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主
主
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主
主
主
天羽組の男達が事務所で空龍外の見回りをする為、身支度をしていた。
和中
背後からスっと渡されたペットボトルを小林が受け取る
小林
和中
小林
普段は必要以上に気を配ってくれることはない。
けれど、その気配りをしてくれる事が増えたのは、ここ最近だ。
小林
照り返す太陽とは別の熱が、小林の奥をじわりと灯す。 けれど、それが何なのかは…まだ気づいていない。
和中
一方の和中は、小林の首筋から滴る汗をさりげなく追い、視線を逸らしてから静かに目を伏せる。
和中
同じ組の仲間以上の感情に、和中はとっくに気づいている。 だが、それを口にするつもりは……まだない。
和中
小林
背を向けて歩き出す和中の背中を見ながら小林はペットボトルを軽く握った。 〜夕方〜 見回りを終えた2人は、空龍外の裏手にある気の少ない休憩スペースに腰を下ろしていた。
小林
和中
小林
笑いながらそう言った小林の声に、和中は目を細めた。 その笑顔を見る度に、胸の奥が熱くなる。 けれど、言葉にした時点で壊れてしまう気がして、何も言えない時間だけが過ぎていく。
和中
小林
和中が手を伸ばし、小林の右腕を引き寄せた。 擦り傷、どうやらさっきの揉み合いで引っ掛けたようだ。
和中
持っていたポケットティッシュで、傷口を静かに拭う。
小林
和中
その声はいつもより低く、穏やかで、妙に近い、手元に集中する和中の顔がすぐそこにあって、小林は一瞬だけ動けなくなった。
小林
和中
ぽつりと漏れたその言葉に、和中の手が僅かに止まった。
和中
小林
和中はティッシュを丸めながら、小さく息をついた。
和中
小林
和中
小林
和中は返事をせず、代わりに一瞬だけ目を逸らした。
その仕草に、小林の胸の奥がざわりと揺れた。言葉にならない何かが、確かに和中の中にある。そう思ってしまう自分がいて、それに戸惑う。
小林
そんなはずない。 和中の兄貴は、組の先輩で、怖いくらい頭がキレて、無口でクールで……でも優しい、自分だけに優しい気がして…。
小林
和中
小林
言えない、何を言いたいのか、自分でも分からない。 でも、もっと知りたいと思ってしまった。
小林
蒸し暑い夏の夕方、空龍外を軽く回った後、2人は事務所裏の階段に腰かけしていた。
小林
頬に流れる汗をタオルで拭いながら、小林は横にいる和中を盗み見た。
いつからだろう。 和中が隣にいるだけで、何も怖くなくなると思い始めたのは。
小林
和中
小林
和中の指が一瞬止まる。
和中
ぽつりと漏れたその声は、いつもの無機質さより、少しだけ柔らかかった。
小林
一瞬言葉が止まる。 目が合った。小林は息をのんだ。和中の目が、まっすぐ自分を捉えていた。静かで、でもどこか熱を帯びたその視線に、胸がドクンと鳴った。
和中
その声に背筋がぞくっとする。
小林
和中
静かな声。 感情を抑えているのがわかる。でもそこに、確かな想いが宿っていた。
小林
ようやく、自分の中にあった想いに、名前ついた気がした。
小林
和中
小林
そんな他愛ないやり取りをしながら、事務所近くの路地裏に差しかかった時、和中が足を止めた。
和中
小林
振り返った小林の前で、和中がじっと自分を見ていた。 冗談も、皮肉も、いつもの四字熟語もない。ただ、まっすぐな目。その視線に、小林の鼓動が強くなる。
和中
一瞬、世界が止まった気がした。
小林
脳が処理を拒否するようにバグっている。顔が熱い、喉が渇く。けど、なんか心の奥がじんじんして…。
小林
和中
声が漏れた瞬間、小林はブワッと赤面する。 爆発しそうなほど恥ずかしい。でも、嬉しすぎてどうしようもない。涙が出そうだった。ずっと、ただ憧れて、近づきたくて必死だった。まさかその人から「好きだ」なんて言われる日が来るなんて。
小林
和中
小林
熱のこもった低い声に、心臓が悲鳴を上げていた。 泣きそうで、でも幸せで、ずっとこの時間が続けばいいと思った。
主
主
主
主