないこ
ないこ
ないこ
りうらをそっと抱え込むように抱きしめる
りうら
りうら
りうら
ないこ
ないこ
ないこ
またくしゃりと顔を歪ませる
りうら
ないこ
ないこ
そっと頭を撫でてやる
ないこ
分かってる、誰も、悪くない
泣き続けるりうらを慰めて、家に帰ってきたのはとっくに日が落ちてからだった
気をつけてね、と繰り返す真っ赤な目をしたりうらに笑いながら別れを告げてから、気づけば自室のベッドの上にいた
ないこ
不思議と涙は出なくて、ただ漠然とこれからについて考えていた
ないこ
まろが好きだ
優しくて、かっこよくて、時々甘えん坊で、でも俺の事を甘やかしてくれて、可愛くて、こんな俺の事を好きだと言ってくれるまろが大好きだ
りうらが好きだ
俺のことを大切に思ってくれていることを全身で表現してくれる、優しくて、友達思いで、いつも俺を笑わせてくれるりうらが大好きだ
まろをりうらから離せば、りうらが辛い思いをする
そんなことにはなって欲しくない
だってりうらは、今までずっと俺の為にそうやって耐えてきたはずだから
けど、まろには俺だけを見てて欲しい
俺以外に欲情するまろなんて、見たくない
俺だけを愛して欲しい
俺だけに好きだと言って欲しい
矛盾する2つの気持ちを抱えて、もうどうしたらいいのか分からなくなる
ないこ
ないこ
メッセージアプリを開いて、同じメッセージを2人に送信する
「次りうらが学校に来れる日、放課後3人で話がしたい」
ないこ
1人つぶやく
結局、3人揃って話が出来たのは、メッセージを送ってから3日後のことだった
If
重苦しい沈黙の中、まろが口を開いた
If
If
If
If
りうらも表情を歪める
この感覚は俺には分からない。運命である2人にしか
If
ないこ
まろの声に顔を上げて、俺は
If
聞こえてきた言葉に目を見開いた
If
ないこ
空いた口から乾いた声が漏れる
りうら
りうらが横から補足のように付け足してくる
りうら
ないこ
ないこ
If
If
If
If
If
If
本気でそんなものを望んでいた訳じゃなかった
ただ俺は、まろにプロポーズしてもらえたらそれだけで最高に幸せだろうなって、それだけは疑ってこなかった
ないこ
ボロ、と自分の瞳から涙が零れたのがわかった
If
りうら
俺の涙を拭おうとしたまろの手をはたいて自分の手で目を擦る
こんなことをしたのは初めてだった
ないこ
りうら
ないこ
If
りうら
俺にはたかれた右手を抑えながら呆然とするまろの肩をりうらが軽く揺する
そんな姿を見ていると、元々2人が恋人で、俺がそこに入り込んだ邪魔者なんじゃないか、なんて錯覚しそうになる
見れば見るほど2人がお似合いに見えて、俺は目を瞑った
ないこ
ないこ
ないこ
ひとつ深呼吸をして、意識して口角を上げる
大丈夫、大丈夫、俺は
ないこ
ないこ
If
If
If
即答して、項垂れるまろ
よく分かってんじゃん、自分勝手すぎるよ。そんなの
りうら
りうら
ないこ
りうら
ないこ
誰かに怒っている訳でもないのに、なぜだか苛立って、思わず怒鳴りつける
ないこ
ないこ
ないこ
りうら
呟くように言うりうら
ないこ
ないこ
まろに捨てられたらもう、生きていける気がしないのに
If
近づいてきたまろの手をまた叩く
ないこ
If
無視して俺を抱きしめる
嫌いだ、まろなんか
ないこ
なんでこんなに大好きな香りがするんだろう
心と裏腹に言うことを聞かない腕がすがりつくようにまろの服を掴む
ないこ
ないこ
If
If
If
溢れた涙がまろの制服に吸い込まれる
ないこ
ないこ
ないこ
ないこ
どうしたらいいのか、なんて俺が1番知りたい
頭の中がぐちゃぐちゃで、自分が何を言っているのかも、もうよく分からなくて
誰かに、何かにすがっていたくてまろの服をさらに強く掴む
りうら
りうら
りうら
りうら
りうら
俺の頭を撫でるりうらの手
りうら
りうら
りうら
ないこ
ないこ
ないこ
そう言い続けてきた。まろに、りうらに、そして俺自身に
でも、俺、本当は…
ないこ
最初から、大丈夫なんかじゃなかった
大丈夫、大丈夫って言い続けて、そう思い込みたかっただけ
If
If
まろとりうらの、2人分の手が俺の頭を撫でる
暖かくて、優しくて、大好きな手
ないこ
If
りうら
ボロボロと落ちる涙をりうらがハンカチで吹いてくれる
りうら
りうら
ないこ
ないこ
ず、と鼻をすする
りうら
ないこ
りうら
りうら
りうら
ないこ
りうら
まろから離れて、今度はりうらを抱きしめる
ないこ
りうら
りうら
りうら
ないこ
ないこ
りうら
りうら
りうら
ないこ
ないこ
りうら
りうらが教室を出ると同時に、まろがまたぎゅうと俺を抱きしめる
If
ないこ
If
ないこ
ないこ
If
If
If
ないこ
If
If
If
ないこ
If
ないこ
If
If
ないこ
If
俯いていたまろが顔をあげる
If
ないこ
If
If
If
If
If
If
ないこ
あーあ、折角泣き止んでたのに
今日はもう、涙腺が壊れてしまったらしい
If
If
ないこ
あの日と同じ返事をする
ただあの日と同じく、大人しくは待ってあげない
If
まろが自分の項を抑える
血の味がすることに満足して、口を拭う
ないこ
ないこ
ないこ
ゆっくり近づいてきたまろが俺の項に優しくキスをして、ゆっくり歯を立てる
ないこ
痛いのに、なんだか満たされる気がして、俺はそのまままろにキスをした
互いの血が口の中で混じる
ないこ
ないこ
If
ないこ
If
まろがキスで俺の涙を拭う
じくじくとまだ項が痛んでいた
これが正しいのかはまだ分からない
でもこれが、俺の後悔のない選択だ
数ヶ月後
ないこ
りうら
りうらの周期も薬のおかげですっかり安定してきた
If
りうら
ないこ
If
If
りうら
りうら
ないこ
りうら
ないこ
りうら
If
りうら
教室の前のドアからこちらを覗く長髪の生徒
りうら
悠佑
元気なやり取りに思わず笑みがこぼれる
りうら
ないこ
If
手を振って跳ねるように教室を出ていくりうら
廊下からも笑い声が聞こえてくる
If
ないこ
ないこ
If
ないこ
ないこ
If
If
ないこ
ないこ
If
まろが微笑む
If
ないこ
そっと自分の項をなぞる。あの時より少し薄くなった噛み跡
大丈夫、何度だってつければいい。その必要が無くなるまで
ないこ
If
振り向いたまろに不意打ちでキスをする
ふわりと香る、俺の大好きな香り
ないこ
If
If
ないこ
これが俺の、正解だ
ひな
ひな
ひな
ひな
ひな
ひな
ひな
ひな
ひな
ひな
ひな
ひな
ひな
↓
ひな
ひな
ひな
ひな
ひな
ひな
ひな
ひな
ひな
ひな
ひな
ひな
ひな
ひな
ひな
ひな
ひな
ひな
ひな
ひな
ひな
ひな
ひな
ひな
コメント
11件
最後の設定読んだ後もっかい読んだらさらに泣いた……最っ高でしたほんとに!!大好きです、このお話。 多分あと3週はします!
フォロー失礼します!
初コメ失礼します! TERROR見てて初めて泣いたかもしれないぐらい感動しました!! りうらくんも理想ピッタリの人いて良かったですね!笑 いい作品ありがとうございました!!